ビットコインをはじめとした仮想通貨の取引で利益が出た場合は、税金が課されることとなります。
税率は最大で55%にもなるため、高いと感じる人もいるでしょう。
しかし、他の国と比べて日本の税率は本当に高いのでしょうか?
日本と他国では税率がどのくらい違うのか、解説します。
現在の税率は?
日本で仮想通貨を取引して利益を得た場合は、利益に対して所得税と住民税などの税金が課されるのですが、具体的にはどのくらいになるのでしょうか?
まず、仮想通貨の取引による利益に関しては所得税が課されることとなるのですが、所得の分類としては雑所得になります。
雑所得は総合課税という分類で、他に給与所得などがある場合は他の収入と合算した所得に合わせて課税されるのです。
年間の所得金額の合計が195万円未満なら税率は5%ですが、195万円以上330万円未満の場合は控除額97,500円で税率は10%となります。
330万円以上695万円未満では控除額が427,500円となって税率は20%、695万円以上900万円未満であれば控除額は636,000円で税率は23%となるのです。
900万円以上1,800万円未満では控除額が1,536,000円で税率は33%、1,800万円以上4,000万円未満の場合は控除額が2,796,000円で税率は40%となります。
4,000万円以上になると、控除額は4,796,000円で税率は最高の45%になってしまうのです。
所得税は累進課税といって、所得額が大きくなるほど税率も高くなってしまう仕組みになっているため、仮想通貨で大きな利益を得るほど税率も高くなります。
所得税の他に、さらに10%の住民税が加わるため、税率は最大で55%と半分以上が税金として納税することになるのです。
仮想通貨の取引所は海外に多いため、海外にある取引所を利用した場合は税金がどうなるか気になるかもしれません。
たとえ海外の取引所を利用した場合でも、日本国内に在住している限りは日本の税法に従わなくてはならないのです。
日本国内に住所がある人の他に、現在まで1年以上連続して居所がある場合は、日本の居住者となります。
海外の取引所を利用している人であっても、年間20万円以上の利益を得た場合は、確定申告が必要となるのです。
海外の取引だからばれないのではないかと思う人もいますが、送金や出金の履歴、クレジットカードの利用履歴などをチェックされて、申告漏れと疑われるかもしれません。
また、国税庁は必要に応じて各国に情報収集や提供を要請することも可能なので、集められた情報から申告漏れを指摘されることもあるのです。
日本国内の居住者が仮想通貨の取引で20万円以上の利益を得た場合は、忘れずに確定申告をしてください。
税率が低い主な国
日本では、仮想通貨の取引の利益に対する税率はかなり重くなっているのですが、海外の場合はどのくらいの税率になるのでしょうか?
特に税率が低い国としてシンガポールがあるのですが、シンガポールでは仮想通貨や株などの売買で得たキャピタルゲインは非課税となります。
また、日本と同じく所得税は累進課税で税率が決まるのですが、最高でも24%と日本のおよそ半分程度の税率です。
マレーシアも累進課税で消費税率が決まるのですが、最大でも30%にしかならず、日本よりかなり低くなっています。
また、マレーシアには住民税に該当する税金が存在していないため、追加で課税されることもないのです。
個人で仮想通貨を取引して利益が生じた場合は、基本的にシンガポールと同じく非課税になっています。
韓国も、仮想通貨を売却した場合に得た利益は非課税ですが、将来は20%程度課税するという計画もあるといわれているのです。
韓国での仮想通貨取引を検討している場合は、今後の課税についてもチェックしなくてはいけません。
所得税も住民税もない、無税の国として知られるドバイは、仮想通貨に関しても当然非課税です。
個人投資家にとっては理想的な国ですが、法人は2023年に9%の法人税が課されることとなったため、注意しましょう。
ドイツの場合は、所得税法において資産を1年以上保有したうえで売却する場合は利益が非課税になると定められているのです。
しかし、支払いに利用した場合は所得税の課税対象になるなど、すべてのケースで適用されるということはありません。
スイスは税率が低い国として知られており、個人の仮想通貨取引で得られた利益に関しては非課税です。
また、仮想通貨への取り組むも進められていて、クリプトの谷とも呼ばれていて仮想通貨投資家の移住先候補としても有力とされています。
税率の改正はあり得るのか
2023年には暗号資産取引に関する税制改正の要望書が出されていて、分離課税や法人税、資産税の他、暗号資産同士の交換についての要望が含まれているのです。
仮想通貨に関する税率の引き下げや損失が生じた場合の繰越控除、課税のタイミングなど、個人投資家にとっても無視できない内容となっています。
現行の税制では、日本では他国と比べてかなり重い税率になっているため、今後改正されてもっと気軽に取引ができるようになることが望ましいでしょう。
現状の税率は、仮想通貨という枠組みに対する認識がない状態で税制が定められていて、すでにある枠組みに仮想通貨を無理やり押し込めた結果といえます。
今後、仮想通貨に関しての理解が深まり、取引が増えていくことで税制においても見直しが入り、税率も適正なものとなるでしょう。
もし、税制が改正されないまま改善の兆しが見えない場合は、他国に移住する個人投資家が増える可能性もあります。
個人投資家を守るという意味でも、早急に税制の見直しを行って現状に即した形へと改正することが求められるのです。
まとめ
日本で仮想通貨の取引をしている個人投資家には、最大で55%という重い税率での所得税と住民税が課されます。
大きな利益を得ても、高い税率が課される現状に納得している個人投資家は少ないでしょう。
海外では、仮想通貨のキャピタルゲインは非課税になっている国や、税率が日本の半分以下という国も少なくありません。
今後、税制改正が行われて適切な税率にならなければ、移住する個人投資家も出てくるのではないでしょうか?