株主代表訴訟とは株主が会社のために、発起人・取締役・監査役・会計参与・執行役・清算人役員など役員に対して提起する訴えのことです。
株主代表訴訟度の趣旨
役員の行為で会社に損害が発生した場合、責任を追及するべき取締役などが経営陣の一員のため、馴れ合いで責任追及を行わないというケースがあります。
そうなると会社に損害が発生しても解決されず、企業価値は低下して最終的に損害を被ることになるのは株主です。
そのため会社が取締役に対して責任追及を行わない場合、株主が問題を起こした取締役に対して訴えを提起することを可能にしています。
株主代表訴訟制度の手続方法
訴えの提起が可能な株主にも要件があります。
公開会社(株式の全部に譲渡制限がついていない会社)の場合は、6か月前から株式を継続して所有している株主であることが要件ですが、この期間については定款で短縮することが可能です。
一方の非公開会社の場合は、株式を6か月前から所有している必要はありません。
いきなり代表訴訟の提起はできない
株主代表訴訟は、まず会社自身が提訴するかどうかについて検討できるように会社へ問題を起こした取締役の責任を追及する訴えの提起を請求する必要があります。
会社が請求の日から60日以内に提訴しなければ、株主は代表訴訟を提起することが可能となります。会社が提訴しない場合に提訴しない理由を通知するように会社に請求することも可能です。
なお、60日間を経過すると会社に回復不能になるほど損害が生じる可能性があるケースでは、直ちに責任追及の訴えを提起することができます。
提訴を請求された会社の対応は?
提訴が請求された日から60日という限られた時間の中で問題のあった取締役の責任の有無の判断を行うためには、業務執行部門で資料の収集を行い関係者から事情聴取に協力してもらう必要があるでしょう。
提訴の請求をした株主の株主資格の形式要件の確認についても、総務部などに協力を求めていく必要がありますので、株主から提訴請求を受けた監査役は代表取締役や関連部門の取締役に対して速やかに請求の日や内容を報告することが必要です。
訴訟判決後はどうなる?
代表訴訟で判決が出た場合、判決の効果は会社に及びます。問題となった取締役が賠償を命じられれば、賠償する相手は会社で株主に賠償されるわけではありません。
株主から提訴請求が行われた場合
株主から問題のあった取締役の責任追及の訴えの提訴請求が行われた場合、会社は事実関係の調査を行い取締役の法的責任の有無を検討して提訴するかどうかを決めることになります。
提訴するかの判断については、勝訴の可能性や必要性、被った損害の程度、対象となる取締役から回収の可能性や、人的・時間的・金銭的な負担を総合的に考慮することになるでしょう。