金融機関や保険代理店に求められる新たな対応
平成26年5月23日に保険業法等の一部が改正される法律が成立し、5月29日からは規模が大きい特定保険募集人へ新しい対応が求められることとなりました。改正保険業法の施行により、保険会社や金融機関を含む保険代理店は法律の内容がどう変わるかを把握する必要があります。
改正保険業法とは
複雑化する保険商品、そして多様化する販売形態、乗合代理店の出現などが影響し、保険会社の経営環境は大きく変化しました。そのような経営環境に対応するために、保険募集の規制について再構築することを目的として新たに改正された金融規制法が改正保険業法です。
新たに加わった内容
改正保険業法では募集関連行為という概念の導入により、保険募集の定義が明確化されるようになります。他にも顧客ニーズの確認や把握のために、意向把握義務や情報提供義務を導入し、募集を行う段階ごとにきめ細やかな対応が行うための基本的ルールが設けられます。その他、緩和されたり特例が導入されるといった、厳しくなるばかりではないという特徴もあります。そして改正保険業法とは別に、金融庁が銀行に対して保険商品販売の手数料を開示する請求が実施されていました。
なぜ銀行窓販へ保険商品の手数料開示を請求?
金融庁は銀行窓口で販売されている保険商品についての手数料開示について見送られることになりました。それまでは銀行が手数料を高く受け取ることができる保険商品を勧める可能性があるため、透明化という意味で開示を求めていました。
開示の対象となったのは、銀行窓口で売れ筋となっている変額年金、外貨建て保険などです。為替相場や運用結果で受け取り額に影響を与えるという部分が投資商品の側面をうかがわせますが、投資信託の手数料は開示されているのに対して、銀行が受け取っている手数料については保険契約者が支払う保険料に含まれるため開示されていません。
中には10%という高い手数料の商品もあることから、銀行が手数料目当てで顧客ニーズに合っていない商品を勧める可能性は否定できないと問題視されていました。金融庁はこの問題を解決するため銀行に対して手数料の開示を請求しましたが、銀行のみに開示請求が偏るのは不公平だという猛反発を受け軌道修正を行うしかない状況になりました。
マイナス金利が与えた影響の大きさ
銀行は日銀のマイナス金利政策によって貸し出し利さらの縮小を受けており、この事態に対応するために金融商品も販売で手数料を稼ぐしかない状況でもあるでしょう。最終的な金融庁の開示見送りの判断の背景には、やはり今回の日銀が行ったマイナス金利の導入により銀行や生保の収益悪化懸念が強まっていることです。
顧客ニーズに合った金融商品を
さらに開示によって保険商品販売が減少すると追い打ちをかけることになることも予測されるからでしょう。ただし金融庁も開示については再度検討するという構えを見せており、手数料に左右されることのない顧客ニーズに合った金融商品を販売することが必要といえるでしょう。