企業はウェルビーイングを経営に組み込む動きが加速している

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ウェルビーイングは、近年注目されている概念です。
これは個人の生き方に関するものと思われることも多いのですが、企業が経営に組み込む動きも加速しています。
組織経営をより良いものとするためには、必須と認知されるウェルビーイングはどのように企業の経営に組み込まれるのか解説します。

企業におけるウェルビーイング

ウェルビーイングは、主に健康や幸福といった意味で使われるものです。
WHOの検証では、肉体的、精神的、社会的の全てにおいて満たされている状態が健康と定義されていて、それと同様の意味でウェルビーイングという言葉が使われています。

そして、企業においては元々、ウェルビーイングを社会福祉の分野の専門用語として使われていました。
しかし、近年ではビジネスの場でも使われることが多くなっているのです。

そうなったのは、働き方改革が進められてきたことが背景にあります。
組織の在り方やそれぞれの企業の就業環境などを話し合う際、概念として意識するようになったのです。

そして今では、組織経営をより良いものとするためには必須の考え方とされています。
それは、どのような理由があるのでしょうか?
その主な理由を、紹介していきます。

1つは、働き方が多様化したことによるものです。
以前であれば、会社員は朝に出勤して夕方から夜の定時まで働き退勤する、という画一的な働き方が中心でした。

しかし、近年では個々のライフスタイルに合わせて、フレックスやテレワークなどの働きからも選ぶことができるようになっています。
柔軟な働き方を重視するようになったことで、ウェルビーイングという考え方も浸透していったのです。

少子高齢化に伴って労働人口が減少した事で、人材が定着するような環境づくりを重視するようになったことも理由の1つです。
現在、企業が出す求人は増加傾向にあるのですが、人材は減少しているアンバランスな状態となっているのです。

その状態で、せっかく採用した人材がすぐに離れていくような企業はすぐに人材不足になってしまうでしょう。
そうならないように、人材が定着する環境が必要とされるようになっているのです。

従来であれば、給与を引き上げて待遇を良くしていくという方法で人材の定着を目指していたのですが、現在はそれにこの概念が加わるようになりました。
多くの企業が、それを意識した労働環境を整えるようになっているのです。

また、働き方改革を国が推進したことも理由の1つに挙げられます。
働き方の多様化の要因として、注目されるきっかけとなったのです。
この働き方改革によって、企業で働く人は仕事だけではなく余暇も充実されることを考えるようになりました。

多様性を認めるということに関しても、必要とされる考え方です。
近年、人種や性別、宗教、ワークスタイルといったことにとらわれないダイバーシティ、多様性の考え方が需要とされています。

グローバル化が進んでいる現在は、考え方やバックグラウンドも人によって大きく異なるようになっています。
そういった人の能力を十分に発揮させてコミュニケーションを円滑に取るためには、多様性を認めてこういった考え方を導入する必要があるとされているのです。

また、多くの企業が注目しているSDGsにおいても、これが含まれています。
環境面で注目されることが多いSDGsですが、この概念に関して追及する項目もあるのです。

SDGsには17の目標があるのですが、その中の1つに「すべての人に健康と福祉を」という項目があります。
これが、ウェルビーイングの概念と合致しているため、企業経営においてこうした考え方を組み込むことがSDGsにもつながっていくことになるのです。

企業にとってのメリット

企業がウェルビーイングを経営に組み込むようになった理由を紹介しましたが、企業も仕方なく組み込んでいるわけではありません。
そこには、企業にとってのメリットもあるのです。

まず、企業がこのような考え方を導入することは健康経営の推進につながります。
こういった概念について意識することが、従業員の健康についても健康課題の一つとして捉えることにつながるのです。

そうすることで、従業員が日々の労働に健康な状態で従事できる環境を得ることにつながります。
ひいては、企業全体の活力向上にもつながっていくのです。

また、経営においてもこの点を重視することは、離職率を低下させるメリットもあります。
従業員のワークライフバランスや多様な働き方を実現することが、離職率低下にもつながるのです。

ワークライフバランスを重視するのであれば、キャリアウェルビーイングという考え方もあります。
これは仕事や私生活でのキャリア構築での幸福という考え方で、仕事面のキャリアだけではなくボランティア活動や育児、家事、勉強なども含めたものです。

それと同時に、企業のイメージがこういった考え方に対しての取り組みが積極的というものになります。
それによって、優秀な人材の確保もしやすくなるのです。

また、ウェルビーイングに取り組むことで生産性の向上というメリットも生じます。
業務を遂行する環境がウェルビーイングを意識したものとなることで、従業員の意識が仕事にやりがいを感じるものとなっていくのです。

そうなると、従業員はやりがいを感じながら仕事ができるようになり、仕事に対する意欲も高まるため、結果的に組織全体の生産性が向上することが期待できるのです。
仕事に対する意欲によって、作業効率も大きく変わります。

企業がこのような考え方をすることは従業員のためという点が大きいのですが、それは企業にとってマイナスになるものではなく、むしろプラスになるのです。
まだ組み込んでいない企業は、なるべく早く組み込むことを考えるべきでしょう。

まとめ

ウェルビーイングという考え方を導入する企業は、労働者が働きやすい環境を整え、充実した生活を送れるようにすることを考えています。
そして、それは同時に企業にとってもメリットがあることなのです。
その概念を経営に組み込んでいる企業では。従業員が働きがいを感じることも多くなり、それが生産性の向上にもつながっていくのです。
多くの企業が取り組むようになっている今、ウェルビーイングについてよく考えてみましょう。