誤って顧客データを削除するなどIT業界に起こりうる事故とは

世の中はIT化が進んでいますが、その裏側ではIT企業が様々なリスクを抱える状況になっています。
ITセキュリティやIT事故対策などにも限界があり、システム保守を実践する中でも顧客のシステムを管理するIT事業者が、誤って顧客データを削除するといったこともあるようです。
この場合には、顧客が復旧に要するための超過人件費やその他外注費用などが損害賠償請求されることになるでしょう。

 


IT事業者をとりまくリスク
IT業界では近年システムが高度に、そして複雑になっている上に、グローバル化が進むことで競争は激化しています。
技術者不足によって労働者は過密スケジュールを負うことになり、それによってミスが起きている状況でもあります。
しかしユーザーはミスが起きない完璧なシステム開発を求めてきますので、それに答えるためにはさらにスケジュールが過密化され労働者の負担は増えていくばかりでしょう。
IT業界で想定される事故
IT業界のうち、各分野で抱えるリスクや想定される事故は異なる部分があります。
・システム開発
顧客に物流オンラインシステムを納品した後、不具合によって使用できない期間が発生すれば、代替手段にかかる費用を損害賠償請求される可能性があります。
・システム管理
サーバの保守業務などで予想した最大アクセス量に見合わないサーバを設置したことによって、サーバが停止してしまえば停止期間に臨時的に要した費用について損害賠償請求される可能性があります。
・情報処理サービス
プログラムの不具合で計算の誤りなどが出てしまえば、再計算に要した人件費などの費用を損害賠償請求される可能性があります。
・パッケージソフトウェア開発
顧客先でソフトをカスタマイズ作業している時など、顧客データを誤って消去してしまった場合には、データ復元費用についての損害賠償が請求される可能性があります。
・インターネットサービスプロバイダ(ISP)
提供していたレンタルサーバで管理していた顧客のホームページのコンテンツを誤って消滅させてしまった場合、ホームページの再作成費用やホームページ閉鎖による逸失利益を損害賠償請求される可能性があります。
・ASP、SaaS
代理店と顧客を結ぶ管理システムをSaaSで提供しているケースで、サーバを誤って停止させてしまえば、代理店から徴収できなかったシステム利用料について損害賠償請求される可能性があります。
保険での備えの検討を
IT業界が抱える様々なリスクに備えるためにも「IT事業者賠償責任保険」への加入を検討しましょう。
IT事業者賠償責任保険は一般的な賠償責任保険では対象にならない、IT事業者や電子商取引を実施する企業が、コンピューターシステムやネットワークを構築、運営、利用することに関するIT関連特有の事故をカバーする保険です。
IT事業者が提供するITサービスに欠陥などがあったことで、ユーザーなど第三者に経済的な損害を生じさせ損害賠償責任を負うことになった場合に補償します。