外国人労働者受け入れのリスクについて考える⇒労働単価が下がる=給料が安くなる

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これまで、外国人労働者が徐々に増えつつあった日本では、2018年に外国人労働者の受け入れを拡大するという方針を表明しました。
しかし、実際に受け入れるとなると、様々なリスクが生じることが懸念されていますが、具体的にどのようなリスクが生じるのでしょうか?

なぜ、外国人労働者が必要なのか

そもそも、日本はなぜ外国人労働者の受け入れを拡大することにしたのでしょうか?
まずは、日本が外国人労働者を必要とする背景とはどのようなものか、増加している外国人労働者に対して正式な声明を発表したのはなぜか、という事を考えてみましょう。

現在、日本の社会問題の一つとして1980年代から少子化が進行しています。
それに伴って、15歳から64歳の人口となる生産年齢人口も減少傾向にあり、徐々に人手不足が目立つ業種が増えてきました。

特に人手不足となっているのは、地方の中小企業などです。
あまり給与も高くすることができないこともあって、就職希望者の数は減少傾向にあり、様々な業種が人手不足に陥っています。

その人手不足を補っているのが、外国人労働者です。
日本で働く外国人には、高度な教育を受けて特殊な知識や技能を備えた、先進国であるアメリカやドイツ、フランスなどから来ている人もいますが、この場合の外国人労働者はその人たちとは違い、フィリピンやベトナムなどの発展途上国新興国から訪れている人たちのことをいいます。

特長としては、日本との物価の違いがあります。
日本のサラリーマンの月給でも、海外ではメイド付きの豪邸に住むことができるという比較をされることがあるように、大きく物価が違うため日本では低賃金であっても、その国の人にとっては十分な給与であり、自国への仕送りもできるのです。

ただし、外国人労働者が働ける業種には制限がありました。
今回の声明では、その制限を緩めて今後は特定技能という新しい在留資格を定めたり、能力水準試験を行ったりすることで、これまでは雇うことができなかった14業種での雇用ができるようにしたのです。

どんなリスクがある?

メリットが大きいように思える外国人労働者受け入れですが、どのようなリスクが生じることが懸念されているのでしょうか?
リスクについて、考えてみましょう。

まず、外国人労働者を雇う場合でも、各都道府県で定められている最低賃金を下回ることは許されません。
不当な薄給で労働させるということはできないのです。

しかし、日本人にとって最低賃金をクリアしているというだけでは十分な給与とは言えないのですが、外国人労働者の中にはその水準で十分働ける、という人も少なくありません。
そうなると、企業としてもわざわざ給与を高くする必要がなくなり、最低賃金さえ守っていればそれでいい、という考え方になることが考えられます。

その結果、労働単価が下がってしまい、日本人が働く場合でも給与の水準が下がってしまうことになりかねません。
同じ仕事ができるのであれば、わざわざ給与を上げるよりも安く雇える人材を求めるのは企業として当然といえるからです。

また、これまで起こっていた不法就労などは減るかもしれませんが、正式に雇用することになった時は、海外と日本における風習の違いからトラブルが生じる可能性もあります。
特に、宗教に基づいた習慣などはなかなか歩み寄ることが難しい問題でしょう。

底から、治安の悪化なども心配する声が上がるかもしれません。
外国人労働者を雇用する場合は、きちんとした研修などを実施することで相互理解を深める努力が必須となるでしょう。

外国人労働者の受け入れによって、人手不足の解消を図ることはできるかもしれませんが、それに伴って起こることが予想されるトラブルについてもきちんと考えなくてはいけません。

まとめ

人手不足が問題となっている日本では、日本で働きたいと訪れる外国人労働者が大きな役割を担っています。
今後、外国人労働者の受け入れが増えることになれば、その必要性はますます高くなっていくでしょう。
しかし、そこにはリスクとなることも確かに存在しています。
外国人労働者を受け入れる前に、生じるリスクをきちんと把握しておきましょう。