経済の目標を検討していく際には、経済成長(景気)と物価の2つをセットで考えていく必要があります。
物価だけが上がったとしたら、消費者である一般の人たちの生活は苦しくなるからです。
政策として、経済成長は3%、物価は2%上げることを目標に掲げていますが、経済成長とは企業にとっては売上であり一般の人たちにとっては給料のようなものでしょう。
その経済成長に加えて物価が上がるということでは、どのような状況になるのでしょう。
インフレは物価が継続して上昇すること
「デフレ脱却」という言葉を耳にしたことがあるでしょうが、デフレは物価下落が継続する状態です。逆にインフレは物価上昇が継続する状態を指します。
景気が回復すれば物に対しての需要が高まるため、次第に物価は上昇します。
経済の活性化により需要が供給を上回って物価が上昇するのは良いインフレの傾向です。
良いインフレがあれば当然悪いインフレも存在します。景気が良くなっていないのに物価だけ上がっていくこと状態は悪いインフレの状態です。
良いインフレとは
例えば戦後の高度経済成長期にある日本は良いインフレの状況でした。
復興に向かって経済成長にも勢いがあり、将来に明るい兆しが見えたことで快適な生活を送るための消費も拡大しました。
需要が増えて商品やサービスが売れれば、次第に供給が追いつかなくなりますので物の価値は上がり価格は上昇します。
商品やサービスを販売している企業の利益は増えていくため株価は上昇し、株式投資を行っている人の資産も増やすことになります。
そして企業で働く従業員の給与も上昇し、そこから購買力の向上にも繋がるという好循環のインフレが良いインフレです。
一方の悪いインフレとは
悪いインフレは、景気が良くなることで需要が増えるのではなく、製品を作るための原料や材料が高騰することで物価が上昇するインフレです。
原料や材料の高騰の理由は、世界の需給関係が変化したり、為替が変動することによって輸入コストが上昇したり、供給の減少により商品価格が上昇するといったことです。
需要が増えているわけではないことから、物は売れないので企業の収益は増えません。
そうなれば当然従業員の給料も増えないので、物価が上がったことによる実質的な所得の減少で家計が圧迫されます。
悪いインフレが起きないために
単刀直入にこたえを出すと需要を増加させる必要があるということです。需要を増やすためには給与を増やすことが必要です。
賃金は一度上げるとなかなか下げられないため簡単には上がらないでしょう。
ギリギリまで現状維持でダメになったら結局リストラという最悪の結果が起こることもあります。
インフレによる経済成長には国民一人ひとりが意識を変えて経済を立て直す取り組みが必要になるでしょう。