海外展開でのオペレーショナルリスクにはどんなケースが

事業運営リスク

2001年に発表された「自己資本に関する新しいバーゼル合意」の中に、新たな管理項目としてオペレーショナルリスクの管理が盛り込まれました。

しかし、オペレーショナルリスクがどのようなものか、詳しく知らない人も多いでしょう。

オペレーショナルリスクにはどのようなものがあるのか、主なケースについて解説します。

オペレーショナルリスクとは?

企業の経営をしていると、様々なリスクがあるのですが、特に海外でビジネスを展開している場合はリスクが増大してしまいます。

海外展開で生じるリスクとして、カントリーリスクやセキュリティリスクなどがあるのですが、特に注意が必要なリスクがオペレーショナルリスクです。

オペレーショナルリスクと呼ばれるリスクには様々なものがあるのですが、何が原因で生じるリスクなのでしょうか?

内部体制

内部体制が要因となって生じるオペレーショナルリスクには、規定や管理の不備などがあるのですが、具体的にはどのようなことでしょうか?

例えば、契約にあたって必要な項目が含まれていないという場合は、従業員の教育という内部体制が整っていないことが原因といえます。

人的要因

人的要因は、オペレーショナルリスクの代表的なもので、事務が未習熟であったり、検証が不十分だったり、あるいは不正行為を行ったりすることをいいます。

事務が未習熟の場合は、様々な事務手続きにおいてミスが起こりやすくなり、検証不十分だと書類が無効になってしまうケースも増えるでしょう。

不正行為については、情報漏洩やコンプライアンス違反、横領などがあり、従業員の教育不足や二重チェックなどの体制がないことでも起こりやすくなります。

システム要因

機器の故障やバグによる、システム要因のオペレーショナルリスクもあり、障がいが起こることで業務が一斉にストップしてしまうこともあります。

特に、海外展開をしていると拠点のシステムメンテナンスをする専門のスタッフが配置されていないこともあるため、解決に時間がかかるケースもあるでしょう。

外生的要因

企業としては発生を防ぐことができない、自然災害や外部の犯罪によるオペレーショナルリスクもあります。

自然災害は、台風や洪水、地震などの大規模なものから、地域の停電など小規模なものまでさまざまであり、いずれにしても業務が停止してしまうことが多いでしょう。

外部の犯罪は、従業員が誘拐されたり、麻薬や売春などに関わってしまったりするケースや、テロ行為で被害を受けたりするケースがあります。

オペレーショナルリスクの活用

通常、リスクというのは避けるべきものであり、海外進出で気をつけたいカントリーリスクやセキュリティリスクなどは、起こらない方が良いものです。

しかし、オペレーショナルリスクに関しては一概に避けるべきものというわけではなく、活用することが可能なケースもあるのです。

オペレーショナルリスクの活用方法

オペレーショナルリスクの一般的な利用方法に、オペレーショナルリスクの値をコストに含めて計算するという方法があります。

さらに原価計算とも連動させることで、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングのために活用することもできるのです。

また、IT投資に関する効率評価にも、オペレーショナルリスクは活用することができるのです。

商品やサービスの原価を計算する際に、作業工程の活動単位を1つずつアクティビティとして定義し、費やした経営資源に応じてコストを配分するという方法があります。

定義されているアクティビティは業務を分析定義したもので、ビジネス・ラインを細分化したものとも言えます。

アクティビティには事故発生の可能性もあるので、事故データを蓄積することで事故の発生確率や予測損失額を計算することができるのです。

アクティビティのリスクを回避するには、どれくらいのコストをかけなくてはならないかというトレードオフを管理できるようになります。

また、各業務を所轄している部署の管理者や担当者など、実務に詳しい人が潜在的なリスクを洗い出すことで、予防できるのです。

潜在的なリスクは、どのようなことが想定されるかを各部署でリスクシナリオとして作成し、リストアップしていきます。

重要な業務プロセスを対象としてプロセスチャートを作成し、リスクがどのような場面で生じる可能性があるかを確認して、潜在するリスクを洗い出していきます。

リスクは、影響度と発生可能性によって評価していくのが一般的ですが、固有リスクやコントロールの有効性が評価に影響することもあるでしょう。

他にも、IT投資の方か尺度における合意形成を行う際の指標として、オペレーショナルリスクは役立つのです。

組織・体制を整備するポイント

オペレーショナルリスクの対策として、組織・体制を整備する場合のポイントについて、解説します。

リスク・コミュニケーションを円滑化する

オペレーショナルリスクには多くの種類があるので、組織全体でリスクを把握して問題点を共有するためには、リスク管理の統括管理部署が必要となります。

また、オペレーショナルリスク管理委員会などを立ち上げて、リスク情報を一元的に管理することも重要となるでしょう。

経営の意思決定に生かして、適切に対応する

オペレーショナルリスクについては、経営陣が対応策を協議して決定し、各リスク管理部署の実務に精通した担当者が組織横断的に連携し、実行を徹底させるべきです。

経営陣の指示に従うだけではなく、チームとしてサポートすることも重要なので、連携を密にとるようにしましょう。

まとめ

オペレーショナルリスクは、海外展開した際には特に注意したいリスクで、内部体制や人的要因、システム要因、外生的要因などの原因があります。

外生的要因は防ぐことが難しいものの、他の要因については発生を予測し、対策を講じたり予防したりすることが可能でしょう。

オペレーショナルリスクの対策方法としては、リスク・コミュニケーションを円滑にし、経営の意思決定を活かして適切に対応することなどが有効です。

#保険見直し #保険事業 #保険業界 #保険アドバイス #自動車保険 #保険相談 #保険知識 #事業保険 #事業承継