職場において上司が自分の職務上の地位や権限などを利用し、部下の人格を損ねる人格権侵害の1つであるパワーハラスメントなどが問題視されています。
上司から部下に対する叱責や注意は内容によって必要なことですが、あくまでも会社という集団で仕事をしている中で会社の意に沿っていない仕事ぶりに対するものです。
度を過ぎれば人格権を損ねることになり、パワハラとして従業員から訴えられる可能性があります。
どのようなケースがパワハラに該当する?
例えば相手を殴る蹴るといった暴力行為だけでなく、机や道具を叩きつけるといったこともパワハラだと判断されるでしょう。
また、宴席の罰ゲームで無理にお酒を飲ませたり、服を脱がせたりといった行為も該当します。
職務の上で達成することが明らかに無理なノルマを課したり、キャリアを無視して配置換えをしたり、他にも他人のミスの責任を取らせるといったこともパワハラと判断されるでしょう。
訴訟などで問題になるケースは?
そして訴訟等で実際に問題になるケースとして、退職強要などが挙げられます。
勤務態度や能力に問題がある従業員に対し、解雇するまでには至らないけれど穏便に辞めてほしい理由で会社から退職を促します。
この退職を勧奨する行為は法的に問題のある行為ではなく、相手が受け入れなければ労働契約は解消されません。しかし辞めさせたいことを理由に、退職勧奨を受け入れさせようとわざと過酷な状況にさらすことがあるようです。
仕事を与えない、情報を伝えない、無意味な作業に従事させるなどで勤労意欲を低下させ、自主退職に追い込むような行為が該当します。
病気休職や退職、最悪自殺ということに…
過酷な状況に置かれたことで、自主的に退職させるといった行為がパワハラになると考えられるでしょう。
例えば会社や上司からの直接的な圧力、または職場の雰囲気を誘導し人格権を侵害するといった行為により、退職勧奨から退職強要に変わります。
そしてパワハラを受けたことにより、鬱病などの重い精神疾患を発症することもあります。病気休職や退職に追い込まれ、最悪の場合自殺をしてしまうというケースもあるようです。
加害者の責任は?
パワハラによる問題が発生した場合、会社や加害者となった人は刑事責任を負うことになります。
特に身体的な接触を伴ったパワハラは、暴行罪や傷害罪に問われる可能性がありますし、相手がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患った場合なども刑法に接触するでしょう。
また、侮蔑的な言動に出た場合、名誉毀損罪や侮辱罪なども考えられます。
パラハラを行った加害者だけでなく会社も責任を負う
仮に加害者が刑事責任に問われなかったとしても、民法上の不法行為が成立すれば損害賠償や慰謝料を請求される可能性は高くなります。
そしてパワハラ行為をした本人だけでなく、会社に対しても使用者責任による損害賠償責任を負うとも考えられるでしょう。
仮にパワハラの存在を認識していたのに、指導監督や配置換えにより守るといった手段を行わなかったとしたら、安全配慮義務違反による債務不履行責任に違反したと判断されても文句は言えません。
安心して働ける職場づくりを!
このようにパラハラなどの行為によって、当事者だけでなく会社も従業員から賠償請求される可能性はあります。従業員が安心して安全に働くことができる職場の環境づくりが大切だと言えるでしょう。