現在の経済状況は、大ダメージを受けています。
昨年の消費税の増税から始まり、現在の新型コロナウイルスの拡大で、私たちの家計は冷え切っていますよね。
そこで今、消費税の減税を望む声が少なからず上がっています。
それにも関わらず、なぜ減税の措置を取らないのでしょうか?
今回は、その謎に迫りましょう。
減税により消費活動を活発にできる可能性
ただでさえ感染拡大の影響で、私たちの生活や仕事は悲鳴を上げています。
経済を回復するために経済活動を活発化させる必要があることは、誰もが知っているでしょう。
みなさんの中には、10万円の給付金が入ったことから、何に使おうかと考えている人もいますよね。
ですが、いくらお金を使って協力したいと思っていても、消費税の負担が大きく、思ったように消費活動ができなかったという人も多いでしょう。
今後の日常生活を維持していくためにも、最近、消費税の減税を望んでいる声が多く出ています。
減税が実現できると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
一番のメリットは、消費が増加し、経済活動の復活に大きく影響するということです。
例えば、減税が実現し、商品にかかる税率の負担が軽くできると、家計にとっては嬉しいですよね。
単純に考えて、出費の割合が減ることになりますから、大きな買い物をしようという気持ちにもなりやすいでしょう。
特に、増税の影響で販売が停滞しているのは、車や住宅のような高額な商品になります。
価格が高くなるほど、税率によって負担の割合が高くなってしまいますから、変更時よりも負担額が大きくなってしまいますよね。
その影響を懸念して、直前には「駆け込み需要」というキーワードが話題になりました。
この言葉を何回も聞いた人は、多いでしょう。
国民の多くは、現状を変えるためには消費が大事だということで、これから減税の動きがないかどうか期待している人もいるのです。
このような内容を知ると、減税された方が絶対に良いと思う人が多いことに納得できるでしょう。
ですが、現状はそうなってはいません。
それには、複数の事情が絡んでいるのです。
減税がされない根本的な理由とは?
なぜ、消費税に関しては減税の対応がされないのか、そこには複数の事情が関わっています。
それらの内容を知ると、一筋縄ではいかない現状だと理解できるかもしれません。
①税率変更の手続きや準備のために莫大なコストが発生する
突然ですが、消費税増税や軽減税率が導入される直前の時期を思い出してみて下さい。
増税に伴って、企業や事業者では、対応できるようなシステムの導入を行っていましたよね。
例えば、スーパーでは軽減税率に対応できるレジを購入したり、企業等でも新しい経理システムを導入したりしたでしょう。
導入には、必要経費をサポートする制度もありましたが、少なからずの出費になったことを記憶している人は多いです。
様々な苦労を乗り越えて、現在に至っているのです。
それを、急な経済事情からまた変更したいと言われるとどうでしょうか?
言うことは簡単ですが、その変更に合わせるために関係している企業、事業者はまた苦労しなければなりません。
仮に表示を変えるだけなら、労力はかかってもいいと思う人もいるでしょう。
しかし、また新しいシステムに変更しないと対応できないという場合を考えてみて下さい。
労力以上に、また大きな出費が予想できますよね。
感染症の影響で、経営上のダメージを受けている企業は多いです。
そこに、より負担が大きくなるような動きをしようとするのは、好ましくないのは明らかでしょう。
②マクロ経済の視点から度重なる変更はNG
また、度重なる税率変更は、そもそも経済学的な視点から見ても好ましくないのです。
先程、変更に伴って企業等に負担がかかるという話をしましたよね。
これにかかるコストは、経済に何かプラスの影響を及ぼすでしょうか?
一つの視点としては、必要なシステムを提供している業者さんの利益に繋がることが考えられるでしょう。
ですが、それ以外にメリットがあるのかというと、大きなものは出てきません。
つまり、経済的な視点から考えると、経済を活性化させるために必要なコストとはみなされないのです。
私たちは、日常生活で無駄遣いをすることを避けようと行動しますよね。
特に節約をしようと考えている人にとって、不要な無駄遣いを避けることは当たり前です。
この考え方を、国全体を経済に当てはめてみて下さい。
確かに、経済を活性化させることは大切ですが、そのために必要のない出費をするべきだと言えるでしょうか?
短期間での変更回数が多ければ多いほど、無駄が重なってしまいます。
従って、理論的な部分からも無駄なコストの発生に繋がるということで、NGになると考えて下さい。
③すぐに変更できるものでないこと
そもそも消費税が変更されるという議論は、何年もかかってやっと成り立っています。
社会的に深刻な事情だからというのは誰でも理解できますが、変更は短期間でスピーディーにできません。
例えば、関係する法律の整備から始めないといけませんので、すぐに実現できると言えないでしょう。
これは、給付金関係で嫌なほど実感しましたよね。
経済的なコスト面だけでなく、時間的なロスも発生します。
その結果実現できたとしても、本当に経済にとって良い効果が得られるのかは疑問が残りますよね。
何より、政治的な面で調整を行おうとすると、財務省からのストップがかかるのは目に見えています。
財務省の立場では、これ以上国のお金や税収が減るのは絶対に避けたいところでしょう。
増税時でも時間がかかったのに、国の税収を減らそうとする議論をするとなると、どのくらい時間がかかるでしょうか?
議論をしている間に、どんどん状況は変わっていきますよね。
④減税が本当に現状の打開手段なのか?
最後にお話しするのは、減税という手段が正しい手段なのかということです。
減税するというのは、一見すると国民全体に嬉しい話題になりますよね。
しかし、本当に得をするのは、一般の人々ではありません。
消費税の負担が軽くなると一番得するのは、お金を持った人たちなのです。
税の影響は、お金持ちにもあります。
ですが、一般的な生活をしている人と比べると、生活面で大きな負担や危機が迫るという事態は少ないですよね。
例えば、感染症の影響で収入が減少したと言っても、お金持ちの人の減少具合は普通に生活している人と違うかもしれません。
つまり、前提となる土台が違うのです。
お金持ちの人は、減税をするとなると、大歓迎です。
なぜなら、高額な商品を購入する機会が多い人ほど、税金の負担が軽減されていきますから、消費を我慢する必要はなくなりますよね。
そうなると、お金持ちの人の方が経済面で有利になってしまうでしょう。
一般の人々の生活は苦しいままで、お金持ちだけ得をする。
最悪の場合、このような事態を引き起こしかねません。
このような事情があることを踏まえると、他の手段で経済の回復を考えた方が良い感じがしませんか?
目先の買い物がしやすくなるという事実だけでは、本当の意味での経済の回復にならないのです。
以上にように、メリットよりもデメリットの方が多いことが分かりましたよね。
この事実を知った上で、みなさんは消費税の在り方をどう考えるでしょうか?
参考URL
PRESIDENT Online(https://president.jp/articles/-/34145)
Yahoo!ニュース
(https://news.yahoo.co.jp/byline/nakatadaigo/20200311-00167293/)
まとめ
経済活動の回復が見られた時期から、消費税減税の議論が多くされています。
確かに、体感的な部分からすると、負担が目に見えて少なくなるのは嬉しいことですよね。
しかし、政治的・理論的な視点から状況を見ると、消費税の税率を変更しただけで解決する問題でないことが伺えるでしょう。
経済状態を回復するためには、1つだけに取り組むのでなく、様々な政策の力を借りながら進めていかなければならないのです。