米中貿易摩擦について考える⓶日本に与える政治的影響

経営戦略

アメリカと中国の間で起こっている、貿易をめぐる貿易摩擦の影響は、少なからず日本も受けることになります。
それは、経済的な問題だけにとどまらず、政治の面にも影響を与えることとなるでしょう。
今回も、日米貿易摩擦が日本に与える政治的影響について、具体的に解説していきます。

政治的影響とは?

米中貿易摩擦の影響は、確実に日本へと政治的影響を与えることになるでしょう。
なぜ、日本はこの2国間の貿易に影響を受けることになるのでしょうか?
それは、日本の立ち位置が関係してきます。

アメリカと日本は、友好国という関係にあります。
ただでさえ、日本国内の領土を借りてアメリカ国軍が駐屯しているという状況でもあり、その友好関係を疑うことはないでしょう。

そんなアメリカに対しては、日本もかなり気を使っています。
そのため、アメリカからの要請があった場合、日本では政治的な面でもあからさまな不利益がなければむやみに拒否することは難しいでしょう。
そのことで、アメリカからこの貿易摩擦について、何らかの要求があるかもしれません。

例えば、現在はアメリカが中国との貿易で多くの品目に追加関税をかけていますが、それだけではなく中国のハイテク企業であるファーウェイを輸出規制の対象としてアメリカの企業との取引を禁止するといった措置もとっています。

しかし、アメリカ企業が輸出できなくなった場合に、日本の企業なら輸出できるといってもそれを是とするでしょうか?
それよりも、日本の企業からの輸出もストップするように働きかけ、中国への締め付けを強化することになるでしょう。

また、中国とは過去のいさかいを徐々に解消していき、有効な間柄を目指している状況です。
その中で、アメリカに言われたからといって中国との関係が悪化するような行動をするべきなのでしょうか?

こうした事情を踏まえたうえで、日本はその立ち位置を明確にすることでどうするべきか、政治的な判断を下さなくてはいけなくなります。
そのため、他人事のように考えてはいられなくなるでしょう。

日本はどんな判断を下すのか?

この件について、日本はどのような判断を下すのでしょうか?
日本の貿易といえば、最近ではTPPが注目されていましたが、アメリカはこのTPP成立間際になって参加を取りやめることにするなど、振り回される結果となったのは記憶に新しいでしょう。

それ以前にも、日本とアメリカ間ではかつて日米貿易摩擦が生じ、かなりの大騒ぎになっていました。
現在、中国との間で問題になっている状態は、かつての日本も通った道なのです。

その結果、日本の企業は大打撃を受けたところもあれば、それを機に躍進した企業もあります。
その頃とは時代も違えば国も違いますが、同じアメリカとの貿易で生じた問題ということもあって日本が中国よりになる可能性も否めないでしょう。

現在、日米貿易はやはりアメリカの貿易赤字となっているため、現在の米中貿易摩擦が落ち着きを見せた場合、次は日本がターゲットとなる可能性もあります。
もしかしたら、そうなる前に今度は日本が中国と協力して、アメリカに対しての共同戦線を張る可能性もあるのではないでしょうか。

どちらに味方するべきか、慎重な判断が求められることになるでしょう。

まとめ

米中貿易摩擦は、日本にとっても政治的な影響を与えることになります。
アメリカと日本は友好国であり、政治的判断でアメリカに同調することも多いことから、今回の県でも中国に対しての経済的な封じ込めなどで協力を求められる可能性もあります。
ただ、アメリカでは対中国だけではなく、対日の貿易摩擦についても懸念されています。
かつて日中貿易摩擦が問題となった時も、アメリカとの交渉はかなり難航していました。
今は中国が標的となっている貿易摩擦についても、今後日本が再びその対象となる可能性もあることから、中国と共同でアメリカに対抗する、という選択肢もあるかもしれません。