コロナ禍の在宅勤務による情報漏洩リスク~経営者は注意が必要~

事業運営リスク

在宅勤務の場合、様々な管理を自分でしなければなりません。
その一つに、情報漏洩対策が挙げられます。
しかし、情報漏洩リスクは、個人の努力だけなら厳しい時もあります。
ここでは、コロナ禍における在宅勤務で想定される情報漏洩リスクについて知り、事前対策をしておきましょう。

在宅勤務で想定される情報漏洩リスクの内容とは?

在宅勤務を導入することで考えられる情報漏洩リスクの多くには、インターネットセキュリティ関係の内容がよく挙げられます。
しかし、セキュリティ面の課題については、企業側で事前に対策を講じることもできるでしょう。
例えば、指定のシステムを利用するように指示をしたり、セキュリティ面をクリアしている設備を利用したりするように促すことです。

ですが、それ以外にも細かい部分で想定される内容があるのです。

①住環境によるリスク
②書類等の紛失から発生するリスク
③SNSの利用から発生するリスク

いずれの内容も、従業員個人のちょっとしたことで起こり得える可能性があります。
従業員にリスクを理解してもらうためにも、まずは経営者がその恐ろしさを確認しましょう。

①住環境によるリスク

少し話は変わりますが、在宅勤務が普及した際に引っ越しを検討する人が増えました。
それは、自分の好きな環境・場所で働きたいというニーズが生まれたために、増加した背景があります。
しかし、人によっては引っ越しせざるを得ない事情を抱えていることも少なくありません。

それは、住まいの防音環境です。
在宅勤務をしていると、どうしても従業員同士でチャット以外に対話をする場面も出てきます。
そうなると、会話で情報共有することは避けられません。

その際に、防音設備があまり整っていないために、周囲の部屋に作業状況が聞こえてしまう恐れがあります。
近隣の住民が情報を盗むことは考えたくありませんが、その可能性が全くないとも言えません。
このような小さな部分から、情報漏洩のリスクが生まれているのです。

情報漏洩のリスクを低くするために、小声で、またはチャットだけでやり取りするのが厳しい業務もあるでしょう。
その結果、仕事がしやすい住まいを探すという人もいるのです。
住環境も、設備面の良し悪しによってはリスクの原因になることを覚えておきましょう。

②書類等の紛失から発生するリスク

次に考えられる情報漏洩リスクは、書類等の紛失です。
重要書類の持ち出しに関しては、情報漏洩のリスクが高くなることから、一定のルールを定めている企業が多いです。
また、そもそも持ち出しをしないというルールになっている企業も少なくありません。

しかし、どうしても業務の関係上、許可を得て自宅に持ってきていることもあるでしょう。
その際に注意すべきは、自宅での紛失や盗難になります。
例えば、自宅の机の分かる位置に書類を置くようにしても、うっかりどこに置いたのか忘れたということもあり得るでしょう。
さらに、自宅で盗難が発生するリスクも否定できません。

重要書類の紛失は、本当に些細なことから起こります。
持ち帰っている最中に、書類を入れた鞄を電車内に置き忘れてしまい、見つからなかったというケースもよくあります。
無くした物が見つかった場合は良いですが、見つからないことの方が多いです。

このことは、在宅勤務でも十分に起こり得ます。
仮に、自宅内で紛失した場合、見つけられる可能性は外部より上がりますが、必ず見つかるとは言い切れません。
紙媒体で書類を管理している場合、特に注意すべき内容になるのです。
紛失関連のリスクは、職場に限らず、どこでも発生すると考えて下さい。

③SNSの利用から発生するリスク

最後にお伝えしたい情報漏洩リスクは、SNSの利用です。
現在、世代を問わずSNSを利用している人は多いです。
もちろん、趣味の範囲内、親しい人との交流ツールとして活用する分には問題ありません。

しかし、注意すべきは「利用する場面」にあります。
例えば、在宅勤務の様子を写真に残し、それを公開したとしましょう。
その写真の中には、仕事をするにあたり使用しているパソコンや、書類が入っています。
確かに、他の人から見ると、「在宅勤務をしているな」とその様子が分かる写真になります。

ここで、少し見方を変えてみましょう。
例えば、業務で使用しているパソコン画面に重要データの内容があったり、書類の記載が分かるような形で写真が撮られていたりしたとします。
写真を見た人は、上記の情報を見ると、何の仕事をしているのか分かってしまいます。
さらに、同業者ならば、どこの企業と取引しているのかが分かってしまうかもしれません。

このような形で機密情報が漏れてしまうことは、珍しくありません。
従って、場合によっては従業員のSNSの使い方に対しても、事前に伝えておかなければならないのです。
SNSの使い方に注意しなければならないのは、子どもに限られません。
大人でも、間違った使い方をしてしまっていることがありますから、情報モラルの一環として捉えるべきです。

システム管理等のルールを周知する際には、一緒に普段のSNSの使い方にも言及しておくべきです。

在宅勤務で求められる情報漏洩対策は、システム面だけでない

ここまで記事をご覧になった経営者のみなさんは、あることに気付けるはずです。
情報漏洩のリスクは、インターネット等のシステム管理をしっかりとするだけで成り立たないことです。
大切なのは、ツールを利用する人間の意識ですから、設備面のサポートに対し+αが求められると考えましょう。
企業側で設定されたルールは、従業員にとって面倒だと感じられるかもしれません。
しかし、情報漏洩のリスクを徹底的に下げるならば、必要な流れですから手を抜くべきではありません。

情報漏洩のリスクは、自社の問題に留まりません。
情報が流出した取引先の企業にも迷惑がかかりますから、損害賠償等に発展する可能性もあります。
上記のようなトラブルの発生を防ぐためには、情報漏洩のリスクの大きさを、従業員にしっかりと認識してもらうべきです。

設けられたルールは、「全てリスクやトラブル回避のためにある」ということが分かるような説明も大切になることを忘れないで下さい。
この意思疎通も、大切なポイントです!

まとめ

在宅勤務での情報漏洩リスクは、何気ないところから発生します。
これは、気の緩みで発生するものでなく、管理状況等の要因から起こり得ることなのです。
従って、在宅勤務期間中は、いつも以上に情報管理を徹底するように心がける必要が出てくるでしょう。
それを従業員任せにせず、企業側でも定期的にチェックし合える関係性を築いておくと、お互いにリスク意識を高めることができます。