企業が倒産する原因で、過小資本による倒産は全体の約5%の割合です。
過小資本による倒産とは、資本金が少ないことで運営を継続できなくなった状況による倒産です。
近年では少しずつ減少傾向にあるものの、一時期は最低資本金制度が撤廃されたこと誰でも簡単に会社を作ることができるようになり、能力や決意不足による起業で立ち行かなくなった会社が次々と倒産していました。
資本金とは?
資本金は会社が事業をスタートさせる際に所持しているお金のことです。
その会社を外部の人が見た場合、会社がどのくらいの財産を保有しているか確認する基準にもなります。
旧会社法での最低資本金について
旧会社法下では株式会社を設立する際には最低資本金として1,000万円を準備する必要がありました。
最低資本金制度が撤廃された背景には、資本金はあくまでも会社設立時にあった財産であり事業開始後に常に確保されている金額ではないということがあります。
事業開始後に赤字になっても資本金は設立時のままですので、実情と相違するということも多いでしょう。
新たなビジネスチャンスに踏み出す機会が増加
さらに近年ではインターネットが普及してIT技術は発達し、新しくビジネスに踏み出すチャンスが増えました。
このようなビジネスは設備投資に費用をかけず比較的少ない資金で起業可能なことから、会社設立に資金はなくても才能やアイデアがある人が起業できるように新会社法で資本金1円でも起業が可能となりました。
債権者のリスク軽減の措置も
さらに新会社法では最低資本金制度が撤廃されたのと同時に、新たに債権者保護措置が講じられました。
純資産が300万円以上なければ配当はできず、貸借対照表の公告を義務付けるといった株式会社の財産に一定の定めを設けて債権者のリスクを軽減させています。
節税が意味のないものに
税金を少しでも軽減したいという中小企業が過小資本による原因で倒産に至るケースが少なくありません。
事業で獲得したせっかくの利益のほとんどは社外に流出させてしまうことになり、自己資本比率が低い状態の時に外部環境の変化で打撃を受ければあっという間に倒産という状況に陥るでしょう。
そうなれば節税も無駄となってしまいます。
資本金は会社の体力の表れ
最低資本金制度が撤廃されたことで、比較的会社設立は簡単になりました。
自己資本がなくても1円から設立できるようになったことで、会社を経営していくという決意や能力が十分に達していない状態で起業し、運営が続かずに倒産という場合もあるようです。
自己資本は会社の体力とも言えますので、自己資本が充実するように努めていく必要を怠ると過小資本が原因で倒産してしまうことになります。