海外進出で想定されるリスクを考える

カントリーリスク

近年、海外進出する日本の企業は大企業だけではなく、中小企業にも増えてきました。

しかし、海外進出には国内での経営とは異なるリスクがあるため、事前に想定して対処方法を考えておく必要があるのです。

海外進出で想定されるリスクには、どのようなものがあるのでしょうか?

主なリスクについて、解説します。

海外進出で想定されるリスク

海外進出において想定されるリスクは、主に3つの種類に分けることができるのですが、国によって起こりやすいリスクは異なります。

特に、アメリカをはじめとした先進国で起こりやすいリスクと、アフリカなどの発展途上国で起こりやすいリスクは異なるので、注意してください。

カントリーリスク

企業が海外進出した際に想定されるリスクとして、進出した国や地域に起こった情勢変化が原因で企業が受ける、カントリーリスクがあります。

カントリーリスクの主な内容には、政治の情勢変化や経済の情勢変化、社会全体の情勢変化などの分野が含まれています。

政治の情勢変化によるリスクは、政治的な基盤が安定していないせいで生じるもので、政権交代などによって進出してきた企業の扱いが大きく変化することもあるのです。

今までは顕在化していなかった場合でも、将来的に反政府暴動のようなトラブルが起こりうる国もあるため、注意が必要です。

経済の情勢変化リスクには、バブル崩壊や国債の債務不履行のような、国家の存続に大きく影響するような問題があります。

電力や通信、輸送、水路などのインフラが未整備であることや、競争法のような経済活動を平等に行う仕組みの不備等も要因となるでしょう。

社会全体の情勢変化によるリスクには、文化の違いや宗教に関わるリスク、歴史的背景によって引き起こされるリスクなどがあります。

また、紛争の勃発や治安の変化、反日感情が原因で現地の日系企業が暴動に巻き込まれてしまうようなケースもあるのです。

カントリーリスクへの対応方法

カントリーリスクは、進出した国や地域の情勢や動向が変化することで生じるため、対応するには現地の情報を把握し、リスクマネジメントを行わなくてはいけません。

状況は変化し続けるので、情報も適宜アップデートしていく必要があるため、現地の関係機関とも連携して新たに生じたカントリーリスクへの対応を続けることが大切です。

セキュリティリスク

企業、ならびに働く従業員の安全面に関わるセキュリティリスクは、人や物に対するセキュリティリスクと、サイバーセキュリティリスクがあります。

人・物のセキュリティリスク

人や物に対してのセキュリティリスクには多くのものがあり、テロや誘拐、売春、麻薬等が特に危険要因として挙げられるでしょう。

特に海外で日本人が遭いやすいトラブルとしては、スリや手荷物の置き引き、ひったくりなどがあります。

現在も、日本人は高級品を持っているお金持ちというイメージが一部の国で根強く残っているため、ターゲットにされることが多いのです。

セキュリティリスクのイメージとは異なるかもしれませんが、台風や地震、大雨、大雪などの自然災害も含まれています。

自然災害は避けることができないものの、防災インフラが弱いと被害が予想以上に大きくなってしまうことがあるため、企業は事前にしっかり対策しておく必要があります。

また、国によっては衛生面で環境が悪く、医療環境も悪いため集団感染が起こってしまい、従業員も危険になる可能性があるでしょう。

セキュリティリスクへの対応方法

セキュリティ対策に重要なのは現地でのサポートで、オフィスや住居は危険エリアの情報を確認したうえで選び、保険にも必ず加入しておきましょう。

警備会社と契約して常駐してもらったり、機械セキュリティを導入したりすることも重要で、万が一に備えてAEDや安否確認システムなども整備しておくべきです。

セキュリティは、一見すると過剰と思えるほど対策しておかなければ、いざというとき役に立たない可能性が高いのです。

サイバーセキュリティリスク

近年、セキュリティリスクとして特に注目されているものとして、情報などを扱うサイバーセキュリティに関連するサイバーセキュリティリスクがあります。

特に、アジアではインターネットのユーザー数が急増していて、セキュリティ構築が遅れてしまうとサイバー攻撃を受け、マルウェアにも感染してしまうでしょう。

サイバーセキュリティの事故に関しては、世界中で1件当たりの被害の規模が大きくなってきているため、深刻な問題となっています。

また、サイバーセキュリティリスクは外部からの攻撃ばかりではなく、取引先や従業員など内部の人員によるセキュリティ事故も発生しやすくなっているのです。

サイバーセキュリティリスクへの対応方法

サイバーセキュリティリスクに対応するためには、まず海外に進出する前のローンチ段階から対策を講じておくべきでしょう。

外部からのサイバー攻撃やクレジットカードのデジタルスキミング、マルウェアの感染などを防ぐことができるよう、セキュリティシステムも導入する必要があります。

また、オンライン上で監視していても内部犯行によるセキュリティ事故は防ぐことができないこともあるため、従業員に対する教育はしっかりと行いましょう。

オペレーショナルリスク

事業の展開や日常で行われている業務遂行などで発生する可能性があるリスクを、オペレーショナルリスクといいます。

貿易の輸出入規制や投資規制、原材料や部品の調達が困難になること、製造の操業規制等が、代表的なオペレーショナルリスクです。

また、代金回収が困難になるケースや知的財産権が侵害されるケース、人材不足や賃金上昇による採算悪化なども、オペレーショナルリスクの一種です。

オペレーショナルリスクへの対応方法

オペレーショナルリスクは、軽微な事案の様に見えても被害は金銭や物品などに限らず、企業イメージの損失などに関わる可能性があるのです。

オペレーショナルリスクに対処する方法としては、現地の風土や情勢に合わせて対応することが重要です。

まとめ

近年は中小企業も海外に進出することが増えているのですが、海外進出には様々なリスクがあるため、事前に想定しておかなくてはいけません。

リスクには、主にカントリーリスク、セキュリティリスク、オペレーショナルリスクの3つがあり、国によって警戒するべきリスク、起こりやすいリスクが異なるのです。

それぞれのリスクの対処方法について事前に確認しておき、リスクが起こらないよう予防しておきましょう。

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