中小企業は、現在多くの課題を抱えています。
特に人手不足で悩む企業は多く、その対策として生産性向上に取り組むのが急務とされています。
生産性の向上は、業務プロセスの見直しが重要となるのですが、どのように見直すべきでしょうか?
取り組みの現状は?
中小企業は、現在人手不足などの問題を抱えていることが多く、その改善のために生産性向上への取り組みが急務とされています。
生産性の向上には業務プロセスの見直しが重要となるのですが、果たして企業はその点についてどのように取り組んでいるのでしょうか?
中小企業庁が発行している中小企業白書によると、現在何らかの形で業務見直しに取り組んでいる企業は全体の86.2%に及び、全く取り組みを行っていないのはわずか13.8%にとどまっています。
ほとんどの企業では、業務プロセスの見直しに取り組んでいるという事が分かります。
しかし、その取り組み単位を企業の従業員数によって分けてみると、全社で取り組んでいるという回答をしている企業の割合は、従業員数が増えるにつれて増加していきます。
そこから、部門別での取り組み、チーム単位での取り組み、従業員それぞれでの取り組みと回答した割合は、取り組み単位が小さくなるほど従業員数が少ない企業では割合が増えていきます。
そして、全く取り組んでいないと回答した割合は、301人以上の企業では5.1%ですが、従業員数が少なくなるにつれてその割合は徐々に増えていき、30人以下の企業では20.5%となっています。
取り組みの具体的な内容としては、業務のマニュアル化が最も多く、次いで不要な業務の見直し、業務の見える化と続いています。
各企業とも、自社の抱える課題に沿った形での業務プロセスへの取り組みを行っているのでしょう。
見直しによる効果は?
業務プロセスの見直しによって、どのような効果が現れるのでしょうか?
実際に見直しを行った企業が、どのように効果を実感しているのかを紹介していきます。
まず、人手不足や生産性向上について、効果を得られていると実感しているという回答が最も多かったのは製造業で、以下、卸売業・小売業、サービス業、情報通信業と続きますが、製造業では7割近くの企業が、情報通信業でも約6割が効果を実感できていると回答しています。
その一方で、運輸業や建設業においても効果を得られていると実感できている企業は半数ほどで、3割程度の企業では効果がほぼ得られていない、もしくは分からないと回答しています。
どの業種であっても、半数以上はその効果を実感できているものの、業種によっては実感が得にくい場合も考えられるようです。
続いては、業務見直しの取り組み内容による労働生産性の向上について見てみましょう。
業務見直しを図った企業では、取り組みを始める前となる3年前と比較して労働生産性が向上したという意見と、変わらないという意見、低下したという意見の3つの選択肢があり、その取り組み内容によって割合は異なっています。
最も労働生産性が向上したという意見が多かったのは業務のマニュアル化で、46.1%の企業が向上したと回答しています。
その一方で、変わらない、もしくは低下したという意見もそれぞれ3割以上となっています。
効果が高いと見られる取り組みは、不要業務の見直し、業務の見える化、業務の細分化と続きますが、いずれも向上したという回答が最も多い結果となっているので、取り組みには一定の効果があると考えていいでしょう。
このことからも、やはり生産性の向上には業務プロセスの見直しが重要となる事が分かります。
まとめ
中小企業が課題としている労働生産性の向上を目指すには、まず業務プロセスの見直しが必須といえます。
業務プロセスの見直しを行っている企業の割合は大きいのですが、従業員数が少ない企業ほど取り組みを行っていないようです。
業務プロセスの見直しを図ったことで、多くの企業がその効果を実感できているという点を考えると、やはり見直しは必須といえるでしょう。