介護が必要な施設には、老人保健施設、特別養護老人ホーム、通所リハビリテーションなど様々ですが、多くの介護施設形態で看護師などの看護職員は必須人員です。
介護施設の利用者は生活上に必要な介護を求めて利用するわけですが、要介護状態の人は心身のバランスが崩れやすいため体調の変化などに素早く気づいてあげることも必要です。
そのため疾病や治療などの医学、栄養学、薬理学、公衆衛生、解剖生理学、心理学、看護学など色々なカリキュラムを修めて資格を取得した看護職員が必要になると言えるでしょう。
看護職員と介護職員では行える行為が異なる
バイタルチェックなどを毎回同じ条件で行い体調に変化がないかを確認することや、衛生保持、医療的処置、薬剤の取り扱いなど、医師と連携を取りながら健康管理を行うことが看護職員の業務です。
また、利用者が急変した場合などは日常の健康状態や抱えている疾病に基づいた対応が必要ですので看護職員の専門的知識も必要となるでしょう。
施設内に介護職員と看護職員が在籍する場合、看護職員のみが行える医療行為と誰でも行うことができる一般行為とを線引きすることが必要ですが、介護職員が医療行為と知らずに行っている施設も実際には存在しています。
不正な医療行為が業務上過失となることも
医療行為を不正に行っていたことが原因で利用者が急変した場合や疾患が悪化した場合や、薬の副作用が出たという場合など、それが原因で後遺症や命を落とすことに繋がれば業務上過失で起訴される可能性も否定できません。
実際に介護職員の医療行為が問題になったケースとは?
また、過去には介護施設で介護職員が医療行為を行ったことが問題となったケースも存在します。
・介護職員が上司に命じられて医療行為を行ったケース
過去には介護職員が行えない血糖値測定やインスリン投与を、上司から命じられて行っていたというケースもあります。
この無資格医療行為については、ホームの元職員から介護職員が行えないはずの血糖値測定やインスリン投与を上司から命じられていたという情報提供があり発覚したものです。
介護職員が常習的にインスリン投与を行っていたかまでは確認できなかったものの、上司の命令で研修も受けさせないまま日常的に医療行為を行わせていたことが分かっています。
・研修を受けていないまま医療行為で書類送検というケース
他にも介護付き有料老人ホームで専門の研修を受けていない介護職員が医療行為を行った容疑で、施設運営会社と元施設長、介護職員や看護師など22人が書類送検されたというケースもあります。
経管栄養などの医療行為は、50時間以上専門の研修を受けることで介護職員でも行うことはできますが費用がかかります。
そのため施設では研修を受けさせないまま医療行為を日常的に行わせていたようです。
無資格の医療行為は行わないように徹底を
無資格医療行為は施設が問題視されるだけでなく、利用者の生命に関わることになります。医療行為と一般行為には必ず線引きを行い、看護職員のみが行える行為について介護職員が行わないことを徹底する必要があります。