北朝鮮から何度かミサイルが発射されたというニュースが流れ、緊張した人は多いでしょう。
先日のミサイルは、日本上空を通過してEEZ外に落下したというニュースが流れて安心したかと思いますが、EEZというのはそもそも何なのでしょうか?
EEZはいったいどのような意味なのか、解説します。
EEZとは?
北朝鮮から日本に向けてミサイルが発射されたことは、過去に7回あります。
最初は1998年にテポドン1号が発射され、最も新しいものは2022年10月の新型地対地中距離弾道ミサイルが発射されました。
1993年にも、日本上空を通過しなかったもののノドン1が日本海に発射されています。
そして、上空を通過していないものを含めると、これまで数十発が発射されているのです。
ミサイルの飛翔エリアは、東北地方や沖縄県、北海道など様々です。
また、7回中3回は予告がありました。
4回目までは衛星の打ち上げだと主張していましたが、5回目以降はミサイル発射ということを認めています。
そして、日本上空を追加していないほとんどのミサイル、並びに2022年10月に発射されたミサイルは、日本海側、あるいは太平洋側のEEZに落下しています。
しかし、EEZとは何かを知らない人は、安心していいのかどうかがわからないでしょう。
EEZはExclusive Economic Zoneを略したもので、排他的経済水域という意味です。
海洋法に関する国際連合条約に基づいて、天然資源や自然エネルギーに関する主権的権利や人工島・施設の設置や環境保護、海洋科学調査などの管轄権が及ぶ水域のことをいいます。
条約では、沿岸国においてはその基線から200海里の範囲内に排他的経済水域を設定することができます。
1海里は1,852メートル、200海里は370.4キロメートルとなります。
設定した範囲内の水域にある水産・鉱山資源や、海水・海流・海風から得られる自然エネルギーの調査や開発、保全・管理を行う際に、他国から侵害されず独占的に行使できる権利を有するとされています。
これには、海上だけではなく海中や海底、海底下まで含まれます。
そこに存在している鉱物資源については、埋蔵されている限りは沿岸国に所有権がありません。
採掘され、陸上や海上施設、船舶などに引き上げられた時点で、その権利が発生するのです。
また、水産物についても、水揚げされた段階で所有権が発生します。
自然エネルギーに関しても、そのままでは物権が存在しません。
電力に変換するなど、何らかの形で用いられることで権利が生じるのです。
また、この水域では排他的な許認可権を有しています。
人工島や施設の建設や、海域の環境保護・保全の観点から環境を破壊する可能性がある行為、並びに海洋調査の実施などに関するもので、希望する場合は沿岸国に事前申請しなくてはいけません。
また、EEZと領海はどう違うのか、わからないという人もいるでしょう。
領海というのは、沿岸国の基線から12海里、およそ22キロメートルの範囲を指します。
その範囲以外にも、EEZとは異なる点があります。
まず、沿岸国に属する島がある場合、その島の基線からはEEZ、領海のどちらも設定することができます。
しかし、人が住めない大きさではなく、経済活動ができない、常に水没している岩があった場合、その周囲には領海だけを設定できます。
また、岩礁や満潮時に水没する低潮高地については、EEZを設定することができず、領海も原則として設定することができません。
人工島に関しては、領海もEEZも設定することができないのです。
各国のEEZについては、中国がアジア諸国と争っているところがあります。
スプラトリー諸島は中国が軍事施設を建設していますが、フィリピンやベトナム、マレーシアなどが領有権を主張しています。
他にも、中国が実効支配しているパラセル諸島はベトナム・台湾が領有権を主張しています。
スカボロー礁はフィリピンのEEZ内にあるのですが、中国が実効支配しています。
日本も例外ではなく、尖閣諸島は中国が領有権を主張していて、中国籍の船がたびたび領海内に侵入しています。
また、日本の沖ノ鳥島については、島ではなく岩でありEEZは設定できないと主張しています。
ミサイルに対する対策は?
2022年10月のミサイルは、北海道・青森県の上空を通過しました。
そのことでJアラートが北海道や青森県、東京都島しょ部などに発信されましたが、実は発信された時点ですでに上空を通過していたといわれています。
また、東京都諸島部は今回の飛翔ルートとは関係がありませんでした。
これについては、システムの不具合が原因で送られたようです。
過去にも動作不良があったことで、Jアラートシステムの実効性にも疑いの目が向けられています。
このJアラートでは地下などに避難するように言われたのですが、そのことについて青森県出身の芸能人などが疑問の声を上げています。
そもそも、青森県には地下がある建物は少なく、朝7時半前後ということもあってそもそも避難先がないのです。
北朝鮮のミサイルは、これまでも北海道・東北地方を何度か通過しています。
今後も、それらの地方に向けて発射される可能性は高いでしょう。
そのため、それぞれの地方で避難する場所について、もう一度確認するべきでしょう。
日本には、水害や地震などの際に避難する場所を、それぞれの地域ごとに案内しています。
ハザードマップを見ると、避難場所がわかるようになっているので、いざという時も安心でしょう。
そこに、今度はミサイルが発射された場合の避難場所についても加えていくべきではないでしょうか?
このままでは、実際にミサイルが日本国内に向けて発射されたとき、どう対応するべきか判断ができないことも多いと思われます。
北朝鮮からのミサイルは、繰り返し発射されています。
それに対して、まだ国内に被害がないからと言って傍観しているべきではありません。
国内に落下してくる可能性があるからこそ、まだ被害がないうちに対策を講じておくべきでしょう。
まとめ
北朝鮮からは、何度も日本の方向に向けてミサイルが発射されています。
今は被害がなくても、いずれは落ちてくるのではないかと不安に思う人は多いでしょう。
しかし、ミサイルが落ちてきたときはどこに避難すれば安心なのか、分かる人は少ないでしょう。
政府では、実際にミサイルが国内に落ちる前に、避難についての案内などを講じておくべきではないでしょうか?