9月に、北海道で歌手の長渕剛さんのコンサートが開催されました。
そのライブの中で、「北海道の中国化」と発言したことが、スポットを浴びています。
この発言は、一体どのような意図があってのものなのでしょうか?
「北海道の中国化」というのが一体何なのか、解説します
北海道の土地買収
数年前まで、中国人観光客の「爆買い」が話題となりました。
日本に来て様々な商品をまとめ買いし、何百万円も消費していく中国人観光客は、日本にインバウンド需要を生み出し経済の活性化につながりました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、その流れも途絶えてしまいました。
水際対策のため、外国からの訪日客は限定されて激減しました。
中国も、ゼロコロナ政策のため国外との往来を厳しく制限しています。
最近になって、日本の水際政策は緩和されており、訪日客も増えています。
その上位5か国は韓国、タイ、アメリカ、フィリピン、マレーシアです。
中国国内の政策もあり、中国からの訪日客は減少したままとなっているのです。
その代わり、増えているのが中国に資本を持つ企業による、日本の土地の爆買いです。
特に北海道は、ここ数年で水源地や森林などが100ヘクタール単位で中国企業に買収されているのです。
例えば、蝦夷富士ともよばれている北海道の羊蹄山の麓にある加茂別町では、中国人が開発した中国人のためのゴルフコースが210ヘクタールもの広さで作られているのです。
周辺は中国人オーナーの別荘地になっていて、主にオーナーやその知人などがプレイしています。
元々、この土地はゴルフ場を核として高級リゾート地を造成するという名目で買収されました。
しかし、役場で把握している限りでは、ゴルフ場以外には何の音沙汰もないということです。
また、日高山脈の麓にある平取町豊糠地区は、中国と関係が深い日本企業によって村ごとほとんどが買い占められています。
この地区は、近年新しい道路ができたものの、それまではかなり細い道路しかなく、冬は積雪によってほぼ陸の孤島になるような土地です。
そんな場所をなぜ買収したのか、住民が疑問に思って確認したところ、背後に中国資本がいることを確認できました。
そして、「命に気をつけろ」と真顔で忠告されたともいわれています。
平成27年には、占冠村にある総合リゾート施設の星野リゾートトマムが、中国の投資会社であるフォースン・グループ傘下の会社に買収されました。
その広さは、東京ドーム213個分の1000ヘクタールにも及びます。
また、フォースン・グループはその直前にも、隣町にあるサホロリゾートエリアというリゾート地を買収しているのです。
これによって、2つのリゾート地を訪れる中国人観光客は急増しているのです。
政治関係者によると、このまま観光地の中国化が進んでいくようなら利用者も中国人の割合がほとんどとなっていき、やがてはその場所がチャイナタウン化していくのではないか、という懸念があるようです。
札幌には、北京の映像作成会社がマンション開発や不動産売買を手掛ける会社を設立し、手広くビジネスや開発を展開しています。
2020年には札幌市中央区に3階建てのマンション2棟を建設すると発表したのですが、民泊として利用されることを懸念した住民から反対の声が上がってトラブルも起こっています。
なぜ、北海道は中国に買われていくのか
中国が北海道の土地を買収しているのは、どのような狙いがあるのでしょうか?
これには、いくつかの推測がされています。
その1つが、日本国内に中国を造るのではないか、ということです。
先ほども言いましたが、観光地の中国課が進むとチャイナタウン化していくのではないか、という心配もされているのですが、そういった大規模なものばかりとは限りません。
小規模な土地でも、中国人を中心とした閉鎖的な集落ができるのではないかと言われているのです。
その根拠となるのが、買収した土地に多い特徴である周囲の森林です。
そのせいで、中に建てられた施設の様子をうかがい知るのが難しいのです。
特に、水源や農地が周辺にある土地ほど、自己完結型の生活をするのではないかと考えられています。
また、マンションなどの建設については、日本の永住権を中国人が得られるようにすることが目的ともいわれています。
これは、複数の不動産関係者が証言していることでもあります。
その方法は、まず90日滞在が可能な観光ビザを取得して沖縄から入国し、そこから北海道へと移動して仲介者の協力で会社を設立します。
そして、法人名義で土地を取得し、一度中国に帰国します。
その後、中長期の在留が可能な経営・管理ビザで改めて入国して、ビザを1年、3年、5年と更新していき、最終的に永住権を申請することを目的としているのです。
不動産を買う中国人にとって、日本で不動産を所有していると永住権を得やすくなるというのが常識とされているそうです。
日本にはこれまで、外国資本が土地の売買をする際に規制するような法律やルールがありませんでした。
また、登記も義務ではないため、転売されてしまうと所有者もわからなくなります。
そのため、中国資本が買収した土地の面積は、把握されているものよりかなり多いと思われます。
しかし、日本では2021年6月に「重要土地利用規制法」が制定されました。
中国をはじめとした諸外国が、日本の土地を不適切な目的で取得して利用されるリスクを減らすことを目的とした法律です。
この法律では、自衛隊の基地など安全保障に関わる需要地域の土地利用が制限されます。
施設から1キロメートル以内、もしくは国境近くにある離島などを中止区域として、電波の妨害やライフラインの寸断など安全保障を脅かす土地の利用を確認した際に、その中止を命令することができるのです。
それに従わない場合は、懲役や罰金などの刑罰を科すことができます。
さらに、司令部などの機密情報が集まる拠点周辺は特別中止区域として、土地の売買を行う際は事前に届け出をする義務があります。
この法律により、中国をはじめとした外国資本の企業が日本の土地を買う際は、ある程度の制限がかかるようになります。
現在買われている土地の中には、この制限に該当するものもあるため、それについての対応もこれから検討されることとなるでしょう。
まとめ
北海道の土地が中国資本の企業に買われてしまい、北海道が中国化してしまうという懸念は以前からありました。
長渕剛のコンサートでの発言で、注意喚起がなされて多くの人が現状を見つめ直す機会を得ることとなりました。
夕張市が財政破綻した際に中国資本の企業がリゾート施設を買い取ったことは、大きな助けとなりました。
しかし、それを当たり前のこととしていると、いつしか日本はその主体を失ってしまうのではないでしょうか。