米中貿易摩擦について考える①日本に与える経済的影響

経営戦略

アメリカが中国との貿易で生じている貿易摩擦を懸念して、米中間の貿易に特別関税がかけるなどの対策を行い、米中貿易戦争ともいわれるほどに大きな波紋が起こっています。
世界的に大国といわれる2国間で生じている問題だけに、米中間だけの問題ではなく世界中にその影響は及ぶこととなるでしょう。
その中で、日本にはどのような経済的影響が与えられるのでしょうか?

日本が受ける経済的影響は?

米中貿易摩擦によって、日本が受ける経済的な影響としてはどのようなことが考えられるでしょうか?
数年以内には生じると想定される影響について、考えてみましょう。

米中貿易に特別関税がかけられたことで、2国間の取引が減少することは間違いないでしょう。
だからといって、これまでに貿易していた品物がなくなるわけではありません。
その品物は、どこに行くのでしょうか?

その場合、双方ともに輸出先・輸入先を他の国へと求めることになります。
特に、これまで貿易量が多い国に対しては、貿易量の増加を求めることになるでしょう。
そして、日本もその対象となることが考えられます。

日本では、すでにアメリカ・中国の両方ともに貿易相手として上位になっているのですが、今後はその取引量が増える可能性は高いでしょう。
日本国内でも、食料品をはじめとして様々な分野で、アメリカ製や中国製の製品が売られています。
それが、ますます増えることが予測されるのです。

輸入量が増えるということは、それだけ販売価格も下がることになるでしょう。
日本国内で製造されている製品の需要が減少する恐れがあることから、日本経済に大打撃となる可能性があります。

これを直接的な影響と考えることができますが、米中貿易摩擦が日本経済に与える影響は直接的なものにとどまりません。
間接的に、もっと大きな影響を与えることにもなるのです。

間接的な影響について

米中貿易摩擦において、追加関税の対象を見てみるとパソコンやデジタルカメラ、ハンドバッグ、野球のグローブなどの消費財も数多くみられます。
こうした消費財に対して高い関税がかけられると、アメリカの国民としても同じものを買うためにこれまでよりも高い価格で買うことになるので、アメリカ国内の経済にも影響を及ぼすでしょう。

しかし、いくら高くてもそれが必要なら買うしかありません。
そうなると、他のものを購入する余力が少なくなるので、その分日本の製品も売れなくなる可能性があります。

例えば、これまではパソコンを安価な中国製の製品にして、その分エアコンは日本の高額で高性能なものを買っていた家庭でも、今後は中国製のパソコンが高くなってしまうことで、エアコンも韓国や中国の安価なものを求めるようになるかもしれないのです。

最も間接的に影響を受ける可能性が高いのは、自動車産業です。
日本の自動車産業は、日系企業の中でも中国での現地生産規模が最も大きく、貿易摩擦の影響で中国経済が悪化した場合はその被害を受けやすい分野です。

さらに、アメリカに輸出している割合が他の産業よりも大きいので、この貿易戦争の結果アメリカの経済が悪化するようなことになれば、日本の自動車産業にも悪影響を及ぼしかねないのです。

さらに、アメリカが自動車輸入関税を課すようなことがあれば、そのダメージはさらに大きくなると考えられます。
これは、自動車産業の影響が最も懸念されるというだけで、他の産業でもおなじことになるでしょう。
このような影響についても、考えておく必要があるのです。

まとめ

米中貿易摩擦は、単に日本とは関係ない国同士の争いに思えるかもしれませんが、いずれの国も日本とは関係が深いため、日本経済にも少なからず影響を与えることになります。
今回課せられた追加関税によって、両国の経済状態が悪化した場合、日本の産業にも大きな影響を与える可能性が高いのです。
こういった事情から、決して関係ない第三国という立場ではなく、大いに影響を受ける立場として今後の動きにも注意しておきましょう。