経営者が認知症・・・借入金の問題

事業運営リスク

経営者が認知症になってしまうと、様々な問題が生じます。
特に中小企業などでは後継者不足に悩んでいる所も多く、認知症になったからといって、すぐに事業承継するという訳にもいかないため、業務が停止してしまう可能性もあるでしょう。
今回はそんな時に生じる問題の中でも、借入金の問題について考えてみたいと思います。

融資が受けられなくなる恐れがある

経営者が認知症となった場合、まず問題となるのが、銀行からの融資が受けられなくなる恐れがあるという点です。
会社としてはそのまま残るのに、なぜ融資が受けられなくなる恐れがあるのでしょうか?

まず、銀行から融資を受ける際には審査を受けることになります。
その際の審査基準として使われるのが、事業計画書など企業の将来性を示したものです。
銀行は、その書類を見て現実的に返済が可能かどうかを判断し、融資の可否を決定します。

しかし、銀行は書類だけで融資するかどうかを判断しているわけではありません。
それなら書類を郵送するだけでも十分なのに、わざわざ面接をしているのです。
銀行が本当に見ているのは、経営者が信頼できる人物かどうかです。

もちろん大企業の場合は、経営者が変わったとしても会社としては変わらず経営できるようなシステムが出来上がっているため、経営者はそれほど重要ではありません。
問題となるのは、中小企業に対しての融資です。

中小企業に融資する際は、返済が可能かどうかという点の他に、企業と銀行との間に築かれる信頼関係が必要となるのです。
そのために経営者がどんな人物が重要なのかということが重要となるのですが、経営者が認知症になってしまうとこれまでの信頼関係もなかったことになってしまいます。

中小企業の場合、運転資金が一時的に不足した際に銀行からの融資を受けることも多いのですが、経営者が認知症になってしまうと新たな融資を受けることや、追加融資を受けることが難しくなってしまうでしょう。
また、問題となるのはそれだけではなく、現在の融資の返済にも問題が生じることがあります。

返済が滞る恐れもある

経営者が認知症になった場合、なぜ返済が滞る恐れが生じるのでしょうか?
それは、口座の管理という問題があるからです。

融資を受けた際の返済というのは、通常その融資をした銀行の口座から引き落とす形で支払うことが多いでしょう。
そのため、毎月の返済日にはその口座へと返済金を入金しなければいけません。

しかし、中小企業の場合は専門の経理がいないことも多いため、経営者が直接口座を管理して入金している場合があります。
経営者が認知症になってしまった場合、この口座の管理が不十分となる可能性が高いのです。

例えば、売上金が別の口座に入金されているので、そのお金を引き出して返済用の口座へと入金する必要があるとします。
しかし、経営者が認知症となったので代わりにその資金移動をしようと思っても、引き出すために必要な口座用の印鑑がどれかわからないことがあるのです。

また、様々な手続きが必要となった際に手続きが行えず、資金が手元にないため資金繰りに困るということもあるでしょう。
そうなると、銀行への返済もできなくなってしまいます。

認知症になるというのは珍しくはなく、また自覚症状もあまりないことが多いでしょう。
こうした事態を防ぐためにも、認知症になる前から備えを怠らないようにしましょう。

まとめ

会社の経営者が認知症になってしまうと、借入金の問題が生じます。
すると銀行からの融資が受けられなくなったり、または既にある借入金の返済ができなくなったりという問題が起こりますから、経営の悪化や倒産につながってしまいます。
会社を倒産させないためにも、経営者が高齢化してきた場合はいつ認知症になっても大丈夫なように、あらかじめきちんと備えておいた方がいいでしょう。