リスクマネジメントに取り組んでいる企業は多いのですが、最近ではそれだけではなく、クライシスマネジメントに取り組む企業も増えています。
その目的とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
また、リスクマネジメントとの違いはどういった点なのでしょうか?
クライシスマネジメントの目的は?
クライシスというのは、「危機」という意味です。
マネジメントは管理するということなので、危機を管理するというのがその内容といえるでしょう。
避けられないような危機が起こった際、初期対応を行い、緊急復旧をした後で定常復旧に移行し、最後は平常状態に戻すということを目的としたものがこれにあたります。
つまりは、危機的状況から平常の状態へと戻すということなのです。
クライシスマネジメントの目的は、危機的状況を速やかに解消して平常な状態に戻すことです。
そのために必要なのは適切な対応ですが、突発的な事故が起こった時にすぐさま適切な対応ができるという人はめったにいません。
適切な対応が採れるようにするには、あらかじめ事故が起こった場合を想定して、どのような対応をすればいいのかを検討しておく必要があります。
家事の時にとっさの対応ができるように、防災訓練などをしているのと一緒です。
この備えが活かされるのは、事故が生じた時です。
しかし、その時に備えて必要なことを考える、ということは普段から行わなくてはいけません。
そのため、危機が生じた時に考えようではなく、いつ危機が起こっても大丈夫なように備えておくことが重要となります。
リスクマネジメントとの違いは?
どちらかというと、このことよりもリスクマネジメントという言葉に聞き覚えがある人は多いでしょう。
この2つは混同されることもあり、名前の響きから単なるリスクマネジメントの上位版だと考える人もいるのですが、その違いとはどういったところにあるのでしょうか?
先ほどもいったように、危機が生じた際の対応を考えるというのがその目的となります。
いうなれば、危機が生じた際の被害をコントロールすることを重視したものであり、そのための備えといえるのです。
一方、リスクマネジメントというのは平常時から行われているものであり、そもそもリスクとなる状況にならないようにコントロールして、それでもリスクが生じた際には対応できるように備えておくことをいいます。
要するに、危機が生じる前後も含めて、より広い範囲をマネジメントすることをリスクマネジメントというのです。
リスクマネジメントの中に含まれるとはいっても、リスクマネジメントはそもそもリスクが生じないように、リスクを避けることに重点を置いています。
それに対して、危機が生じた場合にどう対応するかを考えるというのがクライシスマネジメントとなるので、ややその意味合いは異なります。
ですから、リスクマネジメントも並行して行わなくてはいけないのです。
いざ、危機的な状況が生じてしまったときも慌てずに適切な対応ができるように、企業はクライシスマネジメントに取り組んでいきましょう。
あらゆる状況を想定し、リスクに備えておきたいものです。
まとめ
危機的な状況が生じてしまった際にどう対応するかについて、あらかじめ考えておき、備えておく事をクライシスマネジメントといいます。
リスクマネジメントに近いのですが、リスクマネジメントのようにリスクを避けるにはどうしたらいいのかと考えるのではなく、起こった危機にどう対応するかを検討しておくこととなるので、避けられない危機が生じた際に被害を抑えられるよう、様々な状況を想定し、対応できるようにしましょう。