経営者が慢性疾患を患い状態が悪化した時、または突然の事故などで身体障がい状態になった場合などは、企業は多大なリスクを負うことが予想されます。
中小企業は経営者の信用により経営が成り立つケースが多いため、経営者がリタイアすることによって売上は大きく減少し、さらに後継者候補がいても現経営者と同様の信用力や営業力が身につくまで時間がかかる可能性があります。
その期間中に資金繰りは悪化してしまい、借入金や買掛金などの負担で資金ショートすることによる倒産という事態だけは避けなくてはなりません。
借入金などの返済は待ってくれない
金融機関から事業資金の借入れを行っている場合、経営者死亡や重度の身体障がい状態になった時には返済資金が必要です。その後会社が存続していくかどうかは関係なく、借入金返済資金は確保しておくべき資金だと言えるでしょう。
もし後継者不在で会社を清算する予定があるなら、借入金を一括返済することの検討も必要です。経営者が個人保証していれば遺族に債務が引継がれることもあります。
後継者がいても資金の準備は必要?
後継者が事業を引継ぐ場合でも、ある程度事業が軌道に乗るまで一時的な売上減少が予測されます。それによる借入金返済が困難になることも想定した上で、従業員の給与や運転資金が必要です。
何か月分の従業員の給与が必要になるのか、運転資金はいくら必要なのかなど、緊急予備資金の金額をある程度予測をたてて準備することが必要になると言えます。
納税準備資金にも注意
また、これらの資金を保険で備えることを検討する場合もあるでしょう。
経営者が亡くなった時や重度の身体障がい者になった時、または重大な疾病を患った時の借入金返済資金を保険で準備する場合には、受取保険金に法人税等が発生します。そのため資金とは別に納税準備資金分も考慮して考えることが必要になるでしょう。
経営悪化で倒産という事態を避けるために
経営者が就業できなくなった場合の資金準備に保険を活用する場合、就業不能保障や就業障がい保障など、保険会社によって商品は異なりますがリスクに備える保険が販売されています。
保険で備える際に注意したいのは、保険だけにとどまらずに相続や事業承継問題、税金など色々な要素や状況も踏まえて必要な保障について精査していく必要があるということです。
経営者が働くことができなくなったとしても、様々な固定費の支払いは待ってくれません。現在では高齢まで就業する経営者が多くなっているので、万一の際に経営が悪化し倒産してしまう事態に陥らないためにも保険での備えを検討してみてはいかがでしょう。