厚生労働省は、国、事業者、労働者などが一体となり安全と健康を守りながら労働ができるように、労働安全衛生法の規定に基づいて「労働災害防止計画」を策定しています。
施策ごとに目標を設定して取り組みを行うことを勧めていますが、その中にメンタルヘルス対策の推進があります。
メンタルヘルス対策の推進の内容
かかげている目標は、メンタルヘルスケアに取り組む事業所の割合を80%以上にすることです。
その内容としては、精神的不調が起こらないための職場改善、ストレスを抱える人に対する気づきと対応を促進すること、そしてどう取り組むべきかわからない事業所へ支援を行うことです。
心の健康への対策の実施
現在メンタルヘルスと呼ばれる心の健康についての対策に取り組んでいる事業所は全体の47.2%です。
50人以上の規模では7割、300 人以上の規模では9割を超える割合です。
対策として取り組んでいる内容は、半数近くが労働者への教育研修および情報提供で、管理者への教育研修および情報提供、メンタルヘルスケア専用窓口の設置と続きます。
事業者が行うべきこと
メンタルヘルスケアを推進していくためには、心の健康づくりのための計画を策定する必要があります。
実施するにあたり、次の4種類のケアが継続的に行われるように取り組みましょう。
・心の健康問題の評価の特性を理解すること
心の健康の評価は、抱えている問題の発生過程に個人差があるため経緯の把握が難しいでしょう。
労働者は誰しも心の問題を抱える可能性がありますが、健康問題以外の観点から評価される傾向が強いという問題を回避する必要があります。
・個人情報の保護への十分な配慮を
労働者の健康情報を含めて個人情報の保護、意思の尊重などが大切です。
情報の収集や利用にあたって個人情報の保護についての配慮を十分に行い、労働者が安心してメンタルヘルスケアに参加できる状況を作る必要があります。
・人事労務管理と連携させる
心の健康は、職場での配置、異動先など、組織の人事労務管理ととても関係が深いため、人事労務管理と連携させることが必要です。
・職場以外で問題を抱えている場合の理解を
心の健康問題は職場でのストレスだけでなく、家庭や生活環境などの影響を受けているケースも多く見られるということも理解しておきましょう。
職場でできるストレス改善の対策
労働のしにくさは疲労感やストレスを増大させます。
心の健康問題だけでなく生産性を低下させたり事故が発生する要因にもなりかねませんので、職場環境を改善しストレスも改善させていきましょう。
例えば照明や温度など、作業スペースのレイアウトなどもストレスの原因になることがありますし、情報の渡り方や会議方法、組織の作り方などもストレスに影響を与えている場合があります。
事業所が行うべきメンタルヘルスケアとは
メンタルヘルスケアは、職場環境などを改善、労働者が精神的不調を訴えた場合の適切な対応、そして休業者が職場復帰できるための支援が円滑に行われることが必要です。
労働者が安心して仕事に励むことができる働きやすい職場であることが、職場の雰囲気を良くし生産性を向上させることにも繋がっていくでしょう。