企業が重視するリスクはどのように移っているのか?

企業が抱えるリスクは様々で経営者はこれらのリスクを常に意識しながら経営を行わなければなりません。
そこで今回は企業が重視するリスクが時代の変化に合わせてどのように移り変わってきたかを紹介させていただきます。

労働・雇用問題が今最もリスクと考えられている

企業が何をリスクと考えているか、この問いについての調査が定期的に行われています。
東京海上日動リスクコンサルティングではこの調査を平成20年から行なっており、従業員2,000任じようの上場企業を対象に回答を得ています。
調査方法は、全21項目のリスクから最大5項目を複数回答できる選択式で、今回は257社の回答をもとに調査結果が発表されました。
2018年4月に発表された結果では、「労働・雇用問題」が現在企業にとって最もリスクだと感じているというものでした。
驚くべきは回答に占めるチェック率です。
回答した企業のうち61.5%の企業がリスクだと感じており、人手不足が深刻な建設業や運輸・物流業では8割以上がリスクとして回答していました。
労働・雇用問題は3年前の調査結果では4位でしたので、年々リスクと感じる企業が増加していることになります。
また、今回の調査で2位だったのは、「コンプライアンス違反・ガバナンス問題」、3位は「情報・システムリスク」でした。
コンプライアンスは日本を代表する企業での不祥事が連続していることが影響しているでしょうし、情報システムリスクはサイバー攻撃を意識してのことでしょう。

なぜ、労働・雇用問題が大きなリスクなのか?

今回初の1位になった労働雇用問題ですが、なぜそこまでリスクと考えられているのでしょうか?
その背景には電通の違法残業事件をきっかけに労務管理の必要性が再認識されたことがあるでしょう。
あのような事件を受けて、労働者側の意識を変わってきているのです。
近年では、企業が従業員に訴えられるケースも増加しており、労働者の権利意識が高まっていることがわかります。
また、個人でも発信力が持てる時代ですから、何か不当な業務を求めた場合SNSで拡散されてしまい、たちまち事件につながることすらあるのです。
企業にとって、労務問題が発覚することはブラック企業のレッテルが貼られるなど大きなリスクですから非常に注意が必要です。

このように現在では労働・雇用問題が最もリスクと感じている経営者が多いようです。そして、このリスクは今後ますます拡大する可能性が非常に高いため、できるだけ早い段階で対策を行うようにしましょう。