既存の組織文化を破壊し新しい組織文化にアップデート・レヴィンの考え方は?

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企業は、時代に合わせて変革していくことが求められます。
変革できなければ、時代に取り残されてしまうでしょう。
しかし、どのようにして変革していけばいいのかわからないという企業もあると思います。
新しい組織文化にアップデートさせるための考え方について、解説します。

組織変革プロセスとは?

1890年にドイツで生まれた「社会心理学の父」と呼ばれたクルト・レヴィンは、文化組織のアップデートにはプロセスを3段階に分けて行う必要がある変革モデルを提唱し、具体的な内容を示しています。

プロセスの1段階目は、解凍というフェーズです。
今までの組織文化は通用しないこと、会社の経営状態に悪影響となるため帰る必要があることを社内で共有し、新たな考え方ややり方で改善していくという雰囲気を醸成する必要がある、と提唱しています。

従来の価値観や方法論、伝統などの組織文化を解凍したうえで、新棚物へと変えていく準備をします。
ただし、変化させようという力には必ず抑止力が働いて現状を維持させようとするので、従業員に変化の必要性を理解させるとともに、
変化に対して抱く不安を和らげる必要があります。

抑止力を持つのは、保守的な従業員や経営層です。
現状に問題がない、あるいは業績が悪化していても一時的なものだと考えていて、理由として考えられることがある場合には、発言力も強くなります。

しかし、業績の悪化が今始まったばかりで一時的ではない場合には、抑止力を受け入れてしまうと後から大きなトラブルが起こる可能性が高くなります。
抑止力が働いた場合は、主張する内容についてよく考えてみましょう。

2段階目は、変革です。
変革の必要性が社内で共有されても、認識や議論だけで終わって実行に至らなければ、何も変わらないという無力感によって企業の成長が阻害される可能性があります。
1段階目の解凍の後は、次の段階へと早く進まなくてはならないのです。

2段階目では、新しいやり方や考え方を社内学習や人財育成プログラムによって学習して、従業員が個々に役割を理解して実行できるようにして、組織内の考え方や行動が変化していくことを想定しています。

3段階目は、再凍結です。
変革によって学習したものを維持するためには、定着化や慣習化させるために再凍結が必要となります。

新しいやり方は、単に継続すれば根付く部分もあるのですが、指示されてやるのではなく新たなやり方での成功例が積み重なり、手ごたえを感じられるということが大切です。
従業員が納得して行動し、成功事例が増えていくことが成功の方程式です。
成功が組織内に定着していくことで、新たな組織文化を定着させることができます。

注意したい点としては、例えば組織内で認知されているルールを変更して変革をしようとしたケースでは、ゴールとして定める地点と現状とのギャップにより、ロスが起こる可能性があるという点です。

組織変革はどのように行われる?

実際に、組織変革プロセスに沿った形で組織変革を行った企業もあります。
どの様にして、変革したのでしょうか?
具体的な組織変革の内容について、解説します。

産婦人科医1名と医師1名、助産師10名の小さな産婦人科では、残業手当が膨らみ続けていることで経営が厳しい状態でした。
経営者の産婦人科医は、妊婦搬送拒否が起こったことで、今後の経営にも不安を抱いていたため、組織変革を決定します。

大学病院や総合病院と連携して協定を結び、助産婦の能力や経験値をアップさせ、医院側で人手が不足した場合は、連携先から派遣されてくる医師が補う体制を構築しました。
助産婦が能力アップしたため、夜勤常駐の人数も削減に成功しています。

逆派遣された医師の経験不足や日積極的な態度を嘆く声もあったものの、分娩異常で大学病院へと搬送した際は、これまでに医院へと派遣されたことのある医師のが丁寧に対応してくれるため、反対意見も徐々に減っていきました。

近くに合った別の産婦人科が閉院した際は、多くの患者が流れてきました。
理由には、助産婦の腕がいい、大きな病院と提携しているため安心できるといった意見が多くみられました。
変革の時期でもあり、経営状態も上向いてきたところでした。

大きな病院との連携が密になったため、母子に危険がある分娩は早めに移すことにして、インターン医師を積極的に受け入れるようになりました。
受診患者数も増えたことで人員も増員し、これまでの業務を見直して無駄を削減しています。

大企業でも変革の事例があり、とある大手IT企業では2012年に社長が替わった時、これから組織を変えていくことを宣言しました。
当時はスマートフォンが急激に利用拡大していて、インターネットの利用環境は急激に変化していました。

変化に対応するべく、新執行体制への移行が必要だったのです。
移り変わりが大きいIT業界では、旧態依然としたトップダウンの情報伝達方法は無駄が大きいため、迅速な情報伝達が必要とされたのです。

上司と1対1で話しあう1on1ミーティングも導入したことで、部下はミーティング尾ために内政と考察、意思決定を行います。
上司も、傾聴やコーチングの手法が必要とされるようになりました。

5000人の従業員の能力を育てるには、週2500時間の教育が必要です。
しかし、新社長は必要性を説き続けて、従業員に変化を求めて改革のモチベーションを維持していました。

改革が後半に差し掛かると、大きくなっていた組織もサイズダウンして現場の自由裁量度を高くしました。
行動規範もさらに明確として、現場で起こる混乱も最小限に抑えようとしていました。
改革以降、企業の収益は伸び続けています。

変革は、進めていく途中で躓いてしまうと、やらなければよかったという意見が増えてしまい、元通りにはならず企業内の緊張が以前より高まるなどの影響が出る可能性もあるため、躓いた場合にも備えておきましょう。

まとめ

既存の組織文化を破壊して新しい組織文化にアップデートすることで、企業は時代の流れに合わせて変化していくことが出来ます。
ドイツで生まれ、心理学の分野で活躍したクルト・レヴィンが提唱した3段階のプロセスに従って、企業の変革にとりかかりましょう。
実際に行われた事例を知って、自社ではどのように行うべきかを検討してみてください。