医療現場でも労働災害が認定されるようになり、労働基準法や労働安全衛生法等の労働法規を遵守することが求められるようになってきています。
医師は長時間勤務が社会問題化しているので、医師本人の労働衛生面も患者の医療安全面でも労務管理を徹底することが求められるでしょう。
医師に対する安全配慮義務違反
もしも医師が長時間労働で過労死、または自殺した場合、労働者災害補償保険法に基づいて業務災害や通勤災害と認定され労働者やその遺族に保険給付が支給されます。
使用者である病院は、安全配慮義務違反で損害賠償請求を受ける可能性もありますので十分な注意が必要な上に、医療機関で安全配慮義務を考える際に院内暴力が起きない策も講じておく必要があります。
・安全配慮義務とは
会社が従業員に対し、安全・健康に働くことができるよう配慮する義務を安全配慮義務といいます。使用者は労働者の生命や安全を確保できるように配慮し、労働環境を整備することが求められます。
医療機関での安全配慮の必要性
医療機関で問題として多く取り上げられるのが院内暴力の問題です。平成 25 年に実施された私大病院医療安全推進連絡会議共同研究の調査による結果を見ると、都内私立大附属病院11 施設の職員22,738 人の中で、過去1年間に院内暴力を受けたことがあると回答したのは44.3%にあたる179人です。
医療機関における院内暴力とは?
医療機関で患者やその家族などが病院で勤務する職員に、暴言や暴力、脅迫、セクシャルハラスメントなどの行為があれば院内暴力だと判断されます。このような行為は、職員の心身に影響を与えることで安全で質の高い看護などの妨げになります。
医療機関の院内暴力は10 年以上前から問題視されており、既に看護協会などで対策が議論されています。しかし有効な対策は行われておらず、ほとんどの医療機関で院内暴力の問題が生じていると言えるでしょう。
なぜ院内暴力が起きるのか
そもそも患者に悪意がなくても、待ち時間が長くなったことで苛立ちが怒りに変わり暴力として表に出るケースもあれば、認知症や精神障害を患っていることで起こる暴力のケースもあるようです。
これまで院内暴力が起きるのは、医療機関の中でも救急外来や精神科など特定された場所でしたが、近年では患者のニーズや医療提供体制に変化があったことで、全ての診療科、健診施設、介護施設などでも起きている問題になっています。
院内暴力に対して医療機関が取り組むべきこと
暴力行為に対して安全管理体制を整備するために、過度の暴言や暴力行為を容認しない組織風土づくり、業務委託等の活用を含む警備や保安体制の整備が重要です。
他にも、相談担当者を選任して周知すること、リスクマネジャーを活用すること、対応・防止マニュアルを整備すること、教育・研修を実施することも必要です。
対策を講じていない医療機関は今すぐにでも
措置を講じることで暴力行為を減少させることに繋げることができ、
一暴力行為が生じたとしても職員が大きな被害を受けることを減少させることも出来るはずです。具体的な取り組みを行っていない医療機関は、今からでも早速対策を検討していきましょう。