現在、まだまだ残るコロナ禍の影響やウクライナ情勢の緊迫化などによって、物価が高騰しています。
物価高騰は生活に大きな影響を与えますが、中小企業にも無視できない影響を与えることとなるのです。
物価高の影響に、中小企業の経営者はどう対策するべきでしょうか?
企業がとるべき対策について、解説します。
物価高騰が中小企業に与える影響
現在、物価高騰とはいっても具体的にどのくらい高騰しているのか、いつから高騰しているのかを正確に把握していない人もいるでしょう。
物価の高騰は、どのような状況なのでしょうか?
物価について、高騰したと話題になり始めたのは、2022年12月頃が始まりでした。
総務省が、同年11月の消費者物価指数が440年ぶりに上昇したと発表したことがきっかけとなりました。
具体的な上昇割合としては、生鮮食品以外の消費者物価指数が前年の100.1から、103.8になったのです。
特に、食料品は2023年1月から4月の間で、7000品目以上が値上げされました。
高騰したのは食料品だけではなく、電気代も値上げされました。
電気は生活に深く根付いたものなので、消費者に大きく影響することとなったのです。
物価高騰に関して、現在の日本ではいつまで続くか不確かなままです。
物価が高騰すると、影響を受けるのは消費者だけではありません。
企業の経営者にとっても、物価の高騰は悩みの種となっているのです。
物価の高騰は、企業経営にどう影響するのでしょうか?
そもそも、食料品が値上げされるということは、原材料価格も高騰することになるのです。
企業は利益を出さなくてはならないため、原材料が上がった分だけ商品価格に反映する必要があります。
しかし、値上げというのは古くから顧客を失う原因となるものです。
価格を比較してなるべく安く買おうと思っている顧客は、値上げしたなら他の価格が安い企業に乗り換えることも少なくないでしょう。
また、中小企業の場合は元受けの大企業に対して価格交渉をするのが難しく、価格転嫁を十分にできないことも多いため、結局価格は据え置きとなってしまい、自社の利益を大きく落としてしまうケースも多いのです。
中には、物価高によって倒産してしまった中小企業もあるほどで、物価高は中小企業に対して大きな影響を与えることがわかります。
企業経営において、物価高騰はいずれ収まるだろうと無関心でいることはできないのです。
物価高に苦しむ企業をサポートするため、政府は様々な対応をしています。
例えば、原油価格や物価が高騰したことによって売上高が減少してしまった企業を対象として、従業員規模に応じた補助金を交付する、中小企業等事業再構築促進事業という支援があります。
また、価格交渉促進月間という施策もあります。
9月と3月の、特に価格交渉が多い月を対象として、価格転嫁について考えることができるような施策を行っているのです。
単に価格転嫁をしようと訴えるだけではなく、価格交渉や価格転嫁に対応しやすいように、経済産業大臣の名義で発注側の企業に要請を行い、フォローアップ調査や価格交渉に関してのセミナーや講習会の開催なども行っています。
企業だけではなく一般家庭にも影響する取り組みとして、電力料金や都市ガス料金を緩和する事業の実施も決定しています。
しかし、政府の対応だけでは効果を実感できない企業も多いでしょう。
物価高騰による悩みを解消するには、企業も自主的に対策する必要があるのです。
企業が取るべき対策は?
企業は、物価高騰に対応するためにどのような対策を行うべきでしょうか?
主に行うべき対策は、4つあります。
具体的な対策の内容について、解説します。
まず、国からの支援以外にも自治体の支援があるので、利用条件に当てはまる場合は検討してみてください。
例えば、過去には電力料金高騰に伴い、緊急支援事業が実施されたことがあります。
中小企業を対象として、電力料金高騰に対抗するために省電力設備に更新したり、太陽光発電設備を設置したりするために必要な経費を一部補助するという事業です。
また、省エネルギーを促進したり、再生可能エネルギーを活用したりするための設備導入を支援するものもありました。
どのような支援があるのかは、自治体によって異なります。
隣県で行っている支援でも、受けられないことはあるのです。
また、原則として本社がある自治体の支援しか受けることができません。
粗利益の減少を防ぐには、事業について見直してみることも大切です。
現状をキープするだけではなく、新商品や新サービスを開発したり、業種や業態を転換したりすることで、利益が十分に出るようになるかも知れません。
事業改革に関しては、国からの補助金を受けられる可能性もあるため、具体的な内容が決まったら補助金があるか確認してみてください。
条件が合わない場合は、補助金を利用できないので注意しましょう。
毎月かかる固定費についても、見直してみてください。
現在、テレワークを導入している企業も増えているのですが、オフィスについては今まで通りという企業も多く、スペースが無駄になっていることがあるのです。
オフィスが賃貸の場合は、無駄な賃料を支払っていることになります。
最大で何人出社するのか、 出社人数を制限するにはどのような仕組みが必要かを考えて、固定費を見直しましょう。
また、昔から経費削減の一環として行われている、電気をこまめに消すこと、冷暖房の温度を適切な温度にすることなども、徹底しましょう。
無駄を省いて、固定費はなるべく減らすことを考えてください。
固定費以外のコストに関しても、できるだけカットしましょう。
長期的視点に立って、変更してすぐの頃は多少不便なことがあっても、業務を効率化してコストカットできるようなシステムを検討することも大切です。
特に多いのが、在庫管理業務の効率化です。
今までアナログで対応していたせいで煩雑になっていた処理も、システム化することで大幅に手間が減り、人件費に回すこともできます。
人員が余剰となった場合は、社員がコア業務に専念できるよう調整し、利益の向上についても期待できます。
慣れるまでの間は大変ですが、将来的に効率が高まり、大幅にコストカットできるでしょう。
まとめ
物価高騰が続いている現在、中小企業は大きな影響負受けて経営の継続が困難になっていることもあります。
中小企業が物価高騰を乗り越えるためには、まず国や自治体の補助金などの事業を利用することを考えてみてください。
また、固定費やコストなどもカットできる点はしておき、将来的に無駄となる部分を減らして、将来の効率とコスト削減のために一時的な不便は受け入れましょう。