中小企業の担保提供、個人保証について、効率的な資金配分に反しているという意見があります。
バブル期には土地が値上がったことで企業の優劣に関係なく担保偏重融資という反動もあってか、担保をとらないスコアリング融資なども動きを広めています。
担保提供後の中小企業の収益は?
そこで中小企業庁の金融環境実態調査と東京商工リサーチの財務データから中小企業による担保や個人保証提供があった後の収益や財務の変化について分析を行ったところ、担保・個人保証の否定的な側面とは逆で担保提供を行った企業の収益は改善して財務的な危機に陥る可能性が低下したことが実証されています。
銀行側の中小企業への対応は?
日本では担保提供や個人保証に関して、否定的な側面が強調されてきたところがあるため銀行は中小企業に対して大きな担保を求めがちです。
その担保の過大さから、結局資金を必要とするところへは資金が行き渡らない状況です。
個人保証の場合には、資金が返済できなくなった事業者とは全く関係ない第三者へ返済を求めることになってしまうなどがあります。
特にバブル期には担保になる土地があれば融資を受けられたので、銀行の姿勢も批判対象となっていました。
銀行側の担保提供についての取り組み
このようなことから中小企業には担保を求めない方がいいのではと考えてしまう傾向へ傾き、金融庁もそのような考え方が根強くなっています。
リレーションシップバンキングの機能強化に関してのアクションプログラムなどで行われた取り組みなどは、銀行と企業が関係を緊密にし、資金が本当に必要な中小企業へお金が流れることの重要性が強調され、そのためにはどのような取り組みや方向性が大切になるかが示されています。
そしてこのプログラムでも担保や保証に過度に依存する融資はやめるような考えが示されています。
担保の提供はアリ?ナシ?
担保提供は収益の改善や財務の悪化の回避には必要ということはわかりましたが、その理由として企業の行動と貸し手である金融機関の行動、この2つが変わることが考えられます。
企業の行動とは、融資を受けて返済不能に陥った場合に担保を差し押さえられてしまう危機感から、それを回避するための経営努力を行いモラルハザードの抑制へ繋げることができます。
金融機関の行動は担保を提供した企業について、頻繁にモニタリングしていく必要がありますがこのモニタリングを企業が重く受け止めれば経営に規律が働くようになるでしょう。
さらに担保提供で資金をより多く融資してもらえることで新規事業を多く行い売り上げを増やすことで収益が改善する可能性も考えられます。