会社の業績を伸ばすためには、人材確保が必要だと言えます。
しかし、現在の日本では人材獲得が非常に難しく、それが原因となり売上を落とす企業や倒産にまで陥ってしまう企業も存在しています。
そのような状況を打破していくために、働き方改革が急ピッチで進められています。そこで今回は、働き方改革の中の外国人人材の受け入れについて紹介をさせていただきます。
国内人材だけでは経済成長が止まる可能性が高い
働き方改革における労働者の確保は外国人以外にも多くの方向に進められています。例えば、育児や介護などを行う人材を労働力として活用していこうという流れも現在非常に強いものです。
では、なぜ外国人人材の活用が必要なのでしょうか?
結論から言えば、国内人材だけでは今後の経済成長を行なっていくだけの数を満たすことができないということです。
具体的に言えば、日本の労働者人口は2016年7,656万人から2030年6,875万になると予想が出ています。予想といっても、これから約15年後のことですから、すでに生まれている子供達の数から算出されています。つまり、これから十数年で800万人の労働者人口が減少するということです。
そして、この800万人は育児や介護を行う人材やシニアを活用したとしても、埋めることができないほど大きな数なのです。
だからこそ、外国人人材が注目を集めているのです。
外国人人材の活用メリットとは?
理屈は理解できたとしても、これまで行なっていなかった企業からすると外国人人材を採用することは非常にハードルが高く、おそらく子育てママやシニアを活用する方法を優先する方が多いのではないでしょうか。
そこでここでは単なる労働力の確保だけではない、外国人人材活用のメリットについて解説をさせて頂きます。
いくつかの面から考察していきますが、まずは国内マーケットから考えてみましょう。
日本経済はここ数十年成長が鈍化しており、かつては世界第2位にまで上り詰めたGDPも今では大きく下がっております。
この背景にはある原因は、国内マーケットの縮小でしょう。
マーケットの縮小というとわかりにくいかもしれませんが、人口を考えてみればわかりやすいでしょう。
経済活動を行う人口が減少すれば、自ずとマーケットのサイズは縮小していきます。実際、2016年の日本の総人口は1億2700万人ですが、20130年には1億1900万にまで減少すると予測されています。さらに、この減少スピードは年々加速しており、2,050年には1億人を下回る可能性すらあるのです。
そうなれば、国内マーケットはさらに縮小し、その限られたパイを多くの企業で取り合う非常に競争の激しい時代になるでしょう。そして多くの企業はその競争に敗れ、倒産していくのではないでしょうか?
そのような事態を少しでも回避するためには、海外に目を向けることが必要です。現在はすでに国内いながらでも海外と時差なく取引を進められるインフラが整っています。それらを活用し、全世界を対象にビジネスを行うことができれば、国内のマーケット縮小の影響は少なくなるに違いありません。
では、あなたが海外展開を考えた時に社内に外国人人材が多くいればいかがでしょうか?
もちろんそんなにありがたいことはありません。
そうです、外国人活用のメリットの一つは海外展開を行う上で、非常に大きな戦力になるということです。
また、これまでアウトバウンドを例にメリットを紹介しましたが、インバウンドでも同様に大きな戦力になり得ます。
身近な例で言えば、ドラッグストアがあります。
ドラッグストアでは訪日の多い中国や韓国などの人材を活用し、母国語での接客を可能にすることで、とてつもないスピードで成長しています。
訪日外国人をうまく売上につなげることができれば、当然国内マーケットの縮小の影響は小さくなりますから、企業にとっても大きなメリットに違いありません。
他にもメリットはあります。
例えば、外国人を活用することで組織が活性化する例が多くあります。
日本で働きたいと考えている外国人は、それぞれの国の中でも優秀な人材、もしくは思いの強い真面目な方が多い傾向にあります。
だからこそ、慣れない日本の環境に早く順応しようと非常に意欲的に仕事や勉強を行います。このような姿勢は日本人従業員とっては新鮮なもので刺激となります。そして結果的に会社全体のモチベーション向上につながるという声が多くの企業から上がっています。
また、オプション的なメリットとして、外国人人材と一緒に仕事をすることで日本人従業員の語学スキルが向上し、これまで以上に多くの場面で活躍できるようになるといったことも実際に起きているのです。
このように外国人の活用は多くのメリットがあるのです。
外国人活用の注意点
これまで多くの外国人活用のメリットを紹介させて頂きましたが、注意するべき点もいくつかあります。
例えば、外国人を採用するにはビザの取得が必須になります。
これまで日本人しか採用をしてこなかった企業にとっては、ビザ取得は初めてになりますから少しハードルが高く感じるかもしれません。
ビザの取得については入国管理局のHPをみれば詳細が書かれていますからそちらをご確認頂きたいですが、注意しないといけないこととして、会社規模によって必要書類が異なることです。
また、ビザ取得後も更新の手続きが定期的に必要だったりします。
外国人活用にはこのような初めての作業が発生するのです。
他にも、外国人が定着しやすい環境作りも必須になります。
当たり前のことですが、海外と日本では文化が違いますから、外国人労働者にとって日本企業で働くことは、日々違う文化を学ぶ必要あります。
そのようなサポート体制を構築しておくことはもちろん、ビジネス用語や敬語などのコミュニケーションサポートなどあらゆる面で環境整備が必要になります。
また、採用した外国人の国や宗教の習わしなどにも注意をする必要があります。
例えば、イスラム教徒を採用する場合は、社内にもお祈りができるスペースを作る必要があるかもしれませんし、ハラル対応ができるように社員寮への入寮を必須にしない配慮などが必要かもしれません。
他にも、日本人よりも外国人は家族を重要視する傾向があるため、家族との時間の確保について考慮した環境整備が必要になるかもしれません。
また、環境整備だけでなく既存従業員の認識をあわせておくことも重要です。
要するに、制度だけ整備をしても従業員にとってはそれがどういう意図のものなのかはわからないものです。
更に言えば、なぜ外国人活用が必要なのかについてもわからない従業員が多いかもしれません。
このような社内体制ができる前に外国人活用を行うことは、結果的にコストに見合った成果がでないケースが多いですから必ず注意をしましょう。
外国人の受け入れを行ったことがない企業にとっては非常にハードルが高いことなのかもしれませんし、採用後もうまく活用していくことも非常に難易度は高いでしょう。しかし、メリットでもご紹介したように仕組みとして回り始めた時には非常に大きな戦力になることも事実です。
最後に、外国人の受け入れは企業戦略です。
あなたの会社が今後どう成長していくのか、例えば海外に展開していくにしろどこの国をメインで攻めていくのか、などを考慮した上で進める必要あるため、
知り合いがベトナム人が良いと言ったから、などの安易な理由ではなく会社全体の戦略として判断を行うようにしましょう。