経営者にとって、自分が築いてきた事業を継承するのは大変ですよね。
しかし、長く続けることを前提に考えると、どうしても後継者問題を避けることはできません。
以前から懸念されていた問題ではありますが、その原因や実態はどうなっているのでしょうか?
今回は、後継者問題の背景に迫りたいと思います。
後継者問題の根本となる原因
経営者の悩みの中でも重大なのが、後継者問題になります。
しかし、後継者問題と一言で言っても、企業によって抱えている事情は違いますよね。
まずは簡単にですが、何がきっかけとなって問題に発展するのかを見ていきましょう。
①後継者となる人が不在
②事業の将来性に不安があるため
③少子化の影響で人材に先細り傾向がある
④負債を抱えている
上記4つの原因には、思い当たる経営者もいるはずです。
①後継者となる人が不在
1つ目の理由は、単純に後継者となるべき人がいないことです。
この理由で悩まれている方は近年増加傾向にありますが、「後継者がいない」という事情は多岐に渡ります。
例えば、現段階でその立場になるに値するふさわしい親族がいないことが挙げられるでしょう。
また、親族以外で社内の従業員から探そうとしても、中々該当する人がいないこともありますよね。
一般的には、親族内で後継者を育てることになりますが、「後継者にならない」と宣言されてしまい困っているケースもあるようです。
親族内、親族外で探すにしても、まずは該当者を見つけなければ話が進みませんよね。
中々進まない結果、経営者が高齢になってしまったというケースもあるのです。
一方で、後継者候補がいたとしても、経営者から実力不足だと判断されてしまうケースがあります。
後継者候補がいた場合でも、その人が経営者の資質を持っているかどうかは別の話になりますよね。
さらに、従業員を雇わない形で経営をしている人もいますから、そもそも任せられる人がいないこともあるのです。
このような事情から、根深い問題になっていると言って良いでしょう。
②事業の将来性に不安があるため
2つ目の理由は、現在行っている事業の将来性が後継者に引継がせたとしても問題がないかになります。
事業内容によっては、現在は良くても、これから先伸びる可能性がない、利益があまり出ない可能性が出てきますよね。
上記の要素があると、後継者が苦労してしまうことが見えていますよね。
その結果、引継がせるのはどうかと考える経営者もいるのです。
さらに、この状況は事業を引継ぐ側から見ると、非常にリスキーな状態ですよね。
従って、後継者候補が見つかっても、将来性から敬遠されてしまうでしょう。
③少子化の影響で人材に先細り傾向がある
3つ目の理由は、人材が不足していることです。
特に中小企業の場合は、大企業と比べると若い人材の採用が難しくなっている傾向がありますよね。
また、そもそも人件費の兼ね合いから、多くの人数を採用できないこともあるでしょう。
従業員から後継者を探そうとした場合、そもそもの人数が少ないとピッタリの人を見つけることが難しくなります。
仮に、現在働いている従業員の中から選ぶにしても、大人数働いている企業と比べると人材の判断には限界が出てくるでしょう。
少子化の影響は、このような部分にまで及んでいるのです。
④負債を抱えている
最後の理由は、現状を含めた経営状態の問題です。
特に零細企業の場合は、経営状態が好ましくないことがありますよね。
その中でも、負債を抱えている場合は後継者候補が見つかりにくい傾向があるでしょう。
その理由は、2つ目に紹介した将来性があるかという項目と同じです。
後継者候補が経営状態を見た時に、そのまま経営を引継ぎたいと考えられる状態になっているでしょうか?
後継者になると、当然負債も一緒に引継ぐことになりますから、自分が経営者になった時の負担が大きくなりますよね。
負債の有無は、次の経営者の経営計画に関わってきます。
これら4つの理由は、後継者候補、経営者のそれぞれの視点から見ても悩みの種になっていることに納得できますよね。
悩んだ結果、解決策が出ないまま廃業を選択してしまう経営者も少なくありません。
解決するためには、何ができるのでしょうか?
経営者自身で解決できない場合に有効な方法とは?
先程の4つの原因の中には、これからの経営者の努力によって解決できる内容もあります。
ですが、自力での解決が難しい場合もありますよね。
そのような時は、その手のプロに任せるのが吉です。
方法は、2つあります。
①マッチングサイト
②事業引継ぎ支援センター
M&Aで解決することも方法としては可能ですが、今回は上記2つの方法をご説明しましょう。
①マッチングサイト
現在、様々な用途のマッチングサイトが登場していますが、後継者探しに特化したものがあります。
どのような形で探すのかというと、現経営者が譲渡価格等の条件を登録し、それに合った人を引き合わせていきます。
事前に条件を提示しておくことで、後継者候補とのミスマッチを防ぐことができるでしょう。
従来の探し方ならば、人材を紹介してもらうためには、多くの人脈を利用しなければできませんでした。
それがネットでできるというのは、とても画期的ですよね。
従来とは違って視点から候補者を探したい人は、登録しておいても良いかもしれません。
②事業引継ぎ支援センター
もう一つは、公的機関である事業引継ぎ支援センターを利用する方法になります。
この施設は、国や自治体で行っているサービスになり、後継者探しのサポートをしてくれます。
自治体等で運営されている期間となると、信頼度がアップしますよね。
サービスの具体的な内容は、基本的にマッチングサイトと同じような形になり、後継者候補を探すきっかけを提供していると考えて下さい。
マッチングサイトとの違いは、事前に後継者探しの知識がなくても利用できる点になるでしょう。
先程ご説明したマッチングサイトは、経営者が主体となって条件等を提示しなければ、該当者を探すことができませんよね。
しかし、事業引継ぎ支援センターの場合は、候補者探しの知識がゼロの状態であっても問題ありません。
そもそもどうやって探すべきか、という悩みからスタートしても良いのです。
後継者探しの動き方等、不明点が多い経営者ならば、支援センターを活用した方が安心して探すことができそうですね。
また、支援センターは公的機関であるため、利用料が取られる訳ではありません。
そのため、経営的に高額な費用の用意ができず、後継者を探すことができない経営者にとっても、安心できる場所になりますよね。
他の手段で候補者を探す場合であっても、自分の考え方に不安を感じる人もいるでしょう。
本格的な行動を開始する前に、1回相談してみる場所として活用すると、今後の動きのイメージがより具体的にできます。
後継者問題の解決策は、早期に該当者を指名するだけでなく、上記の方法を利用して探すことも可能です。
事業内容によっては、引継ぎができないから廃業するというのがもったいない場合もありますよね。
少しでも存続する気持ちがあるならば、できる対応をしておくことに越したことはありません。
方法は1つではありませんから、経営者自身の希望からピッタリの方法を探してみて下さい。
まとめ
今回は、経営者に襲いかかる後継者問題についてご説明しました。
候補者すら見つからない背景には、候補者の資質の問題や人材不足等、複雑な事情が関係しています。
しかし、現在は自力で探すだけでなく、マッチングサイトや支援サービスの活用によって、「経営者になりたい」人を見つけることができますよね。
後継者にとっては起業することと同じような形になりますから、双方納得した形で勧められるのがベストでしょう。