マイナンバー制度のデメリットとは?倒産リスクを抱える?

マイナンバー制度導入前に国税庁が把握していた法人事業所数と社会保険の加入法人事業所数の間には、約70万件という差があると言われていました。
社会保険未加入の法人が存在することが指摘されていたことで、マイナンバー制度の導入によりこれまで縦割りだった国税庁と厚生労働省、日本年金機構との間で情報を共有することになりました。

マイナンバー制度で行政指導が強化される?
日本年金機構は社会保険に加入している法人事業所を把握しています。そして国税庁は企業で勤める従業員の源泉所得税を納付しています。
この2つの連携が円滑になることで、社会保険に未加入の法人に対して行政指導が強化されていきます。
マイナンバー制度で倒産する企業も出てくる?
社会保険は労災保険・雇用保険と健康保険・厚生年金の4つに区分けされます。労災保険は被保険者という概念がないので、原則として従業員を雇用している場合は全ての従業員が加入する必要があります。
雇用保険は適用事業に雇用される従業員は原則加入する必要があります。パートタイム労働者でも条件次第で加入義務が発生します。
健康保険と厚生年金保険は、常時従業員を使用する事業所と個人経営で常時5人以上の従業員を使用する事業所は加入が義務付けられています。
健康保険と厚生年金保険の加入義務のない業種
従業員が5人未満の個人事業所、従業員が5人以上でも次の4業種の個人事業所は任意適用事業所に該当するため社会保険の加入義務はありません。
・第一次産業(農林水産業)
・サービス業(理容、美容、飲食店、旅館、クリーニング店など)
・士業(弁護士、税理士など)
・宗教業(寺院、神社など)
例えば常時5人以上従業員を雇用している美容院でも、個人経営であれば社会保険に加入する義務はありません。しかし法人化した場合には加入する義務が発生します。
社会保険に加入することのデメリット
社会保険に加入することになれば、保険料は従業員と折半することになるため事業者の負担が増えることになります。
マイナンバー制度で社会保険未加入の法人へと行政指導が入った場合には、保険料を半分負担する覚悟で加入する、もしくは個人経営化するしかありません。
負担の増加をカバーできる余力がなければ、最悪の場合、倒産や廃業という可能性も出てきます。
他にもこんな紐付けの可能性がある
マイナンバー制度は不動産の登記情報や自動車の登録情報とも紐づけされることが検討されています。いずれは金融資産、不動産、高額の動産が一体課税される可能性も否定できません。
実際のところ、2018年より銀行口座、特定健診(メタボ健診)の結果、予防接種履歴の管理にもマイナンバーが活用できることになっています。2018年時点では任意ですが、政府は2021年をめどにマイナンバーの告知義務化を目指しています。
マイナンバー制度による情報漏洩対策も忘れずに
手続きの円滑化など様々なメリット部分を考慮して導入された制度でもありますが、導入によって今後倒産する企業も出るかもしれないなどデメリットもあります。
ただし様々な部分から個人情報が漏洩していくのではないかという危険性もありますので、企業は漏洩リスクへの対策を講じる必要があるでしょう。