ガーシーが国際指名手配?国際刑事警察機構(ICPO)とは?

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2022年7月に参議院議員となったものの、3月15日に除名されたガーシーこと東谷義和前議員ですが、脅迫などの容疑で現在警視庁が逮捕状を請求しています。
しかし、ガーシー氏はドバイから帰国する様子がないことから、今後はICPOを通じて国際指名手配をする方針だと報道されています。
国際刑事警察機構(ICPO)とは何か、解説します。

ガーシー氏の国際指名手配の経緯

ガーシーこと東谷義和氏は、元々芸能人に対してアテンド、世話や接待をする仕事をしていました。
その後、Youtubeでチャンネルを開設し、芸能人の裏話を暴露するという活動をしていました。

YouTubeのチャンネルは大人気となり、最初の投稿からわずか50日で登録者数100万人を達成しています。
これは、到達日数ランキングで9番目に早い記録で、芸能人を除いた場合は1位です。

このような配信を始めた経緯としては、詐欺の疑惑をかけられた時にこれまで懇意にしていた芸能関係者と連絡が取れなくなったことで、裏切られたと感じたことがきっかけです。

そしてもう1つの理由が、借金の返済です。
ガーシーはバカラなどの違法賭博やギャンブルにのめりこんでギャンブル依存症となり、億単位で資金を消費して約3億円の負債を抱えていたのです。

そして、2021年に企業のPR動画にYoutuberのヒカルをキャスティングできるといいって広告費用とキャスティング費用を要求したものの、実際にはキャスティングをしなかったという詐欺行為が暴露されました。

また、これ以外にも一般女性に対してBTSと会わせることができると持ちかけて紹介料を受け取り、実際にはセッティングをしなかったという疑いもあります。
そして、受け取ったお金は返金すると言いながらものらりくらりと逃れていたため、被害者が警察署に被害届を出してガーシーに連絡が行きます。

そのことで、ガーシーはドバイへと国外逃亡し、YouTubeチャンネルを開設したのです。
そして知名度を高め、参議院議員に立候補したのです。

2022年7月の選挙で初当選を果たしたガーシーですが、その5日後の臨時国会で初登院となるはずが欠席してしまいます。
これには、詐欺行為での捜査が行われていて逮捕される可能性があることや、愉快犯による襲撃などが心配だという理由が付けられています。

その後の国会も一切登院することはなく、帰国もしませんでした。
また、2023年の通常国会には登院し、議員の不逮捕特権の中で取り調べも受ける覚悟をしていると述べていたのですが、結局登院することはありませんでした。

2023年1月には、配信内で繰り返し著名人を脅迫していたとして、警視庁によってガーシーの関係先に家宅捜索が行われました。
容疑は、暴力行為等処罰法違反や名誉毀損などです。

そして、1月末には尾辻秀久参議院議長から国会に出席するよう招状が発出されたのですが、国会法に定められている7日の出席期限を過ぎたため懲罰委員会に付託され、2月21日には高会議場で陳謝するという懲罰が科されることとなりました。

陳謝は3月8日の参議院本会議で行われる予定でしたが、ガーシーはそれを欠席する意向を示し実際に欠席しました。
そして14日に、除名となったのです。

それから、警視庁ではガーシーと配信動画に関わった知人男性を暴力行為等処罰法違反などで逮捕状を請求し、発行されました。
また、外務省には旅券返納命令を要請して、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配をすることが予定されることとなったのです。

国際刑事警察機構(ICPO)とは?

ここで出てきた国際刑事警察機構(ICPO)は、あまりなじみがないという人も多いでしょう。
これは、どのような組織なのでしょうか?

ICPOは、国際犯罪の防止を目的として世界各国の警察機関によって組織されている国際組織です。
ルパン三世のアニメに登場する銭形警部がICPO所属なので、思い浮かぶ人も多いでしょう。

日本ではICPOと呼ばれることが多いのですが、海外では多くの場合インターポールと呼ばれています。
現在、195か国が加盟しています。

ICPOの活動については、世界中を飛び回って犯人を追いかけるというイメージを抱いている人もいるかも知れません。
しかし、実はイメージとは全く違うのです。

そもそも、ICPOには逮捕権がありません。
そのため、銭形警部がルパン三世を追いかけまわして「逮捕だ!」と叫んでいるのですが、その権利は持ち合わせていないため逮捕はできないのです。

ICPOは、犯罪や犯罪者を特定するための支援や犯罪者情報のデータベース化、国際手配などを行っています。
国際犯罪や国際犯罪者、犯罪者の指紋や手口、パスポート情報、顔画像などをデータベースにして被害の拡大、並びに犯人の逮捕に貢献しているのです。

今回、ガーシーが受ける可能性がある国際手配というのは、加盟している国や警察を通じて逃亡している犯人や行方不明者の発見に努めるものです。
自国に限らず、ほかの加盟国に協力を依頼することができます。

国際手配には、赤手配書、青手配書、緑手配書、黄色手配書、黒手配書、オレンジ手配書、紫手配書、盗難美術品手配書などがあります。
それぞれの手配書の色によって、意味合いが異なるのです。

ICPOの創設は1923年で、当初は国際刑事警察委員会(ICPC)という名前でオーストリアのウィーンに本部が置かれていました。
その後はベルリンに移されて、第二次世界大戦でドイツが敗戦するまではゲシュタポの下部組織となっていました。

1956年にICPCが解組されて、現在に続くICPOが設立されます。
当時は57か国が加盟し、事務総局はフランスのパリに置かれましたが、1989年からはリヨンにあります。

日本は1952年から加盟していて、警察庁が国家中央事務局となっています。
日本人の中で国際指名手配を受けている人物は16人いるのですが、相手国と犯罪人引渡し条約を結んでいる場合や国内法に違反している場合を除いては、普通に生活している人もいます。

まとめ

ガーシーこと東谷義和氏は、参議院議員となったものの一度も登院することなく除名処分を受け、議員ではなくなりました。
現在は警察の捜査が進められていて、国際指名手配を検討しているものの、必ずしも逮捕できるとは限りません。
ICPOについては、イメージと実際の姿が違ったという人もいると思います。
今後どうなるかは、本人の対応次第となるでしょう。