認知症の進行過程を理解する

事業運営リスク

経営者が高齢となった場合、認知症になるリスクがあります。
しかし、認知症の中には軽度の認知症や重度の認知症などがあります。
ただ認知症だからとひとくくりにするのではなく、認知症がどう進行していくかについても理解しておく必要があるでしょう。
今回は、そんな認知症についてのお話です。

軽度の認知症は問題がない

認知症は、初期症状などの段階ではあまり問題となりません。
初期症状では、それほど違和感を覚えることも少ない為、日常として見過ごされやすいのです。
初期の症状としては、どのようなものがあるのでしょうか?

初期段階では、忘れっぽくなる、判断力が低下する、集中力が失われる、精神的に落ち着きが無くなるといった症状が見られます。
いずれも、ケアレスミスや体調不良の問題などと解釈され、よくある一過性のものととらえられてしまいがちですが、認知症の場合もあります。

その症状の原因が認知症だと判断されるものの多くは、こうしたことが日常的に起こるようになった場合です。
毎日のように同じ話を繰り返していたり、財布などの置き場所を忘れたり、計算に時間がかかるようになったりした場合、「認知症かも?」と判断されるのです。

認知症について、初期症状のうちは本人も不安に思う事が増えてきます。
これまでは普通に話が通じていたのに、急に話がかみ合わなくなったり、身の周りの物の置き場所を忘れる事で、物が失われていくような気分になったりするのです。
そのことで、混乱する事もあります。

最初の内は、日常生活においても多少不便とはなりますが、それほど大きな問題となる事は少ないのです。
実際に認知症が怖いのは、その症状が進行してきた時です。

症状が進むと

進行過程として、徐々に日常的な記憶は覚えていても一時的な記憶はすぐになくなるようになります。
例えば、話しをしている途中でトイレに行き、戻って来る頃にはさっきまで何を話していたのかを丸々忘れてしまう、という事もあり得ます。
また、買い物に行ったのに何を買いに来たのかが一切思い出せない、という事もあるでしょう。

中には、見当識障害というものもあります。
これは、自分との関係を理解して検討を付ける能力が失われるというもので、最初は時間や今日が何日かという事が曖昧となり、徐々に時間帯や季節もわからなくなっていきます。

そこから、今いる場所の見当がつかなくなり、自宅がどこかわからなくなったり、出会った相手がだれか分からなくなり、たまにしか合わない孫のことを忘れたりと、症状が進行していきます。

筋道を立てて考える事や順番通りに行う作業なども困難となります。
例えば、衣服を着るには順番がありますが、その順番を忘れてしまいます。
また、判断能力も低下してくるので、踏切を渡るタイミングなども判断が難しくなる場合があります。

認知症が進行すると、問題行動も目立つようになってきます。
興奮しやすくなり、自分が行った事に反論されると、激高して暴言や暴力を振るうようになったり、介護をしようとしても抵抗したりするようになる事があります。

また、自宅に居ても知らない場所にいると思って、一人で記憶の中にある家を探そうと徘徊したり、勝手に他人の家に上がり込もうとしたりする事もあるでしょう。
さらに、あり得ないような事態を妄想して自分の中でそれを現実と思い込んだりする事もあります。
お金を盗まれた、という妄想が特に目立ちます。

認知症が進行していくと、このような症状が見られるようになり、日常生活が困難となります。
初期症状の疑いがある場合は、軽く見ずに症状が進行した時に備えた対処をするようにしましょう。

まとめ

認知症は初期症状の場合、それ程気にならない事も多いのですが、進行してくるにつれて日常生活も困難となっていきます。
特に会社の経営者などは、先んじて対処しておかなければ、いずれ会社の経営が危ぶまれる事態となっていくでしょう。
その症状は急激に進む場合もあるので、経営者が高齢となった場合には油断せず常に備えておきましょう。