起業を支える、重要な役割を持つのが人材です。
その人材ですが、扱い次第では企業リスクにも繋がることになるでしょう。
人材と企業リスクは、どのように関係してくるのでしょうか?
その関係について、解説します。
人材を得られない企業リスク
企業には、人材が必要です。
人のいない企業は、何もできません。
そのため、まずは人材を確保する必要があります。
しかし、現在は採用難と言われる時代です。
人を募集しても、応募してくる人がなかなかいないことがあるのです。
その理由として考えられるのが、労働人口の現象です。
かつての団塊の世代と言われた年代の人々は、現在定年を迎えて退職しつつあります。
つまり、多くの人が労働人口から出ていっているのです。
そして、長らく少子化と言われる日本では、それを補うほど若年層がいません。
つまり、減少する人数と増える人数では、減少する方がかなり多いのです。
そのため、今までより少ない人数で事業を継続するか、事業を拡大するかということになってきます。
あるいは、好条件を出して他社より多くの人材を獲得するという方法もあります。
しかし、その場合は雇用に伴うコストが高額になってしまうでしょう。
また、それ以前から働いている人を据置にすると不満が出てしまうため、そちらの待遇も良くしなくてはいけません。
雇用できる人数が減っていることも理由の一つですが、それ以外にも理由があります。
まず、業務の専門家により、求められる能力が高度となっているため、採用条件に該当する人が少なくなっている、という点です。
専門的な業務に関しては、アウトソーシングで外部に任せてしまうのが効率的なのですが、企業の中では自社の中の正社員だけで全て完結させたいと考えるところも少なくないのです。
そうなると、採用の時点でその専門的な内容を理解し、即戦力になれることというのが条件になってしまうのです。
次に、考え方の変化に対応していないという点があります。
かつての企業は、生涯雇用が前提でした。
しかし、今は価値観も変化し、会社に骨をうずめるという覚悟がある人は減っているのです。
転職する人も増え、企業で働く上で重視するのが自己の能力の向上や勤務時間などの働き方という人もいます。
また、人間関係や職場の雰囲気などを重視しているという人もいるのです。
このように、採用される側としても様々な考え方の変化が生じているので、企業がそれを理解しなければ中々雇用できないこともあるのです。
企業としてのメリットばかりではなく、雇用される側の考え方も理解しなくてはいけません。
人材を得て生じる企業リスク
無事に人材を確保できても、それで安心という訳ではありません。
人を採用したら、社員教育が必要です。
それを怠ってしまうと、被害は企業側が受けることになるのです。
社員教育で重視したいのが、セキュリティについてです。
これについては、教育を徹底すると共に企業側でも充分な対策を取るべき点です。
特に、情報の管理については徹底しなくてはいけません。
時には、一般常識と思われることでも教育する必要があるでしょう。
一般常識だからといって、全ての人がそれを承知し、理解しているとは限らないのです。
極端な話、それをみんなが守るなら犯罪も起こらないでしょう。
例えば、顧客データなどを社内から持ち出すのは禁止、また個人のパソコンにそのデータをコピーするのも禁止というのは、今では一般常識でしょう。
しかし、中には連絡などに便利だからと、そのデータを持ち出す人もいるのです。
そして、そういう人ほどサイバーセキュリティなどは不十分で、パソコンにウイルス対策ソフトすらインストールしていないこともあります。
そうして、個人情報流出などにつながるのです。
このようなことがあった場合、責任を負うのは企業です。
内容次第では、多額の賠償金を支払うことになるかもしれません。
これは一例ですが、他にも様々なリスクがあります。
また、人材を確保して生じるリスクには、労務リスクもあります。
ブラック企業と言われる企業もありますが、それ以外でも忙しい時期などに普段以上の残業や休日返上で仕事をしなくてはいけない企業もあるでしょう。
そういった時に注意しなくてはいけないのが、社員の健康です。
フィジカル面だけではなく、メンタル面でもケアが必要となるでしょう。
それを怠ると、過労やうつ病などで労災が適用されることになり、最終的には過労死となるかもしれません。
人それぞれ、体力やストレスの許容量は異なります。
上司や同僚が同じように働いているからといって、全員が大丈夫とは限らないのです。
個別に気を配り、十分なケアをすることが大切となるでしょう。
人材を失う企業リスク
最後に、人材を得たもののそれを失うリスクについてです。
これは、現在かなり可能性が高いものとなっています。
転職サイトなどが増えていることで、転職へのハードルがかなり低くなっているからです。
まず、人材が大量に流出してしまうと、経営そのものに影響が生じます。
生産性も低下し、利益も大きく下がってしまうでしょう。
それにより、経営難になる可能性もあるのです。
また、不足した労力を外部に求める場合、外注となりコストが増加します。
残った社員も、残業が増えて休日出勤もしてもらうことになるため、残業代などのコストも増えてしまうでしょう。
また、新たに人材を求めるためのコストもかかります。
さらに、事業内容によっては全体の生産性も下がってしまいます。
それぞれが文旦で作業をしている場合などは、抜けた人の穴埋めをしなければ作業が終わりません。
その穴埋めをする人の作業が遅ければ、それだけ全体の生産性も下がってしまうのです。
抜けた人が、それまで培ってきた人脈やノウハウ、さらには顧客まで持ち出してしまうこともあります。
今までは自社と取引をしていた顧客が、その人の転職先との取引に切り替えることもあるのです。
人材流出に伴って、企業ではこのようなリスクが生じる可能性があります。
そうならないようにするには、社員の管理をしっかりとして十分な待遇をする必要があるでしょう。
まとめ
企業は、そこで働く人が支えるものです。
その人材によって、事業が上手くいくかどうかは大きく変わってくるのです。
かつては会社のために働き続けるのが当たり前とされていましたが、今はそのような時代ではありません。
それぞれの人を見て、働きやすい環境を整えて、双方が支え合うような関係を目指すべきでしょう。
人材がリスクになるか、それともメリットになるかは企業次第なのです。