2024年11月の大統領選挙の結果は、トランプ氏の勝利となりました。
アメリカの大統領が誰になるのかは、日本経済にも大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
トランプ氏が当選したことは、日本にとってプラスとなるのか、それともマイナスとなるのでしょうか?
トランプ氏の当選で日本はどう変わるのか、解説します。
トランプ氏の当選によるマーケットの変化
アメリカで行われていた大統領選挙ではトランプ氏が当選して、2025年1月に大統領へと就任することが決まりました。
上下院も共和党多数の公算が高いためトリプルレッドの様相を示すこととなり、トランプ氏の政策は通りやすくなるでしょう。
日経平均株価は、選挙結果が明確になる前からすでにトランプ氏当選を確信し、急上昇していました。
開票の途中から、すでにトランプ氏が当選することを見込んで市場が動いていたことは、マーケット価格が集合知だと言われている所以といえるでしょう。
マーケットの評価はかなり正確であると言われているのですが、今回も結果を正確に予測して市場が動いていました。
トランプ次期政権ではインフレが今以上に加速すると予想されているため、市場では大幅な円安、株高になりつつあるのです。
今後、企業の業績と長期金利が上がっていくという予想がされていて、予想に基づいた動きを示しています。
11月にはFOMCでの追加利下げが予想されているのですが、選挙要因の方が大きな影響を与えてドル高円安になると考えられているのです。
世界経済によって地政学リスクも高まることになるため、先々の展開では景気拡大が順調に進むとも限りません。
トランプ氏の当選後のシナリオは、短期楽観、中長期悲観となっているのですが、論点はどのような点になるのでしょうか?
主に論点となるのは、保護主義の台頭や脱炭素化の後退、インフレの加速、防衛費積み増し、石破政権の苦境、対中国の封じ込めなどがあります。
日米株価は確かに上がっているのですが、経済が万事問題なく進んでいくとは考えにくいでしょう。
なぜかと言えば、米国は今後輸入品に対する関税率を一律に引き上げると予測されているからです。
関税率が引き上げられるとインフレの要因にもなり、日本でも自動車などの主要な輸出品に大きなダメージとなるでしょう。
たとえ円安が進んでも、米国輸出が下押しされてしまうことでメリットも失われてしまいます。
日本政府に今後求められるのは、関税がかからない自由貿易圏を広げるための経済外交です。
以前のトランプ政権でも、安倍首相は米国を抜きにしてCPTPPの加盟国を広げるための活動に取り組んでいました。
英国をはじめ複数国が加盟を申請ていたように、今回も、関税がかからないエリアの拡大が求められるでしょう。
日本にかかるインフレ圧力
トランプ政権が発足した場合、多種多様なルートでインフレの加速が起こり、日本にも影響が及ぶと考えられます。
日本でも連鎖によるインフレが起こり、物価上昇の圧力が働くのではないかと警戒されているのです。
インフレ傾向が進むことで、FRBは今後利下げを進めていくことができなくなるため、米国金利は高止まりするでしょう。
日米の金利差は拡大した状態が続くと予想され、さらに円安が進んでしまい日本も輸入物価が上昇することでインフレが促されます。
トランプ氏の当選によって、日銀が追加利上げする必要性が相対的に高まってしまったといえるでしょう。
日本の財政負担が膨らむ圧力
石破政権は防衛政策に強い関心を持っているのですが、トランプ氏と日米地位協定の見直しについて話をした場合は防衛費の負担が膨らむ可能性があります。
現行での防衛増税については、2027年度までに43兆円の財源確保にめどをつけるという方針で決定しています。
歳出改革や剰余金などは使い果たすことになるため、新たに防衛費を積み増しするとさらなる防衛増税につながるでしょう。
衆院選で与党が過半数割れしたことで、増税に反対する野党との間で非常に厳しい調整を求められています。
さらに新しい防衛増税について持ち出すようなことになると、さらなる反発を招くこととなるため厳しいことになるでしょう。
トランプ氏から防衛負担を新たに要求されてしまうと、さらなる歳出拡大を招くことになるため、頭の痛い問題といえます。
石破政権としても、追加での防衛増税の圧力がかかるようなことがあると政権維持に厳しい課題となってしまうでしょう。
トランプ氏の当選を最も悩みに感じているのが石破首相で、国内では衆議院の過半数割れ、来年からはトランプ氏を相手取った外交を演じる必要があります。
安倍元首相はトランプ氏をうまく御していたのですが、石破首相には同じことができるのか不安視する声も上がっているのです。
トランプ氏は、対中外交でも1対1の首脳会談を好むと考えられ、日本やEU、韓国などを抜きにして行われると予想されます。
トランプ氏が当選したことで、欧州は日本以上に難題を突き付けられることとなり、今後のウクライナ支援もどのように継続しうるかが問題になります。
東アジアの各国でも、安全保障の協力関係に関する議論は台湾有事に備えるという問題意識をもって進められていくでしょう。
まとめ
米国の大統領選挙でトランプ氏が当選したことで、日本は多くの難題を抱えることになりました。
石破首相は、トランプ氏との会談で米国のインフレに伴って日本もインフレが加速するのを抑えるよう、政策などについて話し合う必要があるでしょう。
特に、防衛費の負担が増大することは最優先で避けるべき課題であり、もし増大を了承させられた場合は国内の野党から大きな反発が生じることになります。