海外拠点の移転時の失敗!海外展開ビジネスリスク

海外進出を進める日本企業が年々増えています。
その背景には日本国内のあらゆる業種が成熟期をむかえ厳しい生き残り競争を強いられていることがあるでしょう。
しかし、海外に拠点を作る際には失敗もつきもので、それにより会社全体が厳しい状況に陥ってしまうなんてこともあります。
そこで今回は海外拠点移転時によくあり失敗事例について解説させていただきます。

想定外コストに備えよう

日本企業が海外に行く理由として、国内での競合他社との激しい価格競争から逃れるために、というものあります。
実際海外に行けば国内で販売するよりも利益が出るのでしょうか?
おそらくこの問いに対して、「国内と違って同じ商品やサービスを提供している業者がいないから大丈夫」と答える方もいるのではないでしょうか?
しかし、競合がいないから大丈夫というのは実は大事な視点が見落とされています。
それは、その商品やサービスに対しての認知がないということです。
つまり、国内で販売する際は、国民みな知っているという土俵の上で展開できますから、あとは独自性をどう出すかに注力すればよかったですが、認知がない国で販売するためにはそもそも知られるところから始めなければなりません。
つまり、国内では発生しない販促コストが発生する可能性が非常に高いのですから、結果的に販売はできたとしても手元に残る利益は国内以上に少ないなんてことがあるかもしれません。
また、そもそもその商品やサービスがその国の人に受け入れられない、だから競合がいないという可能性もゼロでありません。
海外に行けば文化が違いますから、習慣や行動も異なります。
そういった中であなたの会社の商品やサービスはその国の人にとっては不必要であるかもしれません。この辺りも必ず進出前にチェックするようにしましょう。

海外進出サポート詐欺に気をつけよう

海外進出を行う多くの場合に、コンサル会社などに進出サポートを依頼するケースが多いかと思います。
その際に気をつけなければいけないのは、進出詐欺です。
詐欺というと現地企業などを利用した場合のイメージが強いかもしれませんが、意外と日本人でも詐欺を行う方は多いものです。
例えば、「現地に10年以上住んでいるからお任せください。」というような宣伝文句で営業をかけサポート案件を受注する人がいますが、極端な話どれくらいの期間住んでいるかはそれほど重要ではありません。
しかし、同じ日本人で何十年も住んでいるんだったら安心だとついつい勘違いしてしまうケースが多く、結果的に騙されてしまうことがあります。
進出サポートをお願いする場合は、過去の実績や人柄などをみてお願いするようにしましょう。

撤退ラインは予め決めておきましょう

海外進出を行う際に、ついつい陥りやすい失敗としてズルズルといってしまうことです。
海外にはうまくいかない場合に言い訳する理由がいくらでもあるのです。
逆に言えば、その分「まだできる!」と過信してしまうということです。
例えば、先ほどもあげた「認知度」の問題。
進出したは良いものの、なかなか思うように売れていかない。その理由はどうやら認知度にありそうだから、広告宣伝費をかけていこう。
この決断はなんの問題もありませんが、いつまでにいくらの広告宣伝費をかけて、いくらの売り上げを作るかを決めずに行なってしまう場合があります。
もちろん広告を行うことで売り上げは上がりますから、これらの判断軸を予め作っていなければ辞めるに辞められない状況になってしまいます。
そして結果として国内以上に厳しい経営状況に陥るなんてこともあります。
そうならないためにも最初からいつまでに、どの状態になっていなかったら撤退、というように撤退ラインは作った上でアクセル全開で動いた方がいいでしょう。

日本ブランドありきで考えることはやめよう

海外、特にアジアに展開する場合、日本ブランドだから人気になるだろうと考えている方が少なくありません。
しかし、最初から日本ブランドありきで判断を進めることは非常に危険です。
確かに日本製品は品質がいいと現在でも認識はされていますが、中国や韓国などの海外製品の品質も近年では上がってきており、それでいて日本製品よりも安いという状況です。
家電がわかりやすい例でしょう。
アジア諸国の一般家庭にある家電は、ほとんどが中国や韓国製品です。
つまりかつてほど日本ブランドが一人勝ちできる状況では全くないということです。
日本は島国であることから意外とこの事実に気づいている経営者の方は少ないようですから、その過信を捨てて海外での経営戦略を立てることが重要です。
また、これは自社ブランドにも同じことが当てはまります。
一歩海外に出れば日本国内で培ったブランド価値はないものとして考えるか、もしくは進出前から海外向けにブランディングを進めるかなどの方法が必要でよう。

今回ご紹介した内容は、日本企業が海外に拠点を作る際によくある失敗例です。
これらを参考に同じ過ちを繰り返さないよう戦略を組んでいただければ幸いです。