企業において、いつ、何を取引したのかというのは、お金の流れを知る上で大切です。
これは、税務調査においても同様ですよね。
その中に「期ずれ」と呼ばれるミスがあることをご存知でしょうか?
今回は、期ずれの内容と注意しなければならない理由について、ご説明したいと思います。
期ずれとは何か?
「期ずれ」とは、取引における経費や売上が、間違った年度で計上されている状態のことを指します。
例えば、2019年に経費で必要な設備を購入したにも関わらず、2020年に購入したと書類に記載したらどうでしょう。
この事例の場合、購入した時期が明らかにズレていますよね。
上記のようなことが、いわゆる期ずれです。
ところで、書類上に計上するにしても、どの時点で売上が発生したのかが考え方のポイントになりますよね。
期ずれを防ぐためには、取引上において、経費や売上が発生した時点での計上が求められます。
このルールを守ると、例えば、実際にお金の移動が発生していなくても、取引が成立し、商品を納品、請求書を出した段階で「売上」があったと判断されるのです。
私たちの日常の感覚だと、商品を納品して、実際にお金の支払いがあって初めて売上が入ってくると思ってしまいますよね。
ちょっと違和感があると感じてしまう人もいるでしょう。
このような考え方になっている背景には、決算における原則である、「発生主義」と「費用収益対応の原則」が関係しています。
ちなみに、発生主義は会計原則の1つであり、現金の移動に関係なく、売上が発生した時点で計上しなければならない考え方です。
費用収益対応の原則は、費用と収益をできる限り企業活動における経済的因果関係と対応するように考えるべき考え方です。
どちらも、収益面だけで見ず、支出と照らし合わせながら経営状態を確認するために、必要な考え方になりますよね。
これらを正確にするためには、期ずれはあってはならないことだということがお分かり頂けたかと思います。
税務調査で指摘される理由
税務調査は、企業の経営状態の正常さを把握するだけではありません。
収益や支出状況を確認しつつ、提出された書類から納税すべき税金、法人税の計算を行うことになりますよね。
つまり、経費や売上の形状がずれていると、正しい納税金額が計算できないことになってしまうのです。
法人税は、売上から経費を差し引いた際に生じた利益に対して、税率をかけて計算します。
しかし、期ずれがあると、「売上」や「経費」で扱われる数字に違いが出てしまいますから、トータルの収益の金額が正確な数字で表れてきません。
仮に、企業側の計算間違いで間違えてしまった場合は、時間がかかりますが、きちんと訂正することが大切です。
一方で、あえて利益率を高く見せたり、節税目的を狙ったりして計上していることもありますから、税務調査で注意されている理由はココにあると言ってもいいでしょう。
意図的に期ずれを行っている場合は、税務調査で指摘されるだけでなく、企業の信頼や成長を阻害してしまう恐れがあります。
正しい数字で公表していないとなると、周囲の人々はどう感じるでしょうか?
素直な企業でないとイメージを悪くしてしまう可能性がありますよね。
また、節税面で行うとしても、長期的に見るとプラスになることはまずありません。
それよりは、適正な手段で節税を行った方が、確実にメリットになるでしょう。
期ずれはごまかせると考えているならば、それは間違いです。
期ずれは100%発見されていますから、指摘された際はきちんと修正するようにしましょう。
まとめ
今回は、期ずれについてご説明しました。
どんなに高度なシステムを利用していても、計上のズレが起こってしまうこともあり得ますよね。
指摘された後に修正することも大切ですが、プロである税理士の力を借りて対策することも重要なことでしょう。
期ずれの対策の根本の考え方は、企業経営だけでなく会計の基本にもなりますので、経営者ならばしっかりと理解すべき知識です。