マイナカードのトラブルとは??なぜ起こったのか?

その他

2016年に交付が開始されたマイナカードは、マイナポイントが始まってから急激に交付が増えたのですが、同時に多くのトラブルが起こりました。
マイナカードで、どのようなトラブルが起こったのでしょうか?
また、トラブルの原因はいったい何なのでしょうか?
マイナカードのトラブルと、原因について解説します。

マイナカードのトラブル

マイナカードは、身分証明書として使用できる他、コンビニのコピー機で住民票を発行するためにも使用できます。
また、保険証と紐づけることもできるようになりました。

しかし、マイナカードが広まるにつれ、様々なトラブルが起こるようになりました。
最近特に増えているのが、マイナカードと保険証を紐づける際のトラブルです。
マイナカードと保険証は本人のものを紐づける必要があるのですが、間違えて違う人の保険証と紐づけられるというトラブルが起こったのです。

保険は、健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険などがあり、マイナカードとの紐づけはそれぞれの健康保険を運営するスタッフが入力します。
登録作業において、入力する数字を間違えたことで、他人の保険証と紐づけられてしまったのです。

登録された情報が本人のものと異なっていることが分かった時は、データを修正します。
しかし、今回は修正する前に名前や医療費、処方された薬、生年月日などの情報が閲覧されてしまったのです。

誤って登録された件数は、7千件以上にもなります。
修正する前に、多くの情報が閲覧されていたかもしれません。
また、判明したケースに関しては情報が修正されていると発表されていますが、判明していないケースがまだあるかもしれません。

コンビニでマイナカードを使用して戸籍証明書や住民票の写しなどを発行するサービスで、別の人の証明書が発行されたというケースもあります。
2023年3月から6月までで14件、東京都足立区、横浜市、川崎市、徳島県徳島で起こっています。

何が起こったのかというと、例えば川崎市の事例ではAさんがコンビニでマイナンバーカードを使用して戸籍証明書の発行を申請した時、ほぼ同時に市内の別のコンビニでBさんも戸籍証明書の発行を申請していました。

ほぼ同時に処理した結果、AさんとBさんのどちらにもBさんの戸籍証明書が発行されてしまったのです。
河野デジタル大臣は、調査や再発防止のためにシステムの一時停止を要請しています。

システムが停止されるタイミングや期間は、自治体ごとに決定されるためバラバラです。
書類の発行自体が停止するわけではないため、市区町村役場の窓口での交付には特に影響はありません。

また、マイナカードを急速に普及させることとなったマイナポイントでも、トラブルが起こっています。
マイナポイントを他人に紐づけてしまうというミスが、2022年8月以降97自治体で121件報告されているのです。

同じく、マイナカードと国の給付金の受取口座を紐づける制度においても、別人の口座所法を登録してしまうミスが起こっています。
これまで15自治体、21件が発見されました。

トラブルの原因は?

マイナカードで相次いでトラブルが起こるのは、いったい何が原因なのでしょうか?
トラブルによって、原因は異なります。
トラブルごとに、原因を解説します。

保険証の紐づけが別人になってしまうトラブルの原因は、マイナンバーを間違えて入力してしまったことです。
大量の入力作業を行うこととなった健康保険の運営職員による、ヒューマンエラーです。

保険証の紐づけミスは、現在発覚しているだけで7千件以上ですが、まだ発覚していない人もいるでしょう。
今後、件数は増えていくと思われます。

他の人の保険証と紐づけられるミスでは、他人の個人情報である氏名や生年月日、処方されている薬や医療費などを知ることができるという点が問題です。
閲覧された方は、不快な思いをしているでしょう。

コンビニのマルチコピー機での住民票の写しや戸籍証明書の発行におけるトラブルは、別人の証明書が発行されてしまうことで、保険証とは比べ物にならないほど多くの個人情報を把握できてしまいます。

原因となったのは、システムの不具合です。
ほぼ同じタイミングで申請が行われたことで、処理が重なって先の処理が後の処理に上書きされてしまい、2人に後から申請したほうの書類が発行されてしまったのです。

使用しているシステムは自治体ごとに異なっていて、今回証明書のトラブルが起こったのは、富士通の子会社である富士通Japanが運営するシステムで、全国約200自治体が使用しています。
富士通Japanにはシステムの一時停止を要請し、不具合が無ければ順次再開していくこととなっています。

マイナポイントのトラブルは、自治体の登録支援窓口で住民にスタッフの支援員がログインして、共用端末を使用して操作方法を教えた際に終了後ログアウトを忘れてしまったため、次の人がそのまま上書きして入力してしまった、というのが主な原因です。

国の給付金の受取口座が別人の口座になるというミスも、マイナポイントと同じ原因です。
マイナポイントと比べて件数が少ないため、報告された件数は少ないものの、影響はマイナポイントよりも大きいでしょう。

また、本人確認はもともと2回必要だったのを、システムを変更して1回に簡略化したというのもトラブルの原因とされています。
マイナポイントの受取において、完了時にも確認が必要だったのを省略したのですが、トラブルが起こったことでシステムは元に戻されています。

全体に共通する原因として、普及を急ぎ過ぎたという点もあるでしょう。
政府はマイナカードを普及させるために、マイナポイントを看板として急速に進めていくゴリ押し戦法で普及を進めてきましたが、申請に伴う人の負担、システムの負担の想定が不十分だったと言えるでしょう。

例えば、マイナンバーの入力も申請書類を自動で読み取って入力されるという方法なら、間違いがないかチェックするだけなのでスムーズに進むでしょう。
ITの自動化が不十分な状態で、大きな負担がかかる作業を行ったことが根本的な原因ではないでしょうか?

まとめ

マイナカードは近年普及が進み、国民のほとんどが所有していて、保険証や銀行口座との紐づけも進んでいることから、今後は必須のカードとなるでしょう。
しかし、普及に伴い様々なトラブルが起こっています。
トラブルの原因は様々ですが、根本的な原因は負担の見積もりが甘かったという点でしょう。
現場の人にもシステムにも大きな負担がかかっているため、軽減する方法を考えて対処する必要があります。