労災事故を防ぐ!事業場が守るべき「労働安全衛生法」とは?

労働安全衛生法とは?

職場での労働者の健康と安全を確保するために職場環境を快適に形成することを促進する目的で作られた法律が「労働安全衛生法」です。事業場では危険や健康障害から労働者を守るために、安全衛生管理体制を整備し法規制を実施することが必要です。

労働安全衛生法の主な規定

安全衛生について中心的に責任を負うのは事業者です。規定に違反する懲役や罰金といった罰が科され、監督行政庁が労働災害の発生を防ぐために作業や建物の使用の停止を命じることもあります。事業場で労働災害が起こらないように安全衛生管理体制の整備を行うようにしましょう。

必要になる安全衛生管理体制

・一定規模以上の事業場は「総括安全衛生管理者」選任する
・統括安全衛生管理者の下に「安全管理者」「衛生管理者」(小規模事業場の場合は「安全衛生推進者」)を配置する
・一定業種のうち常時100人以上(特定業種は50人以上)の労働者を使用する事業場は「安全委員会」を設置する(全ての業種で常時50人以上労働者を使用する事業場は「衛生委員会」を設置する)

この他に近年役割の重要性が注目されている「産業医」の制度があります。産業医は雇用もしくは嘱託という形で労働者の健康管理等を行う医師です。常時50人以上の労働者を使用する事業場(常時3,000人を超える場合は2名以上)で選任が義務付けられています。

機械や有害物に対する規制

特定機械といわれる危険な作業が必要になる機械は、製造するために都道府県労働基準局長の許可を得る必要があります。それ以外の機械でも労働者に危険を及ぼすおそれがある機械は貸与や譲渡に制限があります。定期的に自主検査を行うことなども義務付けられています。

また、健康に障害を与えることを完全に防止することができない有害物については、製造・輸入・使用・提供・譲渡などいずれも禁止されています。これに至らない状態でも健康障害や危険を労働者に与えるおそれがある物質については、製造する際に厚生労働大臣の許可が必要となり、容器には有害性の表示が必要です。

健康の保持増進のための措置

事業者や労働者に対して医師による健康診断の実施が義務付けられています。結果により、必要だと判断される場合には就業場所の変更や作業の転換、時間短縮、深夜業回数の減少などを行う必要があります。

労働者が安心して働ける職場作りを

他にも労働者の業務に関して、必要になる安全衛生教育を実施することが義務付けられています。そして労働者に対しても労災防止措置への協力を義務付けています。もしも事業場に違反の事実がある場合には、労働者はこれを監督行政庁に申告して是正措置を求めることができるようになっています。その際事業者は申告を理由に労働者を不利益に扱うことはできません。

労災事故が発生してからでは取り返しの付かないことに発展する場合もあります。定められた義務をしっかりと守り、労働者が安全に働くことができる環境や体制づくりを行う必要があります。