M&Aは売却するタイミングが重要なわけ

経営戦略

事業の後継者がいない場合の選択肢として、M&Aがあります。
しかし、M&Aはいつでもいいというわけではなく、売却するのに最適なタイミングというものがあるのです。
最適なタイミングというのは、どのような時なのでしょうか?
具体的な例を挙げて、解説します。

M&Aの最適なタイミング

M&Aは、タイミングが非常に重要です。
タイミングがよければ、想定よりも高い価格で売却や譲渡ができたり、最良の相手と出会ったりすることもあるのですが、タイミングが悪いと想定よりかなり低い価格になったり譲渡先が見つからなかったりするのです。

では、M&Aに最適なタイミングとはどのような時なのでしょうか?
いくつかあるのですが、まずは業績が良好な時です。
とはいえ、なぜ業績がいいのに手放す必要があるのかと思う人もいるでしょう。

業績がいい会社なら、高額な代金を積んでも手に入れたいと考える人は多いのです。
なぜなら、それだけのリターンが見込めるからです。
少なくとも、今の業績が数年続けばペイできる代金なら、ためらわずに払ってもらえるでしょう。

しかし、業績が悪化してから慌てて買い手を探しても、早々見つかりません。
また、今後も赤字が続く可能性も高いようなら、あまり高い価格も付けてもらえなくなるので、高く売りたいなら業績が良好な時期がいいのです。

業績が良好なタイミングでは、あまり会社の売却や譲渡は考えないという経営者は少なくありませんが、会社の未来を考えための1つの選択肢としてあらかじめ想定しておきましょう。

年齢に関わらず、経営者が体力の衰えを感じて今後経営を続けていくのが難しいと感じた時も、手放すのには適したタイミングです。
病気になってから慌てて手放そうとしても、相手が見つからなかったり価格が想定よりも安かったりして、満足のいくM&Aができない可能性は高いのです。

会社の業績は経営者の意欲と比例するため、体力が衰えて仕事に対する意欲が薄れてしまうと、業績も徐々に落ち込んでいきます。
そうなると、前述したように価格も下がってしまうでしょう。

いずれは手放すことになるとは思っていても、出来るうちは自分で経営を続けたいと考える経営者は少なくありません。
しかし、実際に体力が落ちて仕事ができなくなってからでは遅いのです

好景気になった時も、M&Aに最適のタイミングです。
好景気だと、事業拡大をしたい買い手が増えるため、価格が吊り上がる可能性が高くなります。

好景気になると余裕資金が増える企業も多く、これまではM&Aに興味がなかった会社も積極的に買うことを考えるようになるのです。
そのため、通常よりも買い手が多くなり、より良い条件のところを選定できます。

好景気は長く続くとも限らないため、タイミングの見極めは非常に重要です。
無理に価格を吊り上げようとして売り渋っていると、買い手も手を引いて結局売れなくなることもあるため、注意しましょう。

業界内で競争が激化したり、規模が縮小したりしたときもタイミングとして適しています。
そうなった場合は業界再編が起こり、各企業が生き残りを図ったり経営の効率化やマーケット拡大などを考えたりするため、買い手が増えるのです。

業界再編のきっかけとなるのは、例えば法改正やインフレ・デフレ、為替変動などが考えられます。
この時は、ニュースでもM&Aの話題が増えてくるため分かりやすいでしょう。

報道されるのは大企業のM&Aばかりですが、実際には中小企業もM&Aが行われており、業界再編に対して他人事ではいられないのです。
この時、タイミングを逃してその波に乗り損ねてしまうと、やがて急に止まってしまい買い手が見つからなくなるでしょう。

M&Aに最適なタイミングというのはいつまでも続くものではなく、一時的なものが多いため、売りたいと思ってもすぐに最適のタイミングが来るとは限りません。
業績が上向いている時、好景気が始まった時などを狙ってもいいのですが、その前に体力の衰えを感じた場合は諦めて買い手を探した方がいいかもしれません。

M&Aで利益を最大化するには?

M&Aは、ある程度の利益を期待して行うことがほとんどでしょう。
では、その利益を最大化するにはどうしたらいいのでしょうか?
利益を最大化するポイントについて、解説します。

まず、動き出しを早くすることが大切です。
M&Aという選択肢が出てきた時は、すぐに動き出しましょう。
早すぎるかと思えるくらいがちょうどいいタイミングです。

M&Aはすぐにできるものではなく、買い手と売り手のマッチングから条件交渉や買収に当たっての監査、最終的な契約までトータル1年ほどかかるのです。
また、成立した後も引継ぎなどでさらに時間がかかります。

遅すぎるとタイミングを逃してしまうこともあるのですが、早すぎてタイミングを逃すことはありません。
また、好景気や業界再編の兆しがある時は、先に売却先を探しておくというのも有効です。

高く売るためには、会社の業績や内部の管理などをしっかりとしていい状態にしておくことも大切です。
譲渡や売却をするまでいい状態を保つことができれば、高く評価してもらえるでしょう。

管理体制を整えた結果、改善するべき点が見つかった場合は対処しておきましょう。
営業体制を強化し、借入金の返済なども積極的に行って負債を減らしておくことも大切です。

ただし、高く売りたいからと言って欲を出しすぎてはいけません。
例えば、買い手のオファーが想定よりも高かった場合、後でもっといい条件の買い手が見つかるかもしれないと思ってしまうと、結局それ以上の条件が提示されずに想定以下の価格で売却することになるかもしれないのです。

事業環境は、日々変化していきます。
そのため、欲を出さずに市場の動きなどを見極め、ピークと思われる少し前には売却して利益を最大化しておきましょう。

まとめ

M&Aを単に会社を手放すことだと考えていると、どんなタイミングでもいいと思ってしまいがちですが、実際には会社を売却、もしくは譲渡することになるため、その対価を受けとることになる以上は最適なタイミングがあります。
そのタイミングを見極めることで、利益を大きくできるのです。
どのようなタイミングが最適なのかを知って、適切な時期に会社を手放すようにしましょう。