少子高齢化が進み介護人口は今後ますます増えていくことが予想されます。もし自分が家族の介護が必要な立場となったら、今の仕事を続けることができるのかという問題で悩んでいる人もいるようです。
介護と仕事を両立して続けることを断念し、退職という決断に至る「介護離職」が現在問題となっています。
介護離職問題は個人的な問題と考えられがちですが、実は企業にとっても待ったなしの経営課題だと言えるでしょう。
企業の介護離職へのリスクとは?
国民の介護負担ができるだけ軽減されるような支援やサービスはだんだんと普及しつつあります。
しかし制度が設けられても介護離職は減少しておらず、さらに介護離職してしまう年代層は40~50代というベテラン社員ばかりです。
中堅の管理職が退職し、ビジネスの中核ポストに穴をあけることは企業にとっても大きな痛手となることが予想されます。
介護休業も活用されていないのが現状
介護と仕事の両立のために「介護休業制度」が設けられています。もし社員から介護休業の申し出があった場合には、企業はそれに応じる対応が義務付けられています。
しかし実際に利用されているのはわずか1割で、ほとんどの対象者が制度を利用していません。
そもそも制度の存在自体を知らない人もいるようで、企業での社員に周知される取り組みができていないとも考えられます。
仮に制度を知っていても、利用できる職場環境や状況でないケースもあるなど、社員と企業双方の当事者意識が不足していることも介護離職を増やす原因になるでしょう。
制度があっても使えないでは意味がない
制度を利用できない理由として、もし介護よりも休業が必要な理由が出来た時に困ると考えるケース、仕事が忙しいことで休みにくいというケース、キャリアに影響を及ぼすと感じるケースなど、介護休業を取得することで仕事を続けることに支障が出ると考える傾向が強いということです。
さらに介護はいつまで続くか分からないという先の見えない状態に追い込まれます。介護休業制度など使える環境が整備されていないことで、介護と仕事の両立できないと判断して離職を選択するしかなくなるといった状況に陥る可能性が高くなってしまうでしょう。
介護離職を防ぐための早急な対策を
介護離職を防ぐために、企業がなすべき取り組みは待ったなしの状態です。しかし実際には社員から要望があがっていないことなどで取り組みがされていない企業も多くあります。
個人的な問題である介護が、自分のキャリアに影響することを恐れて1人で抱え込んでいるケースも多くありますので、介護社員を支援する体制や環境、職場の意識の向上などを早い段階から取り組んでいくことが必要だと言えるでしょう。