企業経営においてマーケティングをする必要性は?

現代企業経営は非常に複雑化しており、難しくなっていると言えます。
続々と新しいサービスが登場し、海外企業の参入も珍しくなくなってきました。そんな中でも、自社の商品やサービスを顧客に選び続けてもらわなければなりません。
今回は企業経営において近年高まっているマーケティングの必要性について解説させて頂きます。

マーケティングとは?

日々の経営ではあまり意識せずに行なっているかもしませんが、まずはマーケティングについて正しく把握しましょう。
マーケティングとは、商品やサービスができるだけ多く、そして効率的に売れるように企業が行う活動の全てを意味します。
企業経営を行っていれば、多かれ少なかれこのような活動は必ず行っているはずです。
そして今、このマーケティングは非常に重要になってきているのです。

なぜマーケティングが注目されているのか?

マーケティングの必要性が高まっている理由は多くあります。
日本経済が成熟し、あらゆる業種業態は成熟期に入っています。
成熟期とはライフサイクル理論の中で用いられている言葉ですが、
商品やサービスが登場した期間を導入期、その商品やサービスが急激に売れ出し、多くの競合が登場し始める期間を成長期、多くの競合が出たことにより共有過多になっている期間を成熟期、多く企業が淘汰され市場が落ち着いた期間を安定期と言います。
つまり、現在はあらゆる業種業態で生き残りをかけた戦いが始まっているのです。
成熟期以降になると、顧客の心理に大きな変化があります。
成長期までは、極端に言ってしまえば、みんなが持っているから欲しいというような心理で物やサービスを購入します。しかし、成熟期では、すでに顧客は多くの商品に触れてきているため目が肥え、自分にあったものを選ぶようになります。
この大きな変化についていけない企業が淘汰されて行きます。
ここにマーケティングの重要性があるのです。
なぜなら、成長期までのマーケティングは兎にも角にも認知度アップです。
共有よりも需要が多い状況ですから、自社の商品やサービスをできるだけ多くの方に知っていただくことが業績アップに直結していたのです。
実際、日本でも少し前までは多くの業界が成長期であったため、とにかく認知活動つまり販促費を多くかければ売り上げは後から付いてくるといった状況でした。
おそらくこの記事を読んでいる経営者の方でも、そのような時代を経験した、もしくは自分が社長になる前に会社として経験しているという方が多いのではないかと思います。
しかし、今は成熟期です。
成熟期は市場自体が一気に右肩下がりになってくるものです。
そんな中、認知はもちろんですが数ある企業の中から選ばれる商品・サービスを提供しなければならないのです。

過去の成功体験は捨てよう

では、実際はどのようなマーケティングが必要でしょうか?
先ほども触れたように多くの企業が成長期を経験しているため、その経験が足を引っ張る可能性があります。
なぜならマーケティング手法は常に変化しており、その変化のスピードは年々上がっているのです。
つまり、過去の成功体験をもとにしたマーケティング手法では、時代遅れになってしまう可能性が非常に高いのです。
変化のスピードが上がっている要因としては、やはりインターネットやスマートフォンの登場が大きいでしょう。
マーケティングとは、結局のところ顧客のライフスタイルに合わせたものですから、そのライフスタイルが変われば自ずとマーケティング手法は変わるのです。
例えば、情報収拾の方法は10年前と今どのような変化があるでしょうか。
おそらく10年前もインターネットを使う方はいるでしょうが、その数は今と比べれば非常に少ないでしょうし、多くの方が新聞という回答をするはずです。
しかし、現在多くの人はスマートフォンと答えるでしょう。
新聞のような紙媒体を第一選択肢として持っている方はもはやマイノリティになっているかもしれません。
このように10年でこれだけ大きな変化が起きているのです。
そしてもっと言えば、10年ではなく3年〜5年で大きな変化が起きるようになってきています。
つまり、過去の成功体験はできるだけ早く捨て去り、いまの時代にあった方法を常に模索していかなければならないのです。

独自固有の強みを作ろう

成熟期のマーケティングは顧客に選ばれる必要がありますし、さらには一度選ばれるだけではなく、選ばれ続ける必要性があります。
そのために最も有効な方法は「独自固有の強み」を作ることです。
差別化という言葉も使われています。
つまり、他社の商品やサービスにはない独自の価値を持つという事です。
成熟期に生み出す商品やサービスで重要なことは、個性があることです。
そうでなければ埋もれてしまい、顧客に選ばれることはありません。
このような独自の価値を出すためには、商品やサービス、もしくは会社としてミッションやコンセプトを明確にする必要があります。
「自社はこのような価値を提供するためにこの商品・サービスを作っている」というような背景に顧客が共感して購買行動を行う事を目指していかなければなりません。
背景に共感が生まれれば、おそらくその顧客が他社に流れることはないでしょう。
重複になりますが、成熟期のマーケティングは顧客に選ばれ続ける事が重要です。たった一度だけの購買行動だけを獲得していても、短命で終わってしまいます。

会社のミッション・コンセプトを定義しよう

独自固有の強みを作るためにも、経営者は改めて会社の存在意義や提供価値を見つめ直し、もしそれが定まっていないならば再定義すべきです。
そしてそれらのミッションやコンセプトは従業員全員に浸透していることが重要です。単に言葉だけ作るのではなく、ウェブサイトのデザインや接客、採用基準など一つ一つにも繋がっていかなければなりません。
そうでなければ、顧客の共感は得られません。
それほど顧客の目はシビアになってきているのです。
従業員にミッションやコンセプトを浸透させるには時間がかかります。
特に、これまでそういったものがなかった場合は地道にやって行くしかありません。
ミッションやコンセプトを浸透させるために有効な方法をいくつか紹介させていただきます。
一つは行動指針を作ることです。
ミッションやコンセプトはどうしても具体的に欠けてしまうものです。
しかし、抽象的であればあるほど、どのように日々の業務に落とし込むべきかに悩みますし、個人差が出てしまうものです。
そうならないためにも、ミッションを行動レベルに落とし込んだ行動指針を作成します。これをクレドと呼んでいる会社もあります。
それがあれば、従業員一人一人の理解度が高まりやすくなります。
他にも、このような行動指針やミッションの唱和を行うことも有効です。
アナログな方法に見えるかもしれませんが、やはりアウトプットすることが最も浸透しやすい方法です。
唱和だけでなく、行動指針やミッションに沿った発表などがあればより精度の高いアウトプットになり浸透しやすいでしょう。

このように現代のマーケティングは単なる手法ではありません。
確かに、最新のWEBマーケティングなどを行うことで業績は上がるでしょう。しかし、もしそこにミッションやコンセプトがないのであれば、やはりそれは短命に終わるでしょう。
いかに顧客に選ばれ続けるマーケティングを行うか、経営者は常にこれを軸に意思決定しなければならないのです。