年金未納を放置するリスク

社会保険制度(年金/医療/雇用/労災/介護)

国民年金は、日本に住む20歳以上の人であれば加入が義務付けられているのですが、近年は国民年金の保険料が未納になっている人が増えています。

国民年金は、未納のまま放置しているとどのようなリスクがあるのでしょうか?

年金を未納のままで放置するリスクについて、解説します。

国民年金とは

国民年金に加入するのは義務であり、当然保険料を支払うのも義務付けられているのですが、実は意外と多くの未納者がいます。

国民年金に加入していても、将来もらえる年金はたかが知れているから払いたくないという人は多いのです。

しかし、国民年金は将来受け取る年金だけではなく他のことも絡んでくるため、未納のままだと大きな損をすることもあります。

国民年金は、20歳から60歳までの40年間、480カ月納付するというのが原則となっていて、全て納付すると老齢基礎年金を満額貰うことができるのです。

国民年金には、第1号、第2号、第3号という3種類の被保険者がいるのですが、それぞれどのような違いがあるのか解説します。

第1号被保険者は、主に個人事業主として働いている人や、パートなど非正規雇用で働いていて社会保険に加入していない人のことです。

第2号被保険者は、会社の社会保険に加入している人や、厚生年金に加入している人のことをいいます。

第3号被保険者は、自分で国民年金に加入しているのではなく、配偶者の扶養に入っている人のことです。

第3号被保険者となるのは、基本的に年収が130万円以下で配偶者が第2号被保険者であり、扶養に入っている人です。

国民年金の未納者は意外と多いのですが、3種類の被保険者のうち未納となる可能性があるのは、第1号被保険者に限られます。

なぜかというと、第2号被保険者の場合は会社が給料から天引きして納付しているため、未納となることはないのです。

また、第3号被保険者であれば、そもそも納付義務がないため国民年金を納める必要がなく、未納となることはありません。

しかし、第1号被保険者は自分で手続きをして、自動振り込みの手続きなどをしなくてはならないため、手続きの不備があると未納が発生するのです。

また、学生の場合は扶養に入っていなければ第1号被保険者となるのですが、免除特例などがあるため未納を避けることができます。

国民年金が未納になっている人はどのくらい?

国民年金の保険料が未納になっている人は、被保険者のうちどのくらいの割合でいるのでしょうか?

まず、国民年金の加入者は全体でおおよそ6,700万人と、日本の人口の約半分となっています。

加入者のうち、未納の可能性がある第1号被保険者は約1,431万人で、実際に未納となっているのは106万人です。

特に多いのが、20代の若い人の未納ですが、学生の場合は免除特例の申請をすればいいのですが、忘れていることも少なくありません。

未納のデメリット

では、国民年金の保険料が未納になっている場合は、どのようなデメリットがあるのでしょうか?

未納のデメリットとしては、まず将来もらえる年金が減額されてしまうという点があり、65歳からもらえる年金が満額ではなくなってしまいます。

年金の保険料は毎年20万円ほどで、年金をもらうときに満額であれば毎月8万6千円、年間で81万円受け取ることができます。

しかし、未納があると満額から少しずつ減額されてしまい、さらに未納期間が10年以上あるとかなり減額されてしまうのです。

また、通常の年金だけではなく、障害年金や遺族年金なども貰えなくなってしまうというデメリットもあります。

障害年金は、障がいが出たときに国から補助としてもらえるお金であり、遺族年金は配偶者が亡くなった時遺族に支払われる手当です。

もし遺族年金や障害年金がもらえないようであれば、今まで収入の柱だった配偶者が亡くなった時、残された家族の生活が成り立たなくなる可能性があります。

万が一の事態に備えるのであれば、年間で20万円ほどかかるとはいえ、未納にせずきちんと支払うべきでしょう。

未納だと差し押さえを受ける?

国民年金が未納のままだと、差し押さえを受けてしまうというのは本当なのか、解説します。

未納だと差し押さえを受けることになるというのは本当なのですが、実際にはよほどのことがない限り差し押さえになりません。

しかし、実は2023年の国民年金未納による差し押さえ件数は3万件と、非常に多いのです。

差し押さえを受けるまでにはいくつかのステップがあり、まずは納付期限を過ぎたら督促の電話がかかってきます。

電話以外にも、郵便で督促を受けることもあるのですが、無視していると次は特別催告状という、請求書が送られてくるようになるのです。

最初は青い封筒で送られてきて、次は黄色、最後には赤い封筒で送られてくるようになります。

赤い封筒でも支払われなかった場合は、最終催告状という通知が送られてきて、無視してしまうと督促状が届き、未納分に延滞金がプラスされてしまいます。

最終的には差し押さえ予定通知書という手紙が届き、財産を調査して差し押さえます、と予告されるのです。

差し押さえになる前には何段階ものステップがあるのですが、すべて無視して納付しないままだと差し押さえを受けてしまいます。

差し押さえは主に給与などの一部が対象となりますが、十分な金額を差し押さえることができなければ車や不動産も対象となるのです。

以前は、10年間未納を続けると国民年金はもらえなくなりましたが、現在もらうことはできるものの大幅に減額されることとなっています。

しかし、一度未納になっても後から追納することも可能なので、将来のことも考えて未納のまま放置しないようにしましょう。

まとめ

国民年金は、第1号被保険者の人が未納となる可能性があり、実際に1400万人ほどの人が未納となっているのです。

未納のまま放置していると、将来もらえる年金が減額されてしまうだけではなく、障害年金や遺族年金も支払われなくなってしまいます。

また、放置していると督促を受け、最終的には差し押さえを受けてしまうことになるため、催告状が届いたら速やかに支払うようにしましょう。