経営資源は、企業にとって生命線になる存在です。
限りある資源がほとんどですから、有効に活用して利益に繋げなければなりません。
しかし、経営経験が少ない人ほど、どう分配すれば良いのか悩みがちです。
そもそも経営資源は、どのような考え方で分配すると上手くいくのでしょうか?
経営資源とは何を示すのか?
まずは、経営資源の分配の方法の前に、何が「資源」に該当するのかを簡単におさらいしましょう。
経営資源と呼ばれるのは、一般的に「ヒト」、「モノ」、「カネ」の3つを示します。
これらは、企業の経営をしていく上で、欠かせない要素です。
上記3つは、経営者に成りたての人でも、勉強している項目ですから基本知識になります。
さらに、近年は上記3つの他に、新しい要素が加わりました。
それは、「情報」、「時間」、「知的財産」です。
情報や時間は、IT化が進んだ社会やトレンドに沿った事業を展開する上で軽視できません。
近年、SNS等で情報収集を行い、事業に活かしている企業もありますから、大切な資源と言えるのです。
また、知的財産は企業のブランドやアイディアを指します。
〇〇の商品ならA企業というように、企業の顔になっていることがほとんどです。
このアイデンティティを大切にし、いかに活用していくかは新しい課題に位置付けられているのです。
今回の記事は、事業に対して上記の資源をどの分野に、どのくらい投下するのかがテーマになります。
様々な項目がある中、正解を探していかなければなりません。
これがいかに難しいのかは、素人でも理解できます。
そのため、経営者が悩むのは当然のことなのです。
経営資源を適切に分配するための考え方
経営資源を適切な形で分配するためには、2つの考え方が重要になります。
・「選択」と「集中」で優先順位をつける
・PPMを用いて決断しやすい状態を作る
ここからは、具体的な思考法の解説になります。
成功している経営者は、どのような思考法で選択しているのか、そのメカニズムを学びましょう。
「選択」と「集中」で優先順位をつける
1つ目は、どの事業に対して経営資源を投入するのか、その判断に関わる考え方です。
①選択
事業分野ごとに、現在の状況を把握し、経営資源を投入する箇所を選ぶ
②集中
選択した事業分野には、経営資源を他の分野よりも集中して投入する
選択と集中のそれぞれの意味を確認しましたが、もう少し内容を補足しましょう。
選択と集中を考えるポイントは、「製品のライフサイクル」の考え方に基づいて判断していきます。
どのような事業内容、製品であっても、売れ始めた時期からあまり売れない衰退する時期が必ずあります。
要するに、どのような製品も、時が経つにつれて衰退するということが分かるのです。
このライフサイクルの流れを考えた時、どのタイミングで経営資源を投下すべきか、判断を誤ってはいけません。
経営の考え方としては、製品が認知され売れ始め、利益が軌道に乗ってきた時に集中して経営資源を投下すべきなのです。
なぜかと言うと、初動のタイミングの良し悪しによって、製品が売れるかどうかがはっきり分かれるからです。
仮に、安定的な利益が入ってきた時に経営資源を投下したとしても、すでに市場で定位置を確立していますから意味がありません。
新しい事業として力を入れたいという時期こそ、チャンスの時なのです!
その際に大切なのは、どの部門に多くの経営資源を投下するかです。
企業によっては、生産ラインを多くしたり、広報面を強くしたりすることが考えられるでしょう。
事業を後押しする上で馬力の足りない部署・部門を選び、そこに力を注ぐようにするのです。
このように選択と集中は、様々な場面で求められるのです。
PPMを用いて決断しやすい状態を作る
2つ目の考え方は、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)と呼ばれるフレームワークです。
これは、企業で行っている事業を「市場シェア」と「市場成長率」からなる4つの項目に分類し図表を用いて判断する方法です。
頭の中で悩むより、ぱっと見で状況を確認できますから、新しい視点で事業を捉えることができます。
考える上でポイントとなる4つの項目は、以下の通りです。
①問題児
②花形
③金のなる木
④負け犬
それぞれ、市場シェアの高さや市場成長率の可否を踏まえた上で判断されます。
そのため、どの事業にどこまで投下するのかを判断するきっかけになると言っても過言ではありません。
この中で経営者が注意しなければならないのは、「花形」です。
花形は、市場シェアと市場成長率の両方が高い項目です。
そのため、この位置に属している事業は、成功すれば企業の柱になると考えるべきなのです。
しかし、市場シェアと市場成長率の高さに甘えてはいけません。
事業を企業の柱とするためには、それなりの経営資源を投入しなければ実現できないのです。
従って、最も経営資源を投下し、市場内の競争を勝ち残っていく必要があることを理解しなければなりません。
ある程度市場シェアを確保できる段階になるまでは、油断できない部分であることを覚えておいて下さい。
補足ですが、PPMは花形のみに経営資源の投下をするための指標ではありません。
これには図表化することで、経営資源投下のバランスを判断しやすくするメリットがあるのです。
従って、他の3つの項目であっても、全く投下しないということはありません。
必要に応じて、バランス配分を調整することが大切なのです。
特に、近年は市場の変化が速く、素早く対応しなければ追いつくことができません。
迅速に対応するためには、PPMが役立つのです。
臨機応変な調整ができると、適切な経営資源の分配が可能になりますから、失敗を回避できる可能性を高くできます。
言い換えると、リスクの高い事業から早期撤退の判断ができる手段にもなり得るのです。
判断には、時間をかけることが必要な場合もあります。
しかし、現在の市場の動きを見ると、判断が遅いほど失敗へのリスクを高めてしまいます。
経営資源の分配は慎重に考えている経営者が多いですから、スピーディーに考えるための方法だと覚えておきましょう。
まとめ
今回は、経営資源の配分の仕方について解説しました。
最大で6つある経営資源は、有効に活用しなければ意味がありません。
そのために、選択と集中や、PPMといった考え方がありますから、業務の分析の際に是非活用してみて下さい。
どちらも客観的に経営資源の配分を考える上で、迅速にリスクの少ない選択をすることが可能になります。
市場の動きについていくためには不可欠ですから、是非とも理解を深めましょう。