消費者を守るための制度
特定商取引法で規定された販売業者と一般消費者の間で締結した契約について、消費者に与えられた一定期間内であれば理由を問わず一方的に申し込みの撤回・解除が可能になる制度がクーリングオフ制度です。
クーリングオフができる期間
特定商取引法に規定されているクーリングオフが可能な期間は、訪問販売・訪問購入・電話勧誘販売・特定継続的役務提供(エステ・学習塾・パソコン教室・結婚紹介サービスなど)は8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引は20日間と定められています。契約書面にクーリングオフについての記載がない場合、もしくは契約書面の受け取りを行っていない場合にはこれらの期間を過ぎていても申し込みの撤回・解除が可能です。
クーリングオフできない場合
例えば葬儀や、時間をかけて検討できる自動車などの購入、別の法律が適用される不動産等についてはクーリングオフ制度の適用対象外になります。また、本来であれば訪問販売での購入はクーリングオフの対象となりますが、下記のものについては対象外になります。
・3,000円未満の現金取引契約
・開封・使用後の化粧品や健康食品(消耗品の特則の記載が契約書になければ可能)
・路上勧誘での飲食・カラオケ等
・通信販売・店舗販売
・仕事用、営業用に購入したとき
事業者間の契約はクーリングオフ対象外?
事業者間契約とは事業者と事業者での契約のことですが、この場合には特定商取引法、消費者契約法、割賦販売法といった消費者保護目的の法律について原則適用外になります。ただし、開業準備段階での購入など、実態は消費者としてみなされるべき段階であったにも関わらず、形式的な判断や販売事業者から一方的に主張されることでクーリングオフ対象外であることを主張される場合もあるかもしれません。取引が事業者間での取引なのか、消費者と事業者での取引だったのかは、複合的要素を勘案した中で判断する必要があるでしょう。そのため一方的に事業者関契約だと主張されても安易にその主張に応じずにどのように対応するかを検討していく必要があります。
クーリングオフ制度が正しく適用されるために
クーリングオフ制度は、事業者に比べて弱い立場である消費者を保護するための制度です。不意打ちや検討する時間がない場合に複雑で高額な契約をしてしまった場合などの申し込みの撤回や解除を可能としています。店舗購入や通信販売といった購入や契約に対して十分検討する時間があったものは適用外になります。また、事業者が営業用もしくは営業として契約締結する際には簡単に契約解除することはできません。慎重に検討して購入するようにしましょう。ただし、錯誤や詐欺などのケースでは取引の効力を否定することが可能です。