近年では未払い残業代を巡って労働者と会社が労働審判や訴訟問題に発展するケースも多く、訴えられる側となる会社はそのリスクについて理解しておく必要があるでしょう。
従業員(解雇の場合などは元従業員)からの訴訟や労働審判という場合、労働組合や会社代理の弁護士を相手に交渉が行われていれば交渉段階で次に訴訟や労働審判に発展する可能性は予測できます。
しかし交渉は行わずいきなり訴えられるケースもありますので、会社にある日突然裁判所から訴状(労働審判申立書)が届いた場合の初期対応について確認しておきましょう。
ある日突然訴状が届いたら?
裁判所から訴状が届いてから訴訟(労働審判)の第1回期日までは約1か月なので、時間的余裕がありません。期日の1週間前くらいまでに訴状内容を認めるかどうかを確認し、反論があれば答弁書に述べる必要があります。
答弁書を作成までの作業量は少なくなく、添える証拠も必要です。たった3週間で完成させるためには綿密な計画の上で作業が必要です。その限られた準備期間内で完成させるためにも早急に弁護士に相談する事が適切と言えるでしょう。
弁護士に相談した後は何をすれば良い?
ただし弁護士に相談すれば、あとは任せておけば良いわけではなく、会社側も答弁書を作成する上で訴状内容を認めるかどうか、事実経緯の整理、資料収集などが必要です。
・内容を認めるか認めないか
訴状内容を認めるのか、否認するのか、知らないなら不知といういずれかに分け認識を示します。
仮に認めれば後で事実が間違っていた場合でも否認することは出来ず、会社は不利な状況に陥る可能性があります。
過去のことなので忘れている、または事実を知らないという場合でも、関係者に確認を取りながら資料を確認して認否作業を行いましょう。
・事実経緯の整理
訴状には訴える側の従業員にとって有利な事情だけが記載されていますので、会社が有利になる事情を含めた主張を答弁書で述べていく事が必要です。
労働審判になると期日は原則3回までなので、第1回期日まで会社側から一通り主張を行うための事実経緯の整理が必要です。
・証拠書類の収集
会社の主張が正しい裏付けの資料が必要ですが、このように問題が起きそうな事案は事前に資料を整理しておく様にしましょう。
従業員とのやりとりが口頭のみで書面に残していないケースが多く、資料残されていない事がほとんどです。このような場合は関係者の供述を書面として起こす事になりますが、事前に従業員とのやりとりは書面に残しておく事で後に問題が起きた時役立ちます。
もし訴えられたら早急な対応が必要
この様にある日突然従業員からの訴状が会社に届くケースも十分考えられます。その場合には早急に弁護士に相談し、特に労働審判申立書は1日を争う状況である事を理解しておく必要があるでしょう。