企業において、経営者が高齢化してくると心配になるのが、認知症です。
認知症となり、症状が進行してしまうと経営に問題が生じてきます。
そうならないために、MCIを発見して進行を防ぐようにしたいのですが、そもそもMCIと認知症にはどういった違いがあるのでしょう?
MCIは認知症ではない
まず知っておきたいこととしては、MCIと認知症は似て非なるものだということです。
MCIは軽度認知障害というもので、認知症とは別のものとして扱われます。
しかし、MCIから認知症に進行することが多いため、認知症ではないもののその前段階として扱われます。
認知症との大きな違いとしては、MCIには判断能力が遺されているとみなされる点です。
日常的に使用しているものの固有名詞が思い出せなくなる、約束や予定がある日を忘れるなどの記憶障害が生じるものの、それほど頻繁ではなく、日常生活にも支障がない状態であれば、MCIと判断するべきです。
MCIかどうかを判断するための定義があり、まず認知症ではないということです。
そのうえで、記憶障害があることやそれを本人が自覚、あるいは周囲の家族などが指摘できること、判断能力は鈍っていても日常生活に支障はないことなどがあります。
そう判断された場合は、いずれ認知症となることを覚悟したうえで、本格的に認知症となる時期がなるべく先延ばしになるよう努めたほうがいいでしょう。
認知症となるのを完全に防ぐことはできなくても、時間的猶予を得ることができます。
具体的には、どうするべきでしょうか?
認知症を防ぐには
高齢となり、記憶力が衰えてきたと感じた場合などは認知症を疑うでしょう。
しかし、病院に行ってもまだ認知症ではないと診断された場合は、MCIの可能性を疑います。
病院でも医師からその可能性があると言われることにとなると思いますが、ただ認知症ではないからと安心はできないのです。
MCIを放置しておくと、数年以内には認知症となることが多いのですが、MCIの時点で対処を始めることで認知症となるまでの時間を引き延ばしが可能です。
また、認知症ではないので様々な法律上の契約なども可能となるため、認知症に備えた準備を始めるタイミングとしてはギリギリ間に合います。
任意後見制度などは、認知症と診断されてからは利用できないことも多いのですが、MCIの状態では判断力がまだ失われていないとされることが多いため、利用も可能なことが多いでしょう。
家族信託も同様で、認知症となると手続きはできませんがMCIの状態ならばその手続きが可能です。
MCIは、認知症を覚悟してそのための準備をする時間といえるでしょう。
経営者が認知症となってしまうと、会社の経営は様々な面で不都合が生じます。
しかし、あらかじめ自分が認知症になるからとそれに備えている人はそれほど多くありません。
ですから、このタイミングで認知症への備えをするべきなのです。
残念ながら、MCIも認知症も完治するものではありません。
しかし、しっかりとした備えをしておくことで周囲へと与える影響は最小限に抑えることができます。
いきなり認知症と診断されて、周囲が混乱するような事態となることを避けるために、まずはMCIを見逃さないようにして認知症に備えましょう。
まとめ
経営者が高齢化してくると、どうしても認知症の心配をせざるを得ません。
しかし、認知症になってからでは備えが間に合わなくなることも多いので、認知症の前段階となるMCIを見逃さないことが認知症を防ぐことにもつながります。
MCIは認知症の初期症状に似ていますが、判断能力が喪失しているわけではないため、契約などもまだ可能な状態です。
まずは早期にMCIを発見して、認知症となった時にあわてないようにしましょう。