地震が頻発している中で、もしも大地震が発生すれば受注先や取引先とのルートが途絶え収益に影響が出て事業を継続できなくなる可能性も否定できません。
工場や事務所が倒壊してしまえば、再建までに日数や費用がかかり、その間は休業せざるを得ない状態にもなるでしょう。
もしも会社が倒産してしまった場合には、役員はどのような法的責任を負うことになるのでしょうか。
役員に対する法的請求は可能ですか
通常であれば会社と役員個人は、法律上、別個の法人格とされていますので、会社が倒産してしまった場合の請求は原則会社に行われることになるでしょう。
ただし会社が倒産した責任がある役員に対して、請求が全くできないことは債権者の保護がされないことになります。そのため例外的に会社役員個人に責任追及ができるケースもあります。
例外的に役員に責任追及が可能なケースとは?
例えば会社が倒産した場合でも、役員がその会社の連帯保証を負うケースでは役員個人に会社と同様の責任を追及することができます。
ただしこの場合には事前に契約書を取り交わしておく必要があります。通常の商取引では契約書を取り交わすケースは少ないでしょうが、もしも取引先がいつ潰れてもおかしくないという状況であれば役員に対して連帯保証を求めることも必要になるでしょう。
悪意のある行為による倒産は?
取締役が職務を果たさなかったことで経営が悪化した場合、取締役は債権者など第三者に対して損害賠償義務を負うこともあります。
放漫経営や詐欺に等しい行為などで商品を購入した場合など、取締役が会社に対して忠実義務を果たしておらず、会社が不正行為をしたことになれば取締役に対する損害賠償を請求が可能です。
例えば取引先が支払い能力のないのにもかかわらず、商品を仕入れて他へ転売し倒産した場合などが該当します。
名目上の取締役になった場合は?
これまで会社の経営に関知しておらず状況も把握していないのに、頼まれて名目上の取締役になったという場合はどうでしょう。
しかし単なる名目上の取締役の場合でも、代表取締役の職務執行について監視する義務が発生します。代表取締役の経営内容を全く関知していなかったとしても、代表取締役が第三者に損害を与えた場合には取締役でも責任を負うことが必要になるケースもあります。
考えられるのは友人に頼まれて役員になってしまうということで、役員になればそれなりの責任と義務が発生するということを理解しておきましょう。役員になるのなら、会社の経営状況や方法などを把握しておくことが大切です。
役員に責任はないだろうと安易に考えないこと
会社が倒産した場合でも、役員個人が責任を追及されるケースもあります。そのため役員は自分の身を守るという意味でも、経営状況の把握やもし責任追及された時の備えを行っておくことが大切です。