労働基準法に定められた割増賃金とは?みなし残業の場合は?

時間外労働に対する賃金の規定はご存知ですか?

労働基準法では時間外労働や休日、深夜の労働に対して割増率で計算した賃金を加算して従業員に支払うように定めています。もしもみなし残業などを取り入れている企業で、従業員が設定した残業時間より多く残業した場合などトラブルが発生する場合があります。

 

みなし残業とは

従業員の残業時間が正確に把握できない際、あらかじめ残業時間を見込んでおくことがみなし残業です。人件費は企業にとって大きな割合を占める経費です。売上が伸びていれば、残業代を含んだ人件費でも問題ないでしょう。しかし思うように売上が伸びていない場合、人件費を多く払い続ければ資金ショートをお越してリストラや倒産の危機に直面する場合もあるかもしれません。長く企業を運営していくためには、無駄な残業代をカットしていくことも大切です。ただし、売上に貢献している残業代がどの残業代なのか明確に判断することは難しいため、みなし残業を利用することで売上に貢献していると思われる残業代をあらかじめ支払うことができます。

 

労働基準法で定められた割増賃金

実際行った残業時間で発生する賃金は、みなし残業代を上回っていないかを労働基準法で定められている計算方法で計算することで確認できます。労働基準法では1日8時間、1週40時間までを法定労働時間と定めており、その時間を超えて勤務する場合には従業員に割増率を加算した賃金を残業代として支払う必要があります。

過重な労働に対する労働者に対しての補償のために、1か月60時間以内の時間外労働を行った場合には2割5分以上、1か月60時間を超えての時間外労働の場合には5割以上(中小企業は適用猶予のため2割5分以上)の割増分を残業代として支払わなければなりません。また、午後10時~午前5時の深夜労働の場合は2割5分以上、法定休日の労働は3割5分以上の割増賃金を支払う必要があります。

 

正当な金額を従業員に払えていますか?

売上に貢献できていない残業代は存続の危機の原因になり兼ねません。思うように残業代がカットできない場合、基本給や賞与の減給という手段に移行することになるでしょう。しかしそうなれば、従業員の士気を低下させることになってしまいます。

そのため企業ではノー残業デーの設定、残業のためには上司の承認を得ることなどを規定するなど様々な手段を行っています。みなし残業もその一つですが、例えば会議に出席する従業員が営業に出て戻らず、半ば強制的に残業しなくてはならない状況が発生してみなし残業代を超える残業代が発生しているということはないでしょうか?未払いの残業代がある場合には、トラブルに発展するということも考えられるため今一度従業員の勤務時間などを確認しておくようにしましょう。