日本に存在する会社の90%以上は中小企業です。
つまり中小企業の業績は日本経済に大きく影響を及ぼすといっても過言ではありません。しかし、現在多くの中小企業が苦戦をしている現状です。
そこで、今回は中小企業がこれから飛躍するために必要となる業務のマニュアル化について解説させて頂きます。
属人性の高さは諸刃の剣
中小企業といえば、職人さんを抱えていて、伝統的な技術を使った物作りを行っているケースが大変多く見受けられます。
もちろん職人さんがいない場合も、ベテラン従業員でないとできない業務が多く存在している傾向があります。
もちろんこれは素晴らしいことで、日本伝統の技術の高さはこのような職人さんによって支えられています。
しかし、この属人性の高さは今の時代不利に働く場合が非常に多くあります。
実際、今業績不振の中小企業はまさに属人性の高さがボトルネックになっているケースが多いようです。
業務のマニュアル化がオススメの理由
なぜ属人性の高さがボトルネックになるのでしょうか?
この理由は多くの答えが存在しますが、マクロな部分でいえば現在が変化の時代であることでしょう。
インターネット、そしてスマートフォンが誕生したことにより、あらゆる常識が変わってしまいました。
通販で購入した商品がその日のうちに到着することや、個人間で物を売買するようなサービスなど10年前では考えられなかったようなサービスが多く存在しています。
ラインというコミュニケーションアプリがありますが、今ではそのアプリを持っていない方が連絡を取りにくいと感じさせるほど浸透しています。
10年ひと昔という言葉がありますが、いまは10年より早いスピードで世の中は変わっているのです。3年ひと昔といって良いほどでしょう。
企業経営で重要なことは時代の波をうまく捉え、体質を変化させて行くことです。
つまり、変化に柔軟な対応ができる企業が生き残ることができるのです。
しかし、属人性の高い企業である場合、この変化への対応はどうしても遅れてしまいます。
一人でできる業務量には限界がありますから、変化に対応するには全員が対応できていなければ意味がありません。
また、日本企業の場合は、多くの職人さんが高齢者であることも多いため、より時代の変化に取りに残される事が多くあります。
また、これは職人さんに絞った話ではなく、経営者にも同じ事が言えるでしょう。
多くの企業は現代世代交代のタイミングを迎えております。
つまり、会社全体の高齢化が進んでいるのです。
日本の経済成長とともに会社を大きくしてきた経営者が高齢になり、時代の変化に取り残される事で業績不振に陥っているのです。
また、現代はどこの企業も採用に苦しんでおり、特に平均年齢の高い企業や地方の中小企業などは非常に厳しい現状です。
そんな中重要なことは、いかに一人当たりの生産性を上げられるか、そして離職率や定着率をいかに高水準にできるかということです。
人が採用できない中業績を伸ばすには、一人当たりの売り上げや粗利額をあげるしかありませんし、高い採用コストをかけて採用した人材をいかにやめさせないかが鍵です。
そしてこれら全てにおいて重要になる事が業務のマニュアル化なのです。
例えば、一人当たりの生産性を上げる事を考えてみましょう。
これには大きく2種類の方法があるといえます。
一つは、カリスマ営業マンの売り上げをさらに伸ばして行く事です。要するに、カリスマ営業マンではないとできない業務に専念させる事で売り上げをアップさせる方法です。
しかし、これは上述したように限界があります。また、一人に売上を依存することは企業経営において非常に不安定な状態とも言えるためあまりお勧めはできません。
二つ目の方法は、若手社員でも稼げる環境を作ることです。
これまで入社5年目までは給料分稼ぐのが精一杯だった社員が3年で給料の3倍を稼ぐようになると考えれば全体の生産性が上がることに納得頂けるはずです。この方法はどちらかといえば、脱カリスマで平均点を上げる方法とも言えるでしょう。
そして、この平均点を上げるために手段こそが業務のマニュアル化なのです。
マニュアル化する事ができれば、人材育成が容易になり、早期に現場へ出る事が可能になり、早いうちから経験を積むことも可能です。
業務のマニュアル化をすることで生産性が上がる
業務のマニュアル化を行う上で、必要になることは業務の棚卸と無駄の削除です。
日々時間に追われながら業務を行っている場合、業務プロセスの見直しができておらず、ずっと昔から変わらない方法を行っているケースが多々あります。
マニュアルを作成する上で、そのようなプロセスの見直しができ、その結果効率的な方法を見つけることもできるでしょう。
他にも、マニュアル化ができれば、業務の分業化が可能になるため人材育成が容易になります。当たり前ですが、一度に覚える業務内容が少ない方がプロフェッショナルなるスピードは早くなります。
このように業務のマニュアル化を行うことで、会社全体の生産性を上げる事ができ、多くの中小企業が抱える属人性の高さの問題を解決する事ができるのです。
最後に、業務のマニュアル化はあくまでも手段にすぎません。
一度作ったマニュアルは定期的なアップデートが必要ですし、マニュアル業務だけで満足していては会社の業績を伸ばし続けることは厳しいといえます。
まずは、標準化・平均化を行い、その土台の上に個人のスキルを存分に発揮していただければ幸いです。